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長い付き合いが終わった瞬間

残念な瞬間が年末に起こった。
大好きだったお店との訣別の時。
10年以上もお付き合いしてきただけに残念だった。
何故そうなったのか?
本当にちょっとしたことなのだろう。

クリニックの忘年会でその行きつけのお店に行った。
12月27日の忘年会を12月1日に予約していた。
カウンターが4席2組。
テーブル2つに2組。
そして2つのテーブルを我々が座っていた。

しばらくしてホールから耳打ちされた。
「先生、オーナーからLINEが入っていますのでチェックお願いします」
承知してLINEを見たら、次の文章が送られていた。
『先生、申し訳ありません。
他のテーブルから少し静かにしていただきたいと言うリクエストがありました。
申し訳ありませんが宜しくお願い致します。』
一旦は了承したが、徐々に「おかしく無いかい?」と思いを頭が持ち上げ出した。

どんちゃん騒ぎしてたわけでもない。
女子が普通に楽しく喋ってただけだ。
多少は賑やかだったかもしれない。
しかし、女子だからね・・・仕方ないだろう。
スタッフも気を遣って喋れなくなってしまった。

「帰るよ」とオーナーのところに行った。
「いや、もう例のお客さんも帰るので」と彼は言う。
しかし、もう気持ちが萎えてしまっている。
「いや、もういいよ。帰るから」
「じゃあここまでの金額で・・・」
「いや、コースの正規の金額を払います。そちらもそれで売り上げ変わるでしょ」
僕は意地で支払ってスタッフを連れて店を後にした。

だってね、どう考えてもおかしいから。
フレンチでキャッキャ騒いでいたのならそれは反省しなければならない。
しかし、洋食屋さんだ。賑やかなくらいが華やいで良いと僕は思う。
随分前から予約していたのだ。その後のお客さんには「団体が入っていますが良いですか?」とお店が確認しなければならないだろう。
逆に、僕らより先に予約していたお客がいたのであれば、僕が予約入れた時点で「その日は静かめでいけますか?」と確認するべきだ。
僕も今まで何度もスタッフを連れて食事会をその店でやってるのだから、わかっているはず。

もっと言うなれば、そのクレームを言ってきたお客と僕と比較した時に、僕ではなくてクレームを言ってきたお客をオーナーが選択した、ということだ。
例えば。僕のクリニックにAという患者さんがBという患者さんのことでクレームを言ってきたとする。
その時に僕は何を考えるか?それは『どちらが正しいか?』ということ。
クレームを言ってきたAさんが正しいのか?言われたBさんに非はないのか?だ。
そこで甲乙付け難い時は、僕のクリニックにとってどちらが優先するべき患者さんか、だと思う。

上記で考えた時、まず第一の『どちらが正しいか』で決められたのであれば、僕たちは煩かった、ということになる。
そうであるなら、もうこの店にはスタッフと来れない。
来るたびに「賑やかに喋ってはいけない」と気を遣いながらの食事は味気ない。
そんな食事会はごめんだ。

もしも上記で甲乙付け難く、そのお店にとって僕かクレームを言ってきた客か、どちらが優先されるべきなのか?で考えたのであれば、僕よりも先方を選んだわけだ。
理由がこれだとしても、もうこのお店にはいけない。
僕にも意地とプライドがあるから。
そんなわけで十数年のお付き合いしたお店とは訣別した年末だった。

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