浅生鴨

たいていのことは苦手です。

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マガジン

  • 浅生鴨の短編三〇〇

    週に二本(ひと月に八本)の短編を三〇〇本掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばない) このマガジンの連載をまとめた 第一集『すべては一度きり』 https://amzn.to/3MSgEOq 第二集『たった二分の楽園』 https://amzn.to/3P7uTRi 発売中。

  • いつか見た色

    短篇小説を連載しているものとは別に、日々あれこれ考えた随想的小文を書き連ねるマガジンです。たぶん週に一回程度(月に五〜六回ほど)、書ける範囲で更新していきます。『短篇三〇〇』のような癖のある文章はちょっと苦手だなという方も、こちらはもしかしたら気軽に読めるかも知れませんし、やっぱり読みづらいかも知れません。

  • 浅生鴨の『ラブレター』制作日誌

    幡野広志さんの著書『ラブレター』を制作する日々の記録です。

ウィジェット

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    ラブレター: 写真家が妻と息子へ贈った48通の手紙

    幡野広志
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    What's on Your Mind, Tora-Chan? 寅ちゃんはなに考えてるの? (ネコノス)

    寅次郎
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    終わりなき不在 (ネコノス文庫)

    佐川 恭一
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    ねこラジオ (ネコノス文庫 キ 1-3)

    北野勇作
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    ありふれた金庫 (ネコノス文庫 キ 1-1)

    北野勇作
    • 浅生鴨の短編三〇〇

    • いつか見た色

    • 浅生鴨の『ラブレター』制作日誌

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最近の記事

食券

 さんざん苦労して現金を用意したのは向こうの世界へ行くためで、未だにあちらでは物資の交換手段として現金が使われていると聞いたときには比嘉も驚いたのだった。現金だけではない。手は石鹸で洗うし、インクを使って文字を書くこともある。神仏はプラグインではなく建物の中に物質の形で据えられているらしいし、ガソリンで走る車もまだ使われているのだという。 「そろそろ行きましょうか」  声をかけてきたのは初老の男性だ。比嘉といっしょに向こうへ渡るこの人物は先生と呼ばれているが、どこかの学校で何

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    • パスタ

       いつごろからか「町中華」なる言葉を耳にするようになった。

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      • 名簿の人

         目を覚ました中村河たかねは、ベッドに入ったままスマートフォンをチェックした。専用のアプリを立ち上げると、ぼんやりと光る画面に顔を近づけ、届いている名簿にさっと目を通す。  名簿に載っている十二人の中に、知っている名前はなかった。  どこか安堵の気持ちを覚えながら、たかねは一人のチェックボックスをタップし、そのまま躊躇うことなく送信ボタンを指先で押す。  ヒュンと風を切るような効果音が鳴ったあと、ご協力ありがとうございましたと書かれたウインドウがしばらく表示され、やがて消えた

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        • 笑った理由

           照明を落として薄暗くなった会議室の中にいきなり大きな笑い声が響き渡った。 「わはははははははは」  それまでグラフだの表だのが映し出されたスクリーンをうとうとしながら見つめていた出席者たちは、一斉に顔を声のほうへ向ける。  役員席に座る一人が体を丸めて机の陰へ隠れようとしている。だが、そうやって隠れようとしているのに、なぜか笑うのを止めるどころか、ますます激しく笑うのである。  「うひゃひゃ」  隣に座っている役員も釣られたのか、いきなり体を抱え込むように縮こまらせた。 「

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        • 浅生鴨の短編三〇〇
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        • 二つのこと

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        • 今年の抱負というか予定というか

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        • 12/28(木) 青山ブックセンターで恒例の「推し本トーク」

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        • 12/22(金)・23(土) POP UP ストアをひらきます。

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        記事

          青色のミニバン

           傅の耳に届いたのは、革の緩んだ大太鼓を叩いたときに鳴るようなブワワンという、どこか間の抜けた音だったが、思わず振り返った傅の目に映った光景は、けっして間の抜けたものではなかった。  花屋が配送に使っている青色のミニバンは激しいクラクションを馴らしながら急ブレーキを掛けて止まったものの、ボンネットにすくい上げられた隆の身体は二メートルも宙に舞い上がって、ダンダンダンと屋根を転がったあと、車の後ろへ落下した。アスファルトからぶわっと白い砂埃が立ったように見えた。  傅は自分の背

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          青色のミニバン

          俺と布団

           いつもより数時間も早く目が覚めたのは、妙な寝苦しさのせいだった。窓の外はまだ暗く、表通りを走るトラックの音が微かに聞こえてくるだけで、それ以外には何の音もしなかった。  木寺は横になったまま、記憶の隙間へ落ち込んでいく夢の断片を何とかすくい上げようと、ぼんやりとした頭でしばらく追いかけたが、いつものように朧気な気配だけを残して夢はどこか深いところへ消えていった。  もはや何一つ思い出せないものの、悪夢を見たという感覚だけは残っていた。それもひどい悪夢だ。  気づけば全身にぐ

