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私になるまで22

新緑の季節だったと思う。またまた友達の車で講演会に行く。この時は職場のおばちゃんが、「私も二次障害の事知りたい。」と3人で行くことになった。場所は、神戸。あの大地震が起きる数ヶ月前の神戸だった。詳しい場所は忘れてしまった。割と大きな建物の大会議室って感じ。前にスライドを映すスクリーンがあり、先生はそこに映し出される症例を見て説明する。身体が歪み車椅子に座るひと。首の手術後の様子。首のMRI写真。見てるだけで怖くなる。先生曰く「痺れが出て、歩くのがしんどい、階段を降りることが怖いなど出てきたら、要注意です。」と、話す。

私は最近階段を降りるのが怖くなっているのを自覚していた。はぁーとため息が出る。けれどまだ歩けるし、痺れもない。ただ、首の後ろが少し痛いだけ。「無理はしない方がいいね。」とおばちゃん。友達も同じ意見だった。とりあえず検査かなぁ。と思いつつ、まだ大丈夫!と自分に言い聞かせその場を去る。気持ちは曇ったままだったが、今までより少し楽に暮らす方法を考える事にした。

「自分の障害」と向き合って、今までの自分の無茶ぶりに少しだけピリオドを打たなければならないかもしれないと思う。今まで「普通に生きること」を頑張った自分が「普通ってなんだ?」と問いかける。子供の頃は、脳性麻痺は進行しない。その状態が、悪くなることは無い。だから頑張れば出来ると言うのが常識だった。だからリハビリも頑張れば今以上には悪くなることは無い。と。しかし、実際は、そうではなかった。脳性麻痺は、不随意運動と筋緊張があり、それによって身体に負担が出る。それを無理やり動かしても悪くなるだけ。筋緊張による首の負担は大きい。

それを放置しておけば骨が潰れ手足が動かなくなり、寝たきり状態になる。

その時は、まだ軽い気持ちだった。あまり無理な事をしないようにしてたら、痛みが消えたから。

あの時…焦った自分はいつの間にかいなくなる。

しかし、あの時から、少しづつ身体が動かなくなっているのをのは事実だった。

そうして二十数年後先生と再会することになる。その時は、そんなこと予想もしていなかったけれど…


今はまだ修行中の身ですが、いつの日か本にしたいという夢を持っています。まだまだ未熟な文章ですがサポートして頂けたら嬉しいです。