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【ASDと恋愛】誰でも「恋愛」のステージに立てる落とし穴。

 今回の「ASDと恋愛 誰でも恋愛のステージに立てる落とし穴」というテーマですが、ASD当事者の自分が思ったことを素直に書き連ねていきます。これは過去にスタンドFMで放送した内容を加筆修正したものです。一応前置きとして、緩い話ではなく尖った話になるかと思います。綺麗事を抜いた分、毒気が強いかもしれません。早速本題に入ります。

 まず辞書的な意味で「恋愛」を調べてみると、「特定の人に対する特別の愛情を感じて恋慕うこと。また、互いのそのような感情をもつこと」と書いてあります。
 つまりは特定の人に対して、特別な感情を抱き夢中になること、いわゆる愛情を向けている状態と言えるでしょう。
 
 現代は、昔のように家と家との間で婚姻が決まる時代ではなくなっているので、「猫も杓子も恋愛に参加できる」状態かと思います。
 
 ここで個人的に感じることなのですが、「誰でも恋愛に参加できる」というのは恋愛強者やその可能性がある人にとってはすごく良いことだと思います。

 しかし、世の中には自分を含めた「恋愛を成就できる可能性が低い人」も残念ながら一定数存在します。

 恋愛に参加できるのは良いけど、「片想い」や「失恋」の積み重ねで時間や思考のリソースをいたずらに消費することを望んでいる人はほぼいないでしょう。

 発達障害という観点から考えると、ASDの社会的コミュニケーション障害の一つに「相互の対人的-情動的関係の欠落」という項目があります。これを言い換えると「人と親しくなり、心を通い合わせることの障害」と言われています。また、恋愛はとても高度な対人スキルが必要とされ、ASDの人が文脈や相手の言葉以外から感情を読み取り、場に応じた行動をするのは、とても難易度が高く感じます。
 そういった点からもASDの人が「お互い」に特別な愛情を感じて恋慕う感情を持った状況に到達することの高度さを感じます。一方的な恋愛は可能ですが、相互的となるとグッとハードルが上がるでしょう。この「相互的」というのがASDの人にとって恋愛をする上で非常に難しい要素になると感じます。

 ただ、ASDだからと言って全く恋愛が成就しないこともないでしょう。コミュニケーション力の拙さを補う要素があれば十分に恋愛を成就できる可能性が広がるかもしれません。
 その要素とは「見た目やスタイルの良さがあり、若くて健康的か」、「一定の賢さを備えているか」、「人を惹きつける何か」や「人を養う分だけの稼ぐ力を備えているか」などがポイントになるでしょう。当たり前ですが、若々しくてかっこよく、魅力があり賢く稼げる人はモテるなと見ていて感じます。多少コミュニケーションが不器用でも、そこがチャームポイントになる可能性を感じます。

 しかし、不細工で老けて不健康、貧乏、コミュニケーション力が乏しく愚鈍で疎通が悪いとなると、これらの要素を複数かつ強く持っている人と恋愛関係を希望する人は稀でしょうし、自分は見たことがありません。

 ASDには、「状況にあったやりとり、行動が困難なこと」と「限定された行動、興味、活動の反復」といった特徴があります。これには「立ち回りの不器用さ」と「物事に執着しやすい」要素が含まれているように思えます。

 さらにASD者の場合、青年期以降に精神疾患や自殺などの多様な精神問題を持ちやすく、精神疾患や自殺は、対人行動問題、孤立感が背景になっていることが多く、社会適応に苦しみ悩む要素が往々にあります。「社会適応」に失敗すると、親の経済力や本人の社会資本が乏しいと、簡単に「貧困」や「孤立」に陥ることが容易に想像できるかと思います。話がそれますが、面子を守ることに執着して目も当てられない状況になる前に「支援」を受けることが望ましいです。

 話を戻して、残酷なようですが苦手で楽しいと思えず、成就する可能性のないことに時間を費やすなら、得意で楽しく、成就する可能性が見込めることに時間や思考のリソースを振り分ける方が、人生の質が大いによくなると思います。

 人生の時間は有限ですし、時間は「命」です。恋愛に失敗し続けている人は、どこかで一度、「今、恋愛を頑張ろうとしているけど、これは成就する可能性があるのかどうか」という自問自答はした方が良いかと思います。その過程で「自分が持っている期待値」を生きづらくない程度にダウンサイジングできる術を身につけることが必要に感じます。

 そして停滞感を感じるときは「なぜ、恋愛を成就させたいのか」を深掘りしても良いかもしれません。その背景には、「孤独への恐怖」「自分の欲を満たす」「恥や惨めさ」など複数の要素が複雑に絡み合っているかもしれません。
 自分の身勝手な理由が多く、相手の利益にならないことを無理矢理押し通すと、余計に成就が遠ざかると感じます。

 自分の場合は、過去に「恋愛弱者宣言」をした通り、今後の恋愛成就の可能性が著しく低いことを痛感したので、「恋愛」に張ることをやめました。

 自分の人生の時間は有限ですので、残りの人生は、自分が得意で楽しく、成就する可能性のあることに多くの資源と時間を使い、人生の質を上げて、なるべく悔いのない充足感を得られる時を過ごしたいです。

 そんな訳で、今回は「ASDと恋愛 誰でも恋愛のステージに立てる落とし穴」について、ASDは元々恋愛と相性が基本的に悪く、行き詰まったら一度自分の立ち位置を振り返る機会を設け、方向性を見直す作業が必要でしょう、といったことを語りました。
 以上で今回の話はここまでとなります。

 「ASD者は恋愛が苦手」をそっくり体現してしまい、実質「恋愛敗者宣言」という内容になりましたが、綺麗事で煙に巻くことに違和感を強く感じる性分なので、素直に本音を語りました。自分の失敗体験が何らかの参考になれば幸いです。

 


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