小夜鳴子

よくねむるひと。

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ポケットのない服が嫌いだ

 ポケットのない服が嫌いだ。だって、スマホや定期を入れる場所がない。いつだって所定の位置に物を入れておかないとなくしてしまう私にとって、ポケットは多ければ多いほどいい。  私が高校生だった頃、制服のポケットは4つくらいあった。でっかいリュックサックの中になんでも詰め込めた。だけど、今はそんなことはできない。 「ポケットにそんなにものを入れちゃって。それに鞄パンパンなの、みっともないよ」  昔からハンケチを持っている子は女子力が高いなどと洗脳されていて、トイレで乾燥機を使

    • 【ネタバレ】Another エピソードSについて。【注意】

       もう何年か前か忘れてしまったけれど、アニメから出会って、学校の図書館で読み耽ったAnother。当時の私は見崎鳴という女の子に憧れ、そして今も憧れ続けている。まあ、色黒な時点で終わってるけど。それでも、彼女のどこかミステリアスな美しさに惹かれ、こうやって人知れずブログを書いているのかもしれない。  端的に言って、このエピソードSというものは、あくまでAnotherの続編であるからこそ面白いわけで、ミステリーやホラーとしては二流だと思った。綾辻先生、本当にごめんなさい。私が

      • どうか、境界の彼方まで。

         京都アニメーションが燃えている、という通知が来たのはお昼頃だったと思う。大変そうだな、と思いつつ大学の講義を受けて、帰りの電車でTwitterを開けば、事態はそんな大変そうだなんて言葉で済まされるようなものじゃなかった。  19歳の私は12歳からアニメオタクをやっている。だからそれ以前のアニメはそんなに知らないし、ハルヒやけいおんだって詳しい内容は知らない。私が京アニという存在に出会ったのは境界の彼方という作品からだった。美しい作画とストーリー、個性的なキャラクター達に惹

        • 本当に嫌なことって

           本当にショックなことは、誰にも言えない。本当にコンプレックスなことは他人には言えない。私はBMI指数が15のガリガリだけど、普通に「痩せてるのがコンプレックス」と言っている。だから、別にそこまでコンプレックスじゃないんだと思う。現状そのままでも最終的にはいいか、と思うのだ。  本当にショックなこと、コンプレックスは、こんな狭いブログ内でも言えそうにない。今日のバイトでショックなことがあって、休憩中に私はこのブログを書いている。多分、誰にも何が嫌だったのかはわからないだろう。

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        • 失われたオレンジ
          4本

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          映画の予告を見るのが好きだ

           映画の予告をひとつ見てしまうと、その関連動画に目線が吸い寄せられ、またそれを見ては他の予告に吸い込まれ、2時間くらいは同じ作業をしてしまう。そういう経験、皆さんもあるのでは。  私はアクション映画以外は必ず寝てしまうので映画というものがあまり好きじゃない。朝ドラも推しである吉沢亮が出るから観ようとしていたけれど、あのだらだら感が駄目だった。現代人は時間という制限に親を殺されている。Twitterだって140字(だったか?)でおさめなければならないし、貼り付けられる画像は4

          映画の予告を見るのが好きだ

          他人の金でできてる、

           バイト先で研修中のひよっこの私がファミレスのドリンクサーバーみたいな機械でいれたブレンドコーヒーを心底美味しそうに飲むお客様たちを見て、心底くだんねぇ、と思う。そういう大層くだんねぇことで世界は回っている。そんなことを考えていると、家でジュースを飲んでた方がましだと思ったけれど、それさえも工場で働く人間が金のために作ったものだと思うと笑けてくる。もう何も胃に入らない。私は他人の金でできている。  2次元の推しと3次元の推し。私は不幸の中で藻掻く少年が好きなので、大体推しは決

          他人の金でできてる、

          未完成な臓器たち

           毎週金曜日に日記をあげようと思ってます。偏見まみれの私の宗教を作っている感じです。ごめんなさい。  大人になるにつれて逃避の方法が増えてゆく。煙草、酒、薬、あとヤラシイやつとか。目に見えない精神年齢は誰にもわからないまま。19で酒を飲んでいる人たちなんて話を聞いているとまあまあいる。学内で煙草を吸っている人はまだ見たことがないけれど、多分確実にいる。彼氏がいる人はいるし彼氏を探している人もいる。  美しい世界だと思っていた。砂糖菓子みたいに甘くてふわふわしているのだと。隔

          未完成な臓器たち

          【ネタバレ】紺青の拳の感想。【注意】

           大好きなものほど見たくない。期待を裏切られたくないから。ということで観に行くのを渋っていたわけだけれども、叔父さんが子守してくれるなら金を出そうと言うので、覚悟を決めまして。行きました。  結論から申し上げますと、良かったです。  ちょーーーっぴり腑に落ちない点もあったけれども、そこに目をつぶればいい映画だった。事前に既に観に行っていた友人Oからストーリーのネタバレは聞いていたので、キャラクターの動きだとか作画だとか、そういうものに集中して観ていた。1回目でストーリーの

