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ICUダイアリーの実際とは?その3

今回はICUダイアリーを積極的に運用している医療者にインタビューをしました。運用している中で見えてきた、課題や運用する中でのルールづくりなど、現場ならではの新しい発見が沢山ありました。
お忙しい中、貴重なお時間をいただきインタビューに答えてくださった
Mさんにこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。

ICUダイアリーを始めるタイミングについて教えてください

言動と認識の乖離が出てきた患者さん(PICSの兆候)などダイアリーの始まりはさまざまですが、始めるタイミングについて明確なルールは決めていないません。

私の場合は長期入院になる患者さんには、初日からダイアリーをつけるようにしています。また、1〜2週間家族が面会できないような患者さんにもご家族が来れなかった間の状態がわかるように、ダイアリーをつけることもありますね。でも患者さんによっては、2週間でも3P程度の人もいたりします。数日で退出する方もいるのでまちまちですね。

スタートするタイミングは受け持ちのスタッフによりますが、患者さんの状態によって初日はバタバタして、写真やダイアリーをつける余裕がなかったりすることもあります。

自分で自分の記録をしたい患者さまには、ICUダイアリーは最初からやっています。こういった場合は、家族の許可をとってから始めるということではなく入室後数日にご家族に許可、確認をとることもあります。

ICUダイアリーはどのように作っていますか?

以前は、凝ってしまう人もいて、別のスタッフにも同じクオリティを求めてしまい大変な思いをしたり、手で描くのが字が下手だったりするので、

クオリティの差がでてしまい、段々だれのためのICUダイアリーなのか?という目的を見失いそうな時期があったので、現在はテンプレートをつくっています。

パソコンの中にワードで作ったテンプレートがあり、そこにその日の内容をテキストで入力し、写真があればデジカメで撮影したものを貼り付けています。余裕があれば丸く切り抜いたり、背景に色をつけたりしています。

テンプレートができてからは、そこまで細かく書かなくていいという感じになっているし、時間がかからなくはなりましたね。

患者さんごとにフォルダで分けて、作成したらそこに貯めていく形です。

現状面倒なことはあまりないですね。テンプレートによってある程度のルールもでき、目的も明確になり運用が楽になりました。

ICUダイアリーの内容(項目)はどのようなものになりますか?

ICUダイアリーの内容についてルールは必要だと思います。

基本的にはリハビリの内容をピックアップして記載しています。

中には先生も話していないことを記載してしまったり、病態について記載してしまうと混乱を招いたり、やったことのサマライズになってしまうスタッフもいるので、管理者の確認を入れるようにしています。

そういった意味でもテンプレート化したことは良かったですね。

ダイアリーによってPICSへの影響などはありましたか?

実はうちの病棟はPICSで大変になってしまう患者さんのケースが少ないのですが、ダイアリーの目的としてPICSという点を差し引いても、ご家族への共有という意味で価値がでていると思います。

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ICUダイアリーを積極的に運用しているからこそ見えてきた
課題や工夫を知ることができ、テンプレートの作り方がより明確になりました。
次回は今後の希望や検討していくべき内容など具体的に伺います。

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