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人妻の需要と価値

離婚した時に痛感したこと、それは

離婚した女は市場価値がない。

しかも、あまりになさ過ぎる。世の中こんなに離婚した女で溢れているのに!

AVで「人妻」というカテゴリーはあるけど、「離婚女」というのはない。人妻は燦然と輝くブランド。結婚すれば誰でも簡単に手に入る地位。お菓子と出来合いの総菜でカゴを一杯にして、スーパーのレジに並んでいる、つっかけを履いたおばさんも、電車でひたすら先生の悪口を言ってるお母さんも、結婚さえしていれば人妻。

その人妻が離婚して、人妻じゃなくなったらどうなるでしょう。なぜAVには離婚した女シリーズがないのでしょうか。それは簡単ですね、離婚した女はただのおばさんだからです。AVにおばさんのジャンルがないのは当然の理と言えるでしょう。

あるカメラマンの女性が私に言いました。

「私は結婚しているけど、夫とは別居している。けど、離婚はしない。結婚していることで信頼してもらえて、男の多い世界では仕事がスムーズに行く事が多い。結婚しているということが有利に働く」

これ、ちょっと分かります。私がワインバーで仕事をしている時、お客さんから同じようなことを言われた事があるからです。結婚しているのに、夜の仕事をしているということは、夫も理解があって、妻も芯のある人である。そんな店主はお客さんのことも男として見ない、だからプロフェッショナルな店として安心できる、と言うことでした。

逆に、結婚していたけど、今は離婚している、というワインバーのマスターだったらどうでしょう。夜遅くに女のお客さんと店の中にいれば、そこにいるのは男女です。一方、マスターにちゃんと奥さんがいた場合、普通は男女の感覚にはなりにくいと思います。見えない互いの領域というのがハッキリあります。それと同じですね。

夜の仕事では、結婚していますよ、と言うことで、言い寄って来るお客さんを牽制することができます。だいたい、結婚してて小さい子供もいるのに、夜の仕事をするなんて、普通じゃありませんから、その亭主も、普通じゃ考えられないレベルのデキる亭主か、その逆の逸脱したような変わった亭主なわけです。どっちにしても並の亭主ではないというわけ。お客さんも「俺のほうがうんといいぞ」とも「俺のほうがマシだぞ」とも思えないくらいの旦那さん像を構築することで、適当な飲み屋の女のつもりで、言い寄って来るお客さんをなぎ倒すことができます。あ、ちょっと話が逸れてしまいました。

何が言いたかったかと言うと、私は離婚したことで、人妻の地位を失って、初めて、人妻というジャンルの偉大さを思い知りました。人妻カテゴリーを離婚した女が乗り超える大変さを。いや、って言うか、全然これ、乗り越えられる気がしません。映画でも人妻だとロマンスになるし、離婚した女だとコメディーになりますしね。

だから、まあ、それはそれでしょうがない。と思ってて、百姓女カテゴリーを自分で作ろうかな、と思います。離婚した女が自力で百姓をして行くのは、まあ、ストーリーとしてはアリかな、などと「マディソン郡の橋」みたいな妄想はヤメにして(あれこそ人妻であることが目玉の話だけど)、うん、でもこういうの書いてることこそ、実はしょうがない、なんて思ってないのかも知れません。人妻万歳!

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