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海外で暮らして1年3ヶ月経った子どもたちの変化

ニュージーランドで暮らして1年3ヶ月、息子と娘の身体にちょっとした異変が起きている。
ある日、娘にサンダルを履かせようとしているときに、気付いたのだ。娘の足の裏の皮膚が心なしか硬くなっているということに。
息子の足の裏も同様で、カチコチというほどではないが、皮膚が厚くなっていてたくましさを感じさせる気がする。

ニュージーランドの子どもたちは、裸足で歩き回る。芝生の上はもちろんのこと、普通の道路でもスーパーでも裸足の子を見かける。なんなら子どもどころか、たまに大人も裸足で歩いていることがあり、最初のうちこそ
「裸足、危なくない?汚くない?歩きにくくない?」
とたくさんの疑問が湧いていたのだが、今となっては空に鳥が飛んでいるなーと同じくらい見慣れて、何も靴を履いていない人たちが気にならなくなってきた。
そして我が家のちびっこたちも、そんな周りの様子を見て、自然と裸足で歩き回るようになってきたのだ。
息子は小学校でも靴を脱ぎ捨てて、裸足でキャンパス中を走っているという。娘も明らかに裸足が痛そうな砂利道でも、
「私、頑張る!」とかなんとか言いながら、裸足を貫き通したりしている。それはまるで熱した炭の上を裸足で歩く修行かのようで。

子どもたちの足の裏の逞しさはもしかしたらただの普通の成長の一つかもしれないけれどーあの赤ちゃんの頃のツルツルで柔らかい足の裏が懐かしいー私と夫にはこれもニュージーランド暮らしのたまものなのかねーとしみじみ語ることを楽しんでいる。

海外で暮らして1年3ヶ月がすぎた今、どんな風に子どもが変化したのかを書き留めてみたい。
ただ、読んでくれる人と一緒に子どもたちの成長の様子を共有したいだけだけど、強いて言うなら、半年ちょっと前に子どもが直面したカルチャーショックの中で目の前が真っ暗になっていた自分たちのような人たちの希望になったらと願っている。

まず何より子どもたちの馴染みっぷりがすごい。英語で友達とふざけ合ったり、知らない人にも英語で普通に話しかけたり・・・もう彼らには言語や文化による壁なんか殆どなさそうなのだ。

ある週末の日はとにかく忙しかった。娘がまるでどこかの大使館職員かのようだったのだ。午前中は保育園のお友達の誕生日パーティーにご自宅に招かれて、エルサのサプライズ登場に歓喜し(パーティーなどにパフォーマーとしてエルサの格好をして、子どもたちを盛り上げてくれるプロフェッショナルがニュージーランドにはいるのだ!)、そして移動中の車の中でお昼寝をしてパワーチャージをしたのち、午後は別のお友達のお誕生日会に公園に行き、芝生の上をたくさんの子達と一緒に(裸足で)駆け回っていた。
そしてどのお母さんに会っても、娘が保育園でスーパーコミュ力を発揮している事実に感心される。

息子も息子で、最近では勝手に友達とプレイデートの約束を取り付けるようになり、
「ママ、水曜日は予定がないから遊んでいいよね?◯◯くんのお母さんにプレイデートするって伝えてよ。」
と言ってくる。友達といざ遊べば、普通に冗談を言い合いながら、走り回ったりとにかくノリノリで楽しいパワフルな時間を過ごす。
そして今度は向こうのお母さん、お父さんに驚かれるのだ。
「え?本当にこっちに来るまで英語が話せなかったの?」と。

子どもたちの変化はとにかく早くて、親の方が追いついていくのに必死なくらいかもしれない。
とはいえ、子どもたちの英語の文法や単語の選び方に間違いは時折あり、そんな時は私はドヤ顔で
「それは、こう言うんだよ」と教えるのだが、それもいつまで続くのやら。
もうすでに現地の子どもたちのように話す娘の英語が私にはちょっと聞き取れないこともあり、娘がむにゃむにゃ言った英語に、息子はちゃんと反応して返しているのを見た時は、正直驚いた。

