水鏡先生 ( 原 耕平 )

水鏡先生 ( 原 耕平 )

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日本:国内デフレ下の物価上昇 = 日本の根本問題を露呈している物価上昇 =

2022年6月3日 〇 米国 : 食糧、サービス部門の物価上昇圧力継続の中、XXXXX 5月27日、4月の米国PCE物価指数 ( 民間消費支出デフレータ ) が公表された。  4月は前月比 0.2%増と3月 ( 同0.9%増 ) から減速、前年比でも3月の6.6%増から4月6.3%増へと鈍化している ( 図1参照 ) 。食料及びエネルギーを除くコア指数の動きを眺めると、前月比では3月0.33%増、4月0.34%増と若干ではあるが、上昇基調を維持している。しかし、前年比でみ

    • 米国「ゼロ金融政策」から離脱 2 = ウクライナ侵攻が生み出したインフレ高騰 =

      2022年4月25日 〇 ロシアの侵攻、インフレ鎮静には更に1年必要 経済も鈍化 利上げを決定した今年3月のFOMCでは、同時に米国の経済見通しを発表している。今回の経済見通しは昨年12月の予測に対し、利上げ後の見通しであり、表1にその概要を示した。( * )欄は昨年12月時点での予測値。数値は各年末10-12月期での前年比(%)、但し、失業率は水準(%)。  「ゼロ金利」解消の引き金である物価について眺めると、今年2022年末時点の民間個人消費( PCE )デフレータは

      • 米国「ゼロ金利政策」から離脱 ( 1 ) =ウクライナ侵攻が生み出したインフレ高騰=

        2020年4月12日 〇 「ゼロ金利政策」 2年間で解除 新型コロナ・ウイルスのパンデミックによる供給制約が継続、インフレ圧力が世界に広がりを見せる中、2月24日、ロシアのウクライナ侵攻が開始された。ロシアの天然ガスに大きく依存している欧州は反発、天然ガスなどロシア産原材料価格が高騰、追加的なインフレ上昇圧力を生み出してきている。  このような状況の下で、3月15、16日に開催された米連邦公開市場委員会 ( FOMC ) は大きな注目を浴びてきた。結果は、政策金利であるフ

        • 後進国へ逆戻りしている日本 = コロナ感染拡大で明確に浮かび出た日本経済の弱さ =

          2022年2月28日 〇 2021年の日本、オリンピック開催でも、感染拡大前に戻らず 2月15日、内閣府が発表した昨年10-12月期 ( Q4 ) の実質GDPは、季節調整済み前期比年率で5.4%増であった ( 図1、表1参照 )。前期の7-9月期は東京オリンピック、パラリンピックが開催された時期であるが、ウイルス感染急拡大を受け、同マイナス2.7%へと落ち込んだが、10-12月期はウイルス感染者が急速に減少する下での回復である。  この結果、2021歴年の実質経済成長率

        日本:国内デフレ下の物価上昇 = 日本の根本問題を露呈している物価上昇 =

          供給不足に覆われた世界的な物価上昇 = 短期的な目先のインフレ鎮静狙う利上げは、慎重に =

          2022年2月12日 〇 新型コロナ感染2年目、急回復した米国経済 米国商務省が1月27日発表した昨年10-12月期 ( Q4 ) の米国実質GDPは、季節調整済み前期比年率で5.6%増と事前の予測を上回る高い伸びを示した ( 図1、表1参照) 。この結果、2021年の実質経済成長率は5.7%増となり、新型コロナ・ウイルス感染が始まった2020年の同マイナス3.4%から急回復した姿となった。 〇 但し、回復2年目の実質GDPは、感染拡大前を2.1%しか上回らず 新型コロ

          供給不足に覆われた世界的な物価上昇 = 短期的な目先のインフレ鎮静狙う利上げは、慎重に =

          家計貯蓄率の推移が示す困窮する日本 = 「消費好き」米国人より低い貯蓄率 消費縮小止まらず =

          2021年11月26日  新型コロナ・ウイルスのパンデミック禍で、日本経済の回復力の弱さが世界の中で表面化してきた。  前回は企業、とくに資本金10億円以上の製造業における付加価値率の低下を示し、日本の成長力減退危機をお示しした。今回は縮小が止まらない日本の民間消費の姿を、日米家計貯蓄率の推移が示す「歴史

          家計貯蓄率の推移が示す困窮する日本 = 「消費好き」米国人より低い貯蓄率 消費縮小止まらず =

          低迷する企業の付加価値率 = リスク回避のみの戦略が生み出した構造変化 =

                                  2021年9月28日  前回レポート「回復力の弱い日本の鉱工業生産」では、新型コロナ感染拡大禍での日本の鉱工業生産の回復力の弱さの背景には、リーマン・ショック以降生産活動が長期的な低迷状態にあることをお示しした。  今回は生産の推移を、国産と輸入、すなわち供給側から、国内供給、海外供給に分けて眺め、企業の付加価値率低迷の構造的な変化をお示しする。 〇 海外供給増加の下、国産低迷、4-6月期でもピーク水準下回る  図1、表

          低迷する企業の付加価値率 = リスク回避のみの戦略が生み出した構造変化 =

          回復力弱い日本の鉱工業生産 = リーマン・ショック後の生産低迷の下、感染拡大 =

          2021年9月12日  前回レポートで、新型コロナ感染拡大から1年半経過した日本経済の姿を米国経済と対比しながら眺めて頂いた。今回は日本の鉱工業生産の推移を財別で眺め、短期的な変動を長期的な推移の中で眺めて頂き、日本経済の置かれている状況を確認して頂く。 〇 鉱工業生産、今年4-6月期2年半ぶりに

