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水田皮膚病レポート

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無農薬の田んぼで起こる悲劇。「なにこれ!気持ち悪い!」「もしかして水質汚染なのか?」「農薬が原因なのでは?」「ママぁ!かゆいよぉ!」皮膚科へ行くも「ははーん、虫か草にかぶれたんで… もっと読む
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水田皮膚病を知ってるかい(最終回)

今から5年前、稲作の勉強のため伊勢から長野に2年ほど通いました。そこの田んぼは、夏になるとヘイケボタルが乱舞するような場所。山の雪解け水が流れる水路は素朴な造り。蛍の幼虫も育ちやすいのでしょう。とても羨ましく感じました。 反して、私の田んぼは区画整理がされた田んぼで、水路はコンクリート造り。水も蛇口のように水栓をひねって出します。(もっと昔みたいな田んぼだったらよかったのに。そうしたら蛍だっていたかも知れないのに…)。私の理想の田んぼはこういう感じの田んぼ。 けれど、こん

水田皮膚病を知ってるかい(8)

世の中の大抵の方は稲作とは無縁と思います。なので、これから紹介する防除方法はまあ、必要ないでしょう。しかし!今田んぼをやってる人のほとんどは65歳オーバー。そして、今後10年で半分以上の人が後継者不在で稲作をやめます。国産のお米が高級になって、食べられなくなる時が来るかも知れません。日本には田んぼが有り余っています。もしかすると、小さな田んぼで家族の分だけお米を作ろうかな。そんな動きも、今後出てくるのではないでしょうか。 仮にそうなった場合、たっぷりの肥料を農薬を入れたお米

水田皮膚病を知ってるかい(7)

恐怖の源泉はなんだと思いますか?それは「分からないこと」「知らないこと」ではないでしょうか。これまで散々田んぼにおける寄生虫感染の話をしてきました。ただ「ヤダ!田んぼの水に手を入れると寄生虫に感染するみたい!怖い!」って思ってる方も、まだ多いと思います。 それでは、どういった条件で感染するのでしょうか。

水田皮膚病を知ってるかい(6)

ここで少し住血吸虫について整理しておきたいと思います。このシリーズで登場する住血吸虫は以下の3つ。 ・日本住血吸虫 ・広東住血吸虫 ・鳥類住血吸虫 順番に説明します。ただし、ワシは医者でも研究者でもないので、あくまでもネット上の情報を拾い集めたもの、自分の経験上のことを書いておる。詳しくは各人で調べるのじゃ。

水田皮膚病を知ってるかい(5)

「セルカリア」とはいったいなんでしょう。これは、寄生虫を語るときに頻出する用語で、寄生虫の一生のうちの形態のひとつを指します。この度、このようなニュースが出ましたね。 広東住血吸虫は非常にマズイですね。それに比べたら、私の罹患した「鳥類住血吸虫」のほうがはるかにマシ。モーレツにかゆいけど。鳥類ってことは、最終宿主が鳥ってことで、人ではない。まあ、今回間違えて人に寄生しちゃったわけだけど。 寄生虫と言うのはひとつの場所に生まれてそこで育ってどんどん増えていくものもありますが

水田皮膚病を知ってるかい(4)

私は皮膚科でもらってきた薬が少しも効かないことに失望していました。皮膚科の先生の反応は、妹から聞いていたものと同じ「毛虫か何かにかぶれたのでしょう」と言うものでした。

水田皮膚病を知ってるかい(3)

2016年5月。妹からメッセージが届きました。「ゆきちゃんところで田植えをした時、なにかにかぶれたみたい」というものです。 実はその時、私も右手に発疹ができていました。昔、アルバイト先で業務用洗剤を原液で使っていて、それが原因で手が荒れたことがあります。その時は爪の中にまで水膨れができました。今回のかぶれはそれに少し似ていて、水膨れのようなブツブツが手の甲や指の間に無数にできています。 しかし、原因が思い当たりませんでした。洗剤は使ってないし、何か変なものでも食べて蕁麻疹

水田皮膚病を知ってるかい(2)

日本住血吸虫は一体どこで感染するのか。それはほぼ明確に分かっています。田んぼ、およびその周辺の水路です。しかし、調理師免許の講習では「川や沼などの淡水」と教えられました。もし、「田んぼで感染する」と聞かされていたなら、私は怖くて田んぼなどやらなかったでしょう。ですから、一般には「田んぼ」と明言していないはずなのです。それに、みんなのお米を作る田んぼから寄生虫が出る。なんて言うと、とても聞こえが悪いではありませんか。そういうことで、国の方針として、消費者からの拒否反応を心配した

水田皮膚病を知ってるかい(1)

去年5月末、私が訪れたのは「目黒寄生虫館」。 何がなんでもこの展示期間中に訪れなければならない理由が、私にはありました。 2018年5月3日(木)~9月30日(日)に開催されていたのは「藤浪艦(ふじなみあきら)資料で見る100年前の日本住血吸虫研究」。一般の人はピンと来ないかもしれませんが、飲食店をされている方や調理師免許の勉強をした人など、他にも保健衛生に関わる方はご存知と思います。 私もこの「日本住血吸虫」を知ったのは。調理師免許を取ろうと思った時でした。平成29年