子どもたちは一日の大半を英語の環境で過ごすから、徐々に英語の方が楽になりつつあるようだ。
息子と娘の間での会話が英語になってきている。100%常に英語というわけではないが、日本語と英語が半々くらいだろうか。特に二人が喧嘩する時は、英語で
「You are not my friend!!」
と言い合ったりしている。白黒つける英語の方がハッキリ怒りの気持ちが伝わるのかもしれない。

親の私たちに話す時も、最近は英語の単語の方が先に出てきてしまい、
「ママ、今日のパジャマはダイナソーのを着て、夜寝る前に、ミルクをドリンクしたいの」
みたいになってきた。
多分、英語脳と日本語脳の水脈がうまく別れ切ってなくてごちゃごちゃに混ざってしまうのだろう。
そこで、私と夫は、日本語と英語を混ぜないようにというポリシーを家で貫くことを意識し始めた。英語と日本語を混ぜるのは、味噌汁にマシュマロを入れるようなものだよーなんて言いながら。

私の方は意地でも子どもたちが言語のごった煮をしないようにと必死で、
「ママ、ユニコーンが・・・」
と娘が言った時に、私が
「一角牛でしょ!」
と訂正したら、横から夫から
「一角獣だよ・・・」
と冷静に突っ込まれた。

「一角獣」まで使う必要はないと思っているので、あくまで冗談としてのやりとりではあったのだが、日本語を大切にして綺麗な日本語を話せるようになって欲しいと思う。
ちなみに毎日YouTubeで日本人ユーチューバーのマイクラの実況中継を見ている息子の方の日本語はきっとなんとかなりそうかと思いきや、
「ママ、それエグイね」
なんて息子が言ってきた時は、え、えぐい?!と世代が違う日本語にショックを感じた。
YouTubeにも過剰に期待はできないな。

子どもたちの変化に伴う副産物として、私と夫も交友関係が広がりとても楽しくなったこともついでに付け加えたい。
こっちに来た当初は、子どもたちの代わりに私や夫が営業マンのように周りの親御さんたちと仲良くならなきゃかな?と思いきや、全くその必要はなく、逆に子どもたちのおかげでとても面白い人たちと出会う機会に恵まれている。子どもたちよ、ありがとう!

先日は、娘が保育園で仲良しのお友達ファミリーが我が家に夕飯を食べに来てくれた。お父さんの方はイギリス人なのだが、とにかく「スーパー陽キャ」というのか、なんていうのか。声が大きい系の人で、私が英国に留学していた時に出会っていたら確実に距離を置きそうな雰囲気の人だ。でも娘のおかげでそのお父さんともお母さんとも、楽しく色々お話しが出来て、いやー本当にありがたい。彼らの映画のような出会いの話なんか、身を乗り出して聞いてしまった。

全く子どもたちは言語が話せない中で飛び込んだニュージーランド。
15ヶ月、8851時間、531060分をなんとかかんとか過ごせば、もう最初の頃の悩みが嘘みたいになる。別世界である。そして子どもたちが楽しくなると、親の私たちもとても楽しくなる。

もちろん、まだ娘の反抗期とパパイヤ期に頭を抱えたり、娘のトイレトレーニングが難航していることに焦ったり、娘の想像を絶するイタズラに驚愕したり・・・(娘がとにかく、異星人すぎる)、息子は周りの体格が良くて体力があるお友達についていけるようにたくさん運動して、しっかり食べて、ぐっすり寝るぞプロジェクトが始動したり・・・と、新しい大変さはある。

ただ、ここから先の変化というのは、あまり今までほど異国での言語面や文化適応の観点で、驚くことがなくなるのだろうなーと感じている。きっともうここからは色々なことが「当たり前」になってくるのだろう。
だからこそ、今まで以上に、毎日のささやかな幸せを家族みんなで楽しんでいけたらいいなと願っている。時には、ここで新しく出会ったお友達ファミリーとも一緒に。

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