          回復力弱い日本の鉱工業生産 = リーマン・ショック後の生産低迷の下、感染拡大 =

          デフレ危機に直面する日本経済 = 構造的な問題を抱える日本に振りかかるパンデミック =

                                 2021年 8月25日  新型コロナ感染拡大から1年半、ここにきて変異株が世界経済に蔓延してきている。今回、米国経済と対比する形で日本経済の状況を示してみたい。状況は、日本経済の先行きに大きなリスクが待ち受けている。 〇 新型コロナ感染拡大から1年半、未だ感染前に戻れぬ日本  コロナ感染拡大から1年半、日本の実質経済成長率は前期比年率で1.3%となり、前期1-3月期マイナス3.7%からの戻りとしては低調なものであった。  米

          デフレ危機に直面する日本経済 = 構造的な問題を抱える日本に振りかかるパンデミック =

          消費財主導の物価上昇 = 前年比からは浮かび上がらないサービス消費の弱さ =

                                 2021年06月30日 〇 民間消費インフレ、4月、5月とFRB見通し上回るも、5月前月比で鈍化  25日、5月の米国民間消費支出デフレータが公表された。基準年の固定ウエイトで算出される消費者物価(CPI)と異なり、民間消費支出デフレータは、毎月の消費支出項目の変化を反映して算出されるため、FRBがCPIより重視している指標である。  民間消費支出デフレータの動きを図1、表1で眺めると、今年3月以降上昇率が高まり、5月は前年比

          消費財主導の物価上昇 = 前年比からは浮かび上がらないサービス消費の弱さ =

          縮小する民間消費支出 = 新型コロナ・ウイルス拡大前から縮小継続 =

                                  2021年6月14日 〇 米国消費1-3月期に感染前水準に戻るも、日本は5%低い水準へ再び低化  図1は日米の民間消費支出(実質)の推移を、財・サービス別に、新型コロナ・感染拡大前の2019年10―12月期を100として描いたものである(日本 : 6月8日公表の1-3月期 GDP 改定値に基づく)。 図1. 日米 : 民間消費支出(実質)の推移(2019年10-12月期=100)  民間消費支出(実質)全体の動きを眺めると

          縮小する民間消費支出 = 新型コロナ・ウイルス拡大前から縮小継続 =

          勢い鈍化するも、回復示す米国法人所得 = 国内非金融主導の回復、海外収益回復に遅れ =

                                  2021年5月30日 〇 法人所得、1-3月期、失速した前期から伸び横這い  27日米国GDPの改定値が公表され、今年1-3月期(Q1)の実質経済成長率は前期比年率で6.4%増と暫定値と同じであった。昨年7-9月期に前期比年率で33.5%増と急激な回復を示した後、10-12月期は同4.3%増と回復の勢いは鈍化したが、年明け後は着実な経済回復を継続している姿を示している。  同時に公表された法人所得(在庫評価前)の推移を眺める

          勢い鈍化するも、回復示す米国法人所得 = 国内非金融主導の回復、海外収益回復に遅れ =

          取り残される日本の姿 = 感染拡大阻止の遅れだけでない経済立ち直りの弱さ =

          2021年5月25日 〇 今年1-3月期の実質GDPが示す取り残される日本の姿  年明け後2度目の緊急事態宣言に追い込まれた日本、懸念されていた景気鈍化が予想を上回る姿で公表された。  今年1-3月期の日本の実質GDPの伸びは、前期比年率で5.1%減と、昨年7-9月期以降の立ち直りに釘を刺す結果と

          取り残される日本の姿 = 感染拡大阻止の遅れだけでない経済立ち直りの弱さ =

          政府支援とウイルス感染拡大が生み出す需要 = 急落からの回復、実態より高めに出る数値 =

                                     2021年5月11日 〇 今年1-3月期実質GDP一段と加速するも、感染前の水準に至らず  新型コロナ・ウイルス感染禍での政権交代の下、今年1-3月期の米国実質経済成長率は前期比年率で6.4%増となり、トランプ政権最終期の昨年10-12月の同4.3%増から勢いを増した(表1)。 表1. 米国:実質GDPの推移  前期比年率で6.4%増を示した反面、前年の水準をようやく上回る程度ともいえ、今年1-3月期の実質GDPの水

          政府支援とウイルス感染拡大が生み出す需要 = 急落からの回復、実態より高めに出る数値 =

          米国債の外国人保有動向から眺める為替、金利、原油価格 = パンデミック禍で国の安全、安心を求める国際金融資本 =

          2021年04月18日  新型コロナ・ウイルスのパンデミックが継続する中、中国、米国、欧州などでワクチン接種が急速に進行してきている。このような状況の下、米国、中国という経済大国1位、2位の力強い回復が期待されている。  米国、中国を中心とした景気回復は、同時に、原油価格や食糧価格の上昇などを通してインフ

          米国債の外国人保有動向から眺める為替、金利、原油価格 = パンデミック禍で国の安全、安心を求める国際金融資本 =

          米国:インフレ懸念の芽はどこに = 消費者物価から眺める物価上昇の姿 =

                                 2021年03月24日  世界の株式市場が不安定になってきている。新型コロナ・ウイルス・ワクチン接種が加速する中で変異ウイルス拡大が報告され、世界経済の回復が遅れるのではないかとの危惧が高まっている。原油価格の上昇の下、バイデン政権の巨額な財政政策で回復を図る米国を中心に、インフレ懸念が台頭し、金融政策にも不透明感が高まっている。  これを受ける形で、3月17日米国パウエルFRB議長がFOMC(米連邦公開市場委員会)後の会見で

          米国:インフレ懸念の芽はどこに = 消費者物価から眺める物価上昇の姿 =