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今日のあしげい(2023年8月19日〜20日)

北海道は知床・斜里町での「葦の芸術原野祭(通称:あしげい)」は無事会期を終え、大団円を迎えました。その最終日と後日の様子を小泉柊介がレポートしていきます。
中條玲さんが書いた前回の記事(2023年8月14日〜18日)はこちら▽


8月19日のこと

あしげい最終日。この日は北海道の夏にしてはジリジリとした暑さではあったものの、旧役場庁舎(旧図書館)の二階から吊るされたハンカチのガーランドが気持ちよく風に靡いていました。

午前中はそんな天気のもと、会場の入り口付近ででんぷんだんごと桂のパンが屋台に出店されていました。暑い中にもかかわらず双方ともに列ができていてどっちにも並ぼうとみなさん躍起になっていました。あしげいは芸術祭に留まらず食も目白押しの祭りだなぁと思います。

斜里のソウルフードであるでんぷんだんごは、でんぷんと甘く煮た金時豆で作っているらしくとてもシンプルな食べものですが、その美味しさに目を剥いてしまいました。桂のパンさんは去年の最終日にも出店されていてその人気さに惜しくも買うことができなかったのですが、今年は幸いにも食べることができました。とうきびベーコンマフィン美味しい!(急にこども)。実際にも、買ったパンを持った子どもが青々と茂る芝生を嬉しそうに走っていました。

パラソルの日陰で休みながらでんぷんだんごをつくるご婦人方(右のお二人)
ハンカチのガーランドのもと桂のパンに並ぶ人たち

夜は千秋楽を迎えた『葦の波 part2』が上演されました。今年は反復する波のように前回の上演を踏襲しつつ、新たな波を産み出していました。葦の波がどんな上演なのかを言葉にするのはほんとうにむつかしいです。強いて言葉にするのなら演じ手が斜里というまちでどんな人や事に出逢ったのか、そのときの感動をみる人に届けたいと思い、届けようとすることそのもののような気がします。自分はその姿を逃さないようひたすら記録していました。

去年まだコロナ禍の中行われた『葦の波 part1』の最後では、ねぷた囃子のような口笛のなか小さな灯りの山車のようなものが暗闇のなか引かれてきました。今年斜里町では4年ぶりにしれとこ斜里ねぷたが開催されました。あしげいは今年3年目を迎え、実行委員のメンバーはようやくこの祭りを目の当たりにできただけでなく、山車の引き手としてまちへと繰り出しました。その出逢いを通し、今年の最後のシーンが新たな姿を見せてくれたことに、自分は撮影しながらも目頭が熱くなりました。

『葦の波 part2』第三部、浮かぶ斜里岳を囲む観客のみなさん
『葦の波 part2』第三部の最後のシーン

8月20日のこと

実はあしげいは閉幕を迎えたかにみせて翌日も続いています。それはどういうことかというと、あしげい会期中に来場した方々が預けてくださった思い出の品々を受け取りにもう一度会いに来てくださるからです。本棚を埋めていった思い出の品たちが持ち主のもとへと帰っていく様子をみていると、旧役場庁舎(旧図書館)が眠りに入るようにゆっくりと瞼を閉じていくのをみているかのようでした。

夜にはお疲れさま会が会場で開かれました。実行委員にとどまらず、会期中あしげいの広報に多大なる協力をしてくださった現在の図書館の館長さんも来てくださいました。来年の抱負を各々が口にしつつも、和気あいあいとして笑いの絶えない時間でした。

お疲れさま会にて『葦の波 part2』第二部の斜里ラップ再演の様子

今年はメンバーが増え、会場も本会場だけでなく新たに川村邸で前夜祭や上演が行われ、次第にあしげいを知る人が増えていきました。94歳にもなるこの建物は、来年もまたこの場に多くの人が集うことを夢みて、一つ歳を重ねて変わらず待っていてくれるでしょう。

                          (文:小泉柊介)


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葦の芸術原野祭は、有志による継続的な開催を目指しております。グッズの売り上げ・カンパは大切な継続資金となります。会場に足を運べない方も、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

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