息子2歳のクリスマス

私はクリスマスが大好きで、
クリスマスが近づくと無条件でわくわくする。

店でかかるクリスマスソング、
至る所に飾られるクリスマスツリー。
テレビではクリスマス特集があり、
私はBGM代わりに自宅でラブアクチュアリーを流し続ける。

もう20年も前の映画だけど、
ラブアクチュアリーは色褪せない。
映画内でのアランリックマンの浮気未遂は許さないけど、
登場人物全員がいとおしい。

何年か前、息子が2歳のクリスマス、
息子が通う保育園では、毎年お昼寝中にサンタクロースがやってきて、
子ども達の枕元に、おやつを置いていく。

寝起きの子どもたちは目を輝かせて
サンタさんがくれたおやつを食べるのだそうだ。

息子が2歳の時、
そんなサンタさんがくれたおやつを、
「お母ちゃんに見せてあげる」と自分は半分だけ食べて、
もう半分を私に残してくれた事があった。

あの時、嬉しい事を母に見せたいと私を思い出してくれた息子の気持ちを思うと胸がぎゅっとなる。
保育園に迎えに行くと、先生たちが目を潤ませながら、
「こんな事普通できない」「他にやる子はいない」と話してくれた。

息子はもうそのことは覚えていないし、
次の年には全てきれいに食べて帰ってきた。
それでいい。子どもは自分の事を考えてくれればいい。

だけど、あの時私は、どうしようもなく嬉しかった。
サンタクロースを楽しみにしていた息子が、
そのプレゼントを私に見せようとしてくれたことが。
息子が嬉しい事を見せてあげたいと思ってくれた相手が自分だった事が、
嬉しくて、お菓子が入っていた箱はいまだに捨てられずにいる。

自分勝手な感情でいえば、
多分、息子が私の行き所のない母親としての承認欲求を満たしてくれたんだろうな、と思う。

子どもは自分のことだけ考えて、
今は多少わがままに、自由に過ごしてくれたらいい。
わがままを言える家庭であることは、
子どもにとって大切なことだから。
親の気持ちなんてどこ吹く風、
わしゃ知らんがなで生きてくれたらいい。

だけど、離れているときに時々そうやって、
「おかあちゃんに見せてあげよう」って思ってくれたら、
おかあちゃんは、飛び跳ねるほどうれしいよ。


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