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「大まかな流れ」が分からない。の話

SF映画などのシーンで、作戦会議をした後に「よし、始めるぞ!」という雰囲気になって、みんなそれぞれ一斉に行動開始するシーンがある。
そのようなシーンになると、途端に不安になってしまう。

それまでは映画を観ながら自分もその場にいる気分になっているのだが、自分の任務が分からず(そりゃそうだ)、突然みんなに置いてかれてしまうのである。
「もしも自分がこの場にいたら、あたふたして何もできないんだろうな〜」とぼんやり考えているうちに、映画の中で何が起こったか見逃して本当に本編から置いていかれるのである。

なぜこのようになるかというと、実際に似たような状況になると何をやったらよいか分からなくなってしまうからである。

作戦会議が苦手だという事に気づいたのは、レストランでの配膳アルバイトの経験がきっかけとなっている。

宴会場がたくさんついている大きなレストランで、150人くらいのお客さんに対してコース料理を配膳する仕事である。

配膳する側の人数も多いので、宴会が始まる前に、リーダーがその会の流れを説明し、そこからみんなで一斉に行動開始するのだ。
まさに映画の作戦会議とよく似ている状況である。

一人一人に具体的指示はなく、配膳する人は全体の流れを理解してその場その場で適切な行動をする。
大きな会場の中であなたはどこ、という事も特に言われないので周りの動きを見て空いている場所につき、その近辺の卓を担当するのである。

初めのうちは何をやって良いか分からないのは当然なので周りの人も教えてくれるが、それは初めの数回でしかない。
その間に仕事を覚えなくてはならないのだが、私はあまり覚えが良くなかった。

まず、全体の大まかな流れ、というのを理解するのに時間が掛かる。
説明の間に何かの単語に一つひっかかると、その後の説明が入ってこなくなって、そこからの内容はほとんど分からなくなる。
そうなると、分からない事を質問しなければならないのだが、ぼんやりと色々な事が分からないので、どう質問すれば良いのかが分からないのである。
これは、学校の授業(特に歴史の授業)でも似たような経験があった。
私は歴史に対してもかなりの苦手意識を持っている。
というかそもそも、じっと話を聴くという集中力が続かないのである。

加えて、一人で空いているスペースに着くと、自分はここにいて正解なのだろうかと不安になり、変な雰囲気を醸し出してうろうろし始めるのである。
そうなると周りにもなんとなく「こいつはなんだかおかしな動きをしているな」というのが伝わっているのを感じて、更に冷静ではいられなくなるのだ。

なんとか3年間ほどそのレストランで働いたが、その状況からろくに成長が無いまま仕事を辞めた。

3年間もこのような感じで働き続けて迷惑だっただろう。
にも関わらず飲み会などもたまに参加させてもらったりしていて、優しくしていただいていたので感謝している。

大まかな流れを理解して、空気を読んで動ける人に憧れる。

きっとSF映画の中でも活躍できる事だろう。

しかし不得意なものは仕方が無い。
私は作戦会議に参加して活躍する側ではなく、クリーチャーになって好き放題するのを目指そうと思い、開き直ることにした。






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