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          俺と布団

          醍醐味は上手くいかないことにある

           定期的に旅に出たくなる。  行くのなら、できれば一度も訪れたことのない場所がいい。僕の知らない文化がある場所がいい。旅に出れば自分がどれほど世界を知らないかが実感できる。僕は世界を何一つ知らないのだとわかる。

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          醍醐味は上手くいかないことにある

          保護犬・保護猫と新しい家族との出会いをお手伝いをする生放送『家族になろうよ』もなんと第9弾。これまではNHKBSでの放送でしたが、今回は総合テレビで。土曜の午後、いっしょに犬猫たちの未来を考えませんか? 今日の午後3:05〜4:34。 https://www.nhk.jp/p/kazoku-n/ts/B211YRY5GQ/

          保護犬・保護猫と新しい家族との出会いをお手伝いをする生放送『家族になろうよ』もなんと第9弾。これまではNHKBSでの放送でしたが、今回は総合テレビで。土曜の午後、いっしょに犬猫たちの未来を考えませんか? 今日の午後3:05〜4:34。 https://www.nhk.jp/p/kazoku-n/ts/B211YRY5GQ/

          割り込み

           深刻な雰囲気だった。店内に広がるコーヒーや焼き菓子の香りも、ゆったりとしたジャジーなBGMも、肌を刺すように張り詰めた気配を払拭することはできなかった。 「どうして言ってくれなかったの。おかげで間に合わなかったじゃない」  さっきからずっと俯いていた女性は、そう言ってから手元に置かれたコースターに爪を立てた。コルクの表面が剥がれてくっきりとした痕が残った。 「だって何度も言っただろ。君だって知ってるはずだ」 「言ってたのは知ってるけど、もっとはっきり言ってくれないとわからな

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          迫り来る卿

           最近、僕の周りにはときどきローガン卿が登場する。

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          迫り来る卿

          家から出たくない病

           ときどきというよりは、ほとんど毎日のように「家から出たくない病」を僕は発症している。いくら出たくない行きたくないと駄々をこねても結局は行かざるを得ないのだからさっさと出かければ良いものを、コーヒーを一杯飲んでからにするだの出る前にトイレへ行くだの寒いだの暑いだの天気が悪いだのと、何だかんだの理由をつけて引き延ばし、とどのつまりは慌てて飛び出すことになる。  用件が仕事でも遊びでも変わらない。楽しいことでも嫌なことでも変わらない。それなりの時間をかけて旅の支度をして、さあ出か

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          家から出たくない病

          直近のご案内あれこれ

          4月からNHKで新しく始める番組「eKoes」。MCの岸先生との打ち合わせも終え、セットのデザインもだいたい固まり、あとは細かな演出をディレクターといっしょにあれこれ考えているところ。 NHKの福祉ポータルサイトに寄せられるたくさんのネット投稿を、少しでも多く紹介しようという趣旨の番組で、みなさんの「声」を大切にしたいからこそのセットデザインと演出にしたいと思っている。 あまりテレビではやらないようなカメラアングルを考えているから、技術チームが「え? それでいいんですか?」「

          直近のご案内あれこれ

          『短篇三〇〇』毎回のように「今回は無理だ!」と思いつつ、なんとか275篇まで一度も落とさずに書けているから自分でも驚く。単行本の書き下ろしも入れたら280篇くらい? クオリティはさておき、これだけの数を書く訓練は、ものを書くための基礎体力をつけてくれている気がする。ありがてぇ。

          『短篇三〇〇』毎回のように「今回は無理だ!」と思いつつ、なんとか275篇まで一度も落とさずに書けているから自分でも驚く。単行本の書き下ろしも入れたら280篇くらい? クオリティはさておき、これだけの数を書く訓練は、ものを書くための基礎体力をつけてくれている気がする。ありがてぇ。

          ミステリーの作法

           応接のソファに腰を下ろし、青谷凪亮子は静かに原稿を読み進めていた。開け放たれた窓から流れ込む風はいつになく爽やかで、すでに夏の青い香りを含んでいた。  左右に素早く動く目は一度も止まらず、次々に原稿用紙が捲られていく。いったいいつからそうしているのだろうか。目の前に置かれたコーヒーはとっくに冷めている。  向かい側のソファでは丸古三千男が悠然とした態度を装いながら文庫本を開いているものの、やはり書き上げたばかりの原稿を読む担当編集者の反応は気になるらしく、何度も視線を外して

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          ミステリーの作法

          プログラム

           キーボードに指を置いたままシュンヤは何かを考え込んでいた。パソコンの画面には自分が担当している若者とその関係者がずらりと一覧で映し出されている。もう何か月も若者の資料を見続けているので、おそらく彼については本人よりも詳しく知っているだろうなとシュンヤは感じていた。若者は数年後に新しい産業を興すことになっている。  しばらくじっと画面を見つめたあと、関係者一覧の中からふと気になった人物の顔写真をクリックして拡大した。昨日までは一覧に入っていなかったが、この名前には見覚えがある

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          プログラム

          このあとすぐ! https://note.com/asokamo/n/nfd6d55bfaa2c

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