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時間など、何の役にも立たない

タイトルは大好きな小説の一文。

時間が解決してくれることもたくさんあるけど
最近は、時間が解決しれくれないことの方が尊い気もしてる。


そういえば、前にこんなことがあった。

学生時代、アルバイトしていたカフェに
あるマダムがお客さんとして来ていた。

頼むのはいつもダブルエスプレッソ。
砂糖もミルクもなしのブラック。
決まった席に座って
フランス語か英語の新聞を読んでいた。

こう書くと、おしゃれなカフェで働いていたと思うかもしれないけど
首都圏の人なら誰でも知ってるチェーン店です…

彼女、白いシャツに白いパンツルックが本当にお似合いで。
いつも海外で売っていそうな
大きなスカーフを首に巻いていて、それがまたおしゃれだった。

黒いピンヒールを履いていて、髪の毛は短めのボブ。
お化粧は薄めだけど、くちびるはしっかり赤くて
マダムの意思の強さを感じていた。

女性なら心当たりがあると思うけれど
口紅をつけたままマグカップで飲み物を飲むと
必ずコップに口紅がつく。

そのはずなのに
彼女が下げてくる小さなエスプレッソのカップには
いつも口紅が残っていなかった。

きっと、見えないようにそっとナプキンで拭っていたんだと思う。
仕草もおしゃれ。


つい最近、アルバイト先にいくことがあって
その時に、ちょうどそのお客さんを見かけた。
実に、10年ぶり。

私の記憶の中のその人そのままで
なんでどこも変わらないか不思議だった。

もちろん、下げられたエスプレッソのカップに
口紅は残っていなくて、さすが…!と思ってしまった。


何年たっても
何十年たっても
変わらないものは変わらない。

時間って確実に流れているはずなのに
流れているのが当たり前すぎて
止まって見える瞬間があるのかもしれない。

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