弁護士の私が、弁護士を頼めばよかったと思ったときのこと

かつて、はからずも法律問題の当事者になってしまったことがありました。

刑事事件ではありません(笑)

争いになったということではなかったのですが、夫が亡くなったときの相続手続きで面識のなかった関係者との交渉ごとが必要になりました。

自分はその道のプロだし、特に争いがあるわけでもないのだから自分で手続きをすすめればいいと思って交渉に臨んだのですが・・・

思っていたよりも、ずっとしんどかったです。

自分の立場からの主張をすることは想定以上に気疲れしたり、家族を亡くした喪失感の中で感情も繊細になっていたので、小さなことでどっと落ち込んだり、もやもやしたり。

それまで親族関係の案件でクライアントが、「争いたいわけではないのですが、気持ちがひっかかるんです」などとおっしゃっていた気持ちがわかったような気がしました。

さんざん人様の交渉ごとを担った経験があったにもかかわらず、自分自身のことになると、やはりつらかった。

相続案件というのは、親族が亡くなったときに手続きがはじまります。

ですが、当事者にとっては親族が亡くなるまでの期間、介護をしたり看病をしたり、場合によっては何年にもわたる心労が積み重なっていたりします。
 
あるいは予期せぬ突然のお別れの場合、すぐには受け止められないほど大きなショックを受けることもあります。

そして、その方を亡くすという大きな喪失体験を経たのちに、さらに相続手続きが続くわけです。

心身の疲労、悲しみ、喪失感、無力感、寂しさ、やるせなさ、今後の不安・・・いろんなことが一気にやってきます。

心の余裕が持てなかったとしても当然の状況です。

そんなとき、自分の味方になって物事を進めてくれる人がいたら、すごく助かっただろうなぁと思いました。

相手方に直接言いたいわけではないけれど、愚痴めいたことや、私だってつらいんだという思いを、誰かに聞いてもらえたらよかった。
そして、その私の思いを汲んで具体的な提案をしてもらえたら、本当にありがたかったと思う。

私の場合は、半年ほどで無事手続きは終了したのですが、手続きが終わったあとにはじめて、弁護士の仲間に「実は大変だった・・・」と言うことができました。

「それはつらいよ!自分のことをやるのは大変。頼んでくれればよかったのに」と言ってもらって、そういう選択肢もあったなぁと思ったのでした。

離婚、相続といった家族関係の事案は、とくにそういう部分があると思います。

第三者だからこそ冷静に、感情にまきこまれずに進めていくことができる。

私にとって、そのことを身をもって体験できたことは、今となってはこの仕事をしていく上でのギフトだったなぁと思っています。

相続手続きを完了していくことが、お気持ちの区切りにもなっていくようなサポートを心がけています。

(了)

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