一円玉の価値

日本人なら1度は手にしたことがあるであろう一円玉。その価値は文字通り1円にしかならない。しかし『一円玉を笑うものは一円玉に泣く』という言葉があるように捉え方は様々で、人によってはとても大切に扱うのだろうなと思う。しかし一般的な認識の一円玉の『価値』とはあくまで貨幣であるということにしかほとんど考えられていない。そこで一円玉に別側面の価値をつけてみる。例えば特に汚れや傷などない綺麗な状態の一円玉を自分の中で他とは違う特別なものとして扱う。支払いに使わない。税金などによって生まれた端数を揃えるなんてものには使わない。別の一円玉を使う。するとどうだろう、それを行った人の中ではその一円玉には特別な価値が生まれる。傍から見ればただ汚れや傷がなく、他の一円玉と違うところがあるとすれば製造年が違う程度のその代物に本人だけの特別な価値が生まれる。その瞬間その一円玉は一般的な他の貨幣と違う価値を得る代わりに金銭としての価値を失う。しかしそれは本当に一円玉に対する公平な認識なのだろうか。一円玉を1円として見なくなることは果たして一円玉が望んだことだろうか。これ以上汚れや傷がつかないと喜ぶのだろうか、はたまた己の存在理由を失うのだろうか。一円玉の価値とは。

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