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ふりふりとキラキラの世界で踊る君に

4才の娘が通っているダンス教室から、突然
「先生からのプレゼントです」
という簡素なメッセージと一緒に、音楽が数曲送られてきた。
なんだなんだ?と早速、音楽を再生してみると、横にいた娘が突然、ピクッと反応して目の色を変えて、踊り始めるではないか!

ダンス教室から送られてきたプレイリストでは我が家ではかけることが滅多にないような曲が次から次へとかかるのだが、どの曲も娘は嬉しそうに、教室で習った振り付けをしっかりと再現して楽しそうに踊り始める。
Jackson 5のI want you back だったり、映画「マダガスカル」のI like to move itこそ、あー分かる分かる。ちびっこが踊るのにぴったりな楽曲だなーと、親近感をまだ感じられたのだが、アグリー・バグ・ボールというクラシカルな雰囲気が漂う音楽で、すごく表情豊かに踊り始めた時は流石にびっくりした。
バール・アイヴスという俳優・歌手が1963年に発表した音楽だという。私は40年近く生きてきて初めて聴いた音楽を、4歳の娘はダンス教室ですでに何度も大音量で聴いてきて、彼女にとってお気に入りのダンス曲のひとつだったようなのだ。

娘は私とは全く違う世界を、全く違う感性で生きている。

よく、娘を持つと母親は同じ「女子」同士、娘の気持ちが手に取るように分かる、みたいなことを聞く。だから自分の嫌なところまで再現されているようで、いやになっちゃう・・・なんていう言葉も付け加えられたりして。

しかし、私と娘の関係において、一切この手の「似たもの同士」の感覚が持てない。実の娘であり、同じ女子なのに、全く持って彼女の考えが分からないことが多く、
「妹のことが大好きなのに、妹が意地悪ばかりオレにしてきて、オレ悲しいんだよ!!」と平日の朝からメソメソし始める息子の方がまだ共感できることが多い。

そんな宇宙人、もしくはアーティストな娘は、ニュージーランドで暮らし始めてから、そして年齢的なものも重なり、私の理解が及ばないことが日に日に多くなってきている。
そして私はその度に、それまで無意識にやっていたやり方に対して強制的に立ち止まらされ、深呼吸をしてあの手この手と他の方法を考えて実行していかなければならなくなってきている。

ここ最近、毎朝、頭を抱えていた。それまでお兄ちゃんのお下がりの洋服でも、なんにも文句を言わずにニコニコ着てくれていた娘なのに、突如何かのスイッチが入ってしまった。
ある日を境に
「プリンセスのドレスで保育園に行くの!!」
と言って聞かない。

いやいや、ハロウィンじゃないんだから、流石にお姫様の格好では行けないよ。というと、保育園のお友達の名前を出して「あの子はドレスを着てきてるもん!!」と泣き叫ぶ。
確かにその女の子はインド出身のご両親がいて、キラキラとした素敵なワンピースを毎日着ている。それはいつもアイロンもかけているのかな?と思うくらいピシッとしていて優雅でお上品な雰囲気が漂っている。娘が着たいと泣き喚きながらぎゅっと握りしめて離さない、汗の吸水も何も考えられていないし長時間着ることも想定されていない、おもちゃの延長のようなドレスとは訳が違う。

だめだよ。こういうのは週末とか、家の中だけで着るんだよ。
いやだ!お友達も着ているし!お姫様になりたい!
いやいや、だめだよ。こっちはどう?
やだやだ!
そんな果てしないやりとりの末、娘がなんとかかんとか妥協したフリフリのもらいもののノースリーブワンピースを着て不満そうに保育園に行く。

そうした毎朝の果てしない洋服を巡る母と娘のバトルを繰り返した末、私はついに妥協した。

今まで、子どもの洋服を新品で買うなんてありえない。メルカリで中古で買うサステナブルな生活に乾杯!と頑なになっていたし、人からもらったものでなんとかかんとか回っていったけど、もうさすがに無理だ。

ということで、初めて娘と一緒に子ども服を買いに行った。ニュージーランドでまさか洋服を買う日が来るなんて・・・しかもそれが娘と一緒に彼女サイズの小さい洋服を買うなんて・・・

色々と納得がいかないことは多かったが、私にとって朝の平和な時間を手に入れることの方が、精神的にはサステナブルだ。
お店に着くと、娘がパッと顔を輝かせて、お洋服たちに吸い寄せられていく。
こっちはどう?これは?
と言う私の言葉なんか一切耳に入らず、彼女にとってはピンクかユニコーンかエルサかフリフリじゃなければ、正義じゃない!と言わんばかり。

結局、何着かギリギリ保育園にも着ていけそうなものを購入した。
私はこれで朝のバタバタがなくなり、ようやく時間通りに保育園に通えるようになるならまさに神の救いの手。と満足なのだが、ボーダーのカットソーにマスタード色のコーデュロイ素材のジャンパースカートの着て欲しい、とか考えている服飾の専門学校を出た夫は、ちょっと納得がいかない様子ではあった。しかし、そんな夫の前で娘が新しいお洋服を着て
「ほら、可愛いでしょ?プリンセスみたいでしょ?」
と何回かくるくる回って見せれば夫も妥協する思いが生まれてきてしまうようだった。
まあ可愛いことは可愛い、で間違いはない。

何が正しいのかよく分からなくなる。


この前、我が家に遊びにきてくれた保育園のお友達ファミリーは、面白い教育方針があり、
「我が家では一切、プリンセスものを禁止しているんだ」
と教えてくれた。え?なんで?と聞くと、すかさずお父さんの方が待ってました!とばかりに
「子どもには年齢相応に成長して欲しいからね。変に早くに『ませちゃう』とか、危険じゃない?子どもは子どもらしく、が一番いい。」
とのこと。
横ではまるでディズニーアニメのアラジンのジャスミンかのように美しい奥さんが、まあ私もその方針に反対しているわけではないのよ。と付け加えた。

子どもは子どもらしく・・・か。

それぞれ家庭により色々な教育方針があると思う。
そして子どもの個性によっても、また様々な対応が求められるのかと思う。
うちの娘に関しては、ある程度の「ライン」を超えない範囲で、出来るだけ彼女の趣味嗜好を理解して(共感こそしなくても)どんな風になっていくのかを観察しようという感じに今はなりつつある。
なんとなく直感的に彼女の「好き」を抑圧してしまうと、大きくなってからものすごい形で爆発してしまうリスクが内包されているように感じるから。

というわけで、今日も娘はフリフリのスカートを着て、エルサの三つ編みのつけ毛をして、足には彼女がお気に入りの「スパークリー」のキラキラのお靴を身に纏ってるんるんと向かっていった。
一体彼女はどこに向かっているのだろうか?と、口紅どころかリップクリームすら最近塗っていない女子力偏差値50以下でソーラン節くらいしか踊れない私は、娘のいちフォロワーとして応援している。いいね!

【東京が懐かしい!】どこにいっても人が少なくて広々、空気が綺麗で自然に溢れたニュージーランドが大好きです。
でも、たまには都会な時間もいいよね、ということで、今回はオークランドで開催されているチームラボみたいな雰囲気がちょっとするイベントに行ってみたり、ここで初めて電車に乗ったりしました!
東京で暮らしている時には電車に感動するなんてなかったのに、ここでの電車体験はなんだかドキドキ楽しい。4歳の娘もキョロキョロと興味津々でした。
たまにはこういう週末もいいね⭐️というニュージーランドの中で都会を家族で過ごすってこんな感じVlogをお届けします! https://youtu.be/vrB2WadJt-s


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