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ICUダイアリーをつくってみた。その2

こんにちは。IN//SEKIの中尾です。

アスクレピオスではICUダイアリーの可能性と現状の課題について整理し、院内専用タブレットやスマホで、手軽にICUダイアリーがつくれるアプリ化のアイデアが生まれました。必要な項目の仮説をたてるために、自分たちでICUダイアリーをつくり体験してみたのが前回でした。

今回はICUダイアリーをつくってみて、見えてきたヒントについてお話しします。


共通していたこととは・・・

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日付や名前など、基礎情報以外に全員に共通していたのは以下の項目でした。

その日のお天気や季節を入れる

私たちが拝見したICUダイアリーの中に、お天気や季節感がわかるような記載がありませんでした。思い出を振り返る時、まず季節を思い出すことが多いのではないでしょうか?

ですがICUの患者さんは、外の景色を見る機会も少なく、通年冷暖房で調整された環境にいるため、肌で季節を感じる機会もほとんどありません。闘病の記録を振り返る時に、元気な時と同じような感覚で、季節や天気を思い浮かべることで、歪んだ記憶を少しでも修正する助けになる可能性があるのではないかと思いました。


・写真への加工ができる

現状は病棟用のデジカメなどで撮影し、印刷して貼り付けるという形が多いようですが、病院専用のタブレットがあればより撮影する機会が増えるかもしれません。

写真に楽しい加工ができる仕組みがあると、患者さんやご家族が日記を振り返った時に、喜んでもらえるのではと考えました。

ただ、写真は毎回撮影できるとは限らないので、登録しなくても成立するような見栄えも同時に考える必要があると思います。

・リハビリの内容

リハビリは闘病生活の中でも大きなトピックの一つです。より良い変化があった時はもちろん、あまり変化がない時でも、リハビリを頑張った記録を残しておくだけでも意味があるのではないかと考えました。

・ICUダイアリーの目的を説明する挨拶ページ

現状は、ご家族にダイアリーをつける旨を許可いただいた後に運用が始まります。その説明を日記冒頭にページとして設けておくことで、許可の記録を残すとともに、ダイアリーの目的をご家族に知っていただく機会を作れます。

検討が必要な項目は・・・

逆に状況によってダイアリーに不要になってくる可能性がある項目もでてきました。ここは医療者へのヒアリングで明確にしてきたいと思います

バイタルサインを入れるか?

看護記録にも記載がある上に、状態がよくない日もあるため混乱を招く恐れがあるかもしれません。

リハビリの詳しい内容をいれるか?

リハビリの目的や詳しい訓練の内容まであった方がよいのかどうか、看護記録に記載のある内容とどう差別化するのか?など議論が必要です。

1日のスケジュールをいれるか?

患者さんやご家族によっては、その日にどんなことが予定されているのかを知ることで、回復への動機付けになることも考えられますが、変則的な場合も多々あるので、どのようにして入力したらよいのか、あるいはスケジュール自体を入れる必要性がどこまであるのかは検討していきます。

他にも、スタッフ紹介のページや、関わったスタッフごとに日記をつけるのか?1枚の日記を複数のスタッフが更新するのか?など仕様についてもヒアリングで検討していく内容が浮き上がりました。

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ICUダイアリーを医療者の気持ちになって作ってみて、気づいたことがあります。それは、日記に想いをこめているということ。

リハビリの内容や励ましの言葉、いい表情がとれた写真など、全て患者さんに元気になって欲しい。ご家族にそれを伝えたい。という想いものせているのではと思うのです。

私たちが目指しているのは、単なるシステム的なアプリではなく、使った方の感情をうごかせるようなアプリです。

IN//SEKI 中尾

アスクレピオスは医療環境の未来について、一緒に考え、カタチにしていくラボでもあります。
医療者のみなさんのご協力なければ、医療環境は変えられません。少しでも興味ある方のお問い合わせ、ご意見やご感想お待ちしています。




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