          【ネタバレ】紺青の拳の感想。【注意】

          どうしたんだい

           集団の渦に呑み込まれていく。社会の中で私という個性は消え去り、やがて発狂する。ネット上では日頃から抑圧されてきた者たちの声を聞いては涙する。世に言う個性的な人たちを見て喚いている。 「君たちはいいよな。そうやって、自分の個性を社会の中で確立できて。腸から叫びまくって、それでいて認めてもらえて」  年表の1μmにも載らない人たち。おかしなことに、顕微鏡で目をうんと凝らして見たって彼らの名前は載っていない。1cmもの大きさを占める奴らが歴史を作ったみたいに学校の先生は騙る。

          どうしたんだい

          無題。

           おんなのこきらい、という映画をずっと観たいと思っている。夏休み辺りにブルーレイでも借りてみようかな、なんて考えた。  自分というものがわからなくなることがある。最近はそれが顕著で、みんなの前にいる私というものはどこか気取っている。こうすればこう見えるんじゃないかだとか無邪気そうに振舞っていたらみんなにいじられて感じになるんじゃないかだとか。集団というものがどうも苦手だ。私は誰かが苛立っているとわけもなくイライラしたり、泣いてしまいそうになるので普段から壁を作ってシャットアウ

          スケートについて。

           色んなものが好きなんですけれども、その中でもフィギュアスケートのお話でもしようかと。  別にそんなに詳しいわけでもないです。最近ジャンプの見分けがつくようになったくらいで。推し選手はジジュンリー(引退)とアダムリッポン(引退)、宇野くん、坂本花織ちゃん。  ユーリ!!! on ICEというアニメがありましたね。あそこからスケオタになった方もいるみたいですけど、私は違います。母が元々スケオタで(高橋大輔推し)スケートのアニメをやると聞いて録画したらしいです。1話見て切りました

          スケートについて。

          移り変わる

           今日、眼鏡を取りに行ったときに対応してくれた店員さんがものすごく好みだったと言うと、母は「あんた趣味悪いで」と顔を顰めた。眼鏡屋さんだからか眼鏡が似合っていて、少し恰幅のよいどことなく理系っぽい雰囲気の漂うひとだった。母が言うには不細工、らしいけど顔の造形は正直どうでもよかった。好みではなかったのは確かだけど。でも醜い外見の私がとやかく言うことではないので。そのひとは話し方がとっても穏やかで、目線を合わせるのが苦手な私のことをじろじろ見てこないひとで、とても楽だった。なんと

          移り変わる

          本を捨てるひと

           少しずつ、本を捨てている。従兄弟にあげたり、ブックオフに行ったりだとか。親を頼りたくないので、自転車を使って。  本は私にとって淋しさを埋めるための仮の友人で、私は今、たくさんのひとに囲まれている。本を読む暇なんてない。大学生になったらしばらくの間またひとりになるのだろうけれど、4月からの人生は私のものではないので本なんて買ってられない。スマホも修理しなきゃいけないし、交通費もコンタクト代も服代も何もかも自分で稼がなきゃいけない。ましてや、本なんて。  私は本をあまり読

          本を捨てるひと

          人生、はじまりおわる

           地頭は悪くない方だと思う。中学3年生のとき、春期講習が終わってから塾に通い始めた。数学はものすごく先の範囲までいっていて苦しかったし入塾テストは悪くて小学校から一緒の女の子に裏で馬鹿にされていた。他の子たちは全教科受けていたけれど、私は数学と英語だけ受講していた。勿体ない、と母が言うから。  自分に文章を書く才能を見出したのはこのときだった。湖のあるこの場所では特色選抜なるものが存在していて、それは訳の分からない筆記テストと小論文で合格が決まる。今思えば、難易度をおもっき

          人生、はじまりおわる

          泣き虫ジュゴン③

           彼が撒き散らした毒の残り香を振り払うように扉を開けると、中には誰もいなかった。幻想図書館の住人とやらは今日はいないらしい。僕は極度の人見知りなので、突然出くわすことがなくてよかったと胸をなでおろした。  広い部屋だった。豪奢なペルシャ絨毯と感じのよいアンティーク調のテーブル、そしてソファが規律正しく並べられている。白雪さんの部屋ほどではないが本棚が部屋を囲んでおり、裕福な異国の図書館、というような装いだった。部屋の奥の壁には大きな絵画が飾られており、微笑む1人の女性が描かれ

          泣き虫ジュゴン③

          泣き虫ジュゴン②

           かれこれ1時間ほど、僕は掌の上で気持ちよさそうに眠るカッターを見つめ続けている。ペットボトルと違って蓋のないその刃を押し出して手首を切ることなんて赤子の手を捻るみたいに簡単だ。だけど僕はとんでもない臆病者で、そんな恐ろしいことなんて、とてもできやしないのだった。  安物のカッターと窓から差し込む夕陽の色はオレンジで、つまりは夕陽も安っぽい。それに照らされてオレンジ色に染まっているであろう僕もまた然り。旧校舎の窓にはカーテンがない。ボロボロになって捨てられてしまったらしい。誰

          泣き虫ジュゴン②