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25歳女ひとりと30歳男ふたりで夜の海に黄昏に行った話

リゾバで宮古島に来てから早1ヶ月。


生活にも仕事にも慣れ、
車がないと生活が大変な街では
移動手段が徒歩の人間にとって
行動範囲が制限され、丁度街にも飽きてきた頃だった。


去年仲良かった友人のうち
一人はカナダへワーホリに行き
一人は東京に就職し
一人は人生の夏休みと称し、宮古島に行った。


毎日がお祭り騒ぎだった去年と比べると
今年は寂しく、日々張り合いがない。
ただただぼんやりとした毎日を変えるために、
友達を驚かせようと企み、当日まで内緒で
遥々北海道から宮古島まで来た。


友人を頼りにやってきたものの
友人はこっちですでに新しいコミュニティがあり
そこに溶け込めるほど私は順応していなかった。


北海道にいた時よりも同じ毎日の繰り返しで
羨ましがられながらやってきた宮古島は
想像していたよりもずっと退屈だった。


そして珍しく忙しかった日が終わり
ベッドでうずくまっていた時、
仕事仲間のグループラインに1通のラインが入った。


”17endに黄昏に行くけど一緒に行く人いる?”


17endという名前のビーチがあり
空港の近くということで飛行機を見に行ったり
透明度の高い綺麗な海を見に行ったり
宮古島で今とても人気のある観光地。


そんなビーチで黄昏れるなんて
なんて素敵なお誘いなんだ!!と興奮し
迷う暇もなく返信した。


集合場所に現れたのは
小学校2年生からの仲らしい30歳の男ふたりだけだった。


一瞬、私は邪魔なのでは?という考えが頭をよぎったが
全然かまへんよーとコテコテの関西弁で言われたので
ありがたく一緒に行くことにした。


途中、体に悪そうと思ってここ数年食べていなかった
マクドナルドのドライブスルーに寄り
ダブルチーズバーガーのセットを頼んだ。


30分近くマックの匂いが充満する車に揺られ、
ようやく17endに到着。


男ふたりが今日満月じゃない?と騒いでいた。
実際には次の日に満月を迎える月が海を照らし、
夜でもわかるくらいの青さにサラサラの砂浜。


砂浜の上に座り、波の音を聞き
月の光を浴びながら食べた夜10時のマクドナルドは
なんだか健康になりそうな気さえした。


途中、ネズミに襲撃されそうになり
全速力で叫びながら逃げた30歳男の姿を見て爆笑し、
徐々に引いていく波のそばにマットを敷き
寝っ転がって空を眺めた。


街頭がついているのかと思うくらい明るい月にも
負けない星の強さが、やけに心に沁みた。


波の音が、私の心を落ち着かせる。


月の下で寝れそうなくらい心地よく、
夜のビーチでの黄昏が
明日も頑張ろうと思える活力をくれた。






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