β-398 どくはく

楽曲を軸にさまざま書いていくシリーズ、第17回は坂本真綾さんの「独白」です。

劇場版Fate/Grand Order-神聖円卓領域キャメロット- 前編 Wandering; Agateramの主題歌として昨年(2020年)リリースされた楽曲であります。

作詞は真綾さん、作曲はandropの内澤崇仁さんで、真綾さんとは「レプリカ」以来のタッグです。

「レプリカ」自体はFGOとはさほど関係なかったみたいなのですが、生みの親である奈須きのこさんが気に入ったこともあって、劇場版に起用されたとのことでした。

とは言っても、私はFGOの存在は知っていても、いままでのFateシリーズ未視聴、未プレイ勢としては、「独白」がFGOらしいと言われてもピンとこず、一応"そうなんだ、へぇ・・・"ということでなんとなくそんなことを思いつつ、本質的に理解するには時間を要しそうなので、そうした要素を抜きにメロディと歌詞の視点から紹介していこうかなと思います。

まず初めは静かに、「独白」という以上、賑やかなところで発されるものではなく、静まり返ったところから進んでいきます。

終わりを拒み続けた愚かな旅人の物語という出だし、恐らくFGOとリンクしていることからしても、そうなんだろうなというのは、なんとなく汲み取れるような取れないような。

遠い昔の約束が焼き付いて離れずに、愛する人を失う未来に怯えていた自分を残酷なその瞳であまりにも遅すぎると突き放してほしいというのがプロローグとなっています。

焼き付いて離れないがゆえに、怯えていた自分がいたがゆえに、終わりを拒み続けてしまったがゆえに、恐らく不幸な出来事が起こってしまったのだろうな・・・という推察がとれなくもない。

正しく在りたいと願うほど、自分の不純に気付き、それを全部捧げて与えて、満たされてしまっていた・・・、という自供が続く。

そしてサビへと向かう。

憧れて待ち焦がれた楽園を跡形もなくぶち壊してしまった、絆と呼んだ細い糸を手繰り寄せる前に断ち切ってほしい、"さよなら"という短い言葉の響きで愛を示せるのならあなたへ・・・、というところで間奏に入る。

ここまでを振り返ると、遠い昔の約束が焼き付き離れず、愛する人を失うことに怯えるがゆえに、正しくありたいと願いつつも、そのたびに自分の不純に気付き、それを全部与えて捧げることで満足してしまっていた、でもその不純の処理が楽園を完膚なきまでに壊してしまうほどのもので、取り返すことができなくなってしまった、そんな自分が犯した行動や言動諸々をどうか残酷なその目で突き放してほしい、さよならで想いを伝えられるのなら、伝えておきたい、独白したところでもう遅い、後の祭りなんだから、絆とやらも断ち切ってほしい。

だが、次の歌詞を見ると、その断ち切ってほしい相手というのは、ざんねんなことに眼前にいないか、目の前にはいるけれど、声を出しきれないのか、そんな雰囲気にさせられる。

この独白は実際に発せられたものではなく、心の中で発せられた叫びであるとされているそうだ、そりゃ実際に独白したところで、許されるものでもなく、残忍な結末は変わらず、となってしまったら、いまさら告ぐ資格などないと感じてしまうのも仕方がないかな、と感じてしまう。

泣き疲れ、崩れ落ちて、結末が取り返しのつかない事態になってしまったら、告げたところで・・・となってしまうよね。。

っていうのをなんとなく妄想してしまいますね。。

メロディとしては、最初は静かに始まって、「突き放して」の合図で徐々に展開されていく壮大な風景が、広がっていくのがたまんないし、しっかりとこびりつく部分でもありますね。

静かに始まっている所以としては、主人公が独白するタイミングで映画が締められるとのことで、そこから主題歌が流れるためにというのもあったそうです、そこからのスペクタクルショーは圧巻で、オーケストラも加わって、世界観をさらに無限に広げていくさまは、「どうなっていくんだろう」という気持ちにもなります。

真綾さんにしては珍しく、明るい兆しみたいなものを詞には込めず、後編の主題歌に託そうとのことで、終始一貫して悲観した内容になっています。

ちなみに後編の主題歌、宮野真守さんの「透明」にて、"透明な私になる"、"さよならから次の旅が始まる"、"なりたかった私になる"と、すべてを受け入れて、振り返りながらも、それでも前に進むという気持ちを込めた展開になっております、この楽曲の作詞も坂本真綾さんです。

「独白」ではやってしまったことに自暴自棄になってしまい、でも「透明」では、それを受け容れて、透明になって、なりたかった私になると次の旅路をゆく内容となっております。

こう考えると、「独白」と「透明」は1セットで考えたほうがよさそうですね、と勝手に締めくくってしまいますね、前後編の主題歌ではありがちなのかもわかりません。

ということで、表層的ではありますが、「独白」についてあることないこと書いてしまいました、私の周りで真綾さんの楽曲をよく触れている、演奏している、歌っているという方が何人かいらっしゃるので、ほんのちょっとだけレパートリーや旋律、歌詞と言ったところはうろ覚えですが、そうした方々を経由して触れたことがありまして、原曲もカヴァー演奏も、その熱唱も。

今回、「独白」の旋律がクリーンヒットしたことで、少し熱を帯びてもいいのかなというきっかけともなったのかもしれません、いろんな関心事との並行で進めていくので、理解していくのに時間を要するかと思いますが、ちょっとずつでも真綾さんの歌詞、歌い方などの振る舞い方を知って楽しめたらと思うあした・の・β<ベータ>でした。


ここまで読んでいただいてありがとうございます(人''▽`) 間髪入れずに言ってみますか・・・ よろしければ!でもまさかね・・・