物語食卓の情景・イクメンになり切れない夫②
勝が初めて洋子に会ったのは、食事に招かれたときだった。当時、すでに真友子は東京で働いていて、香奈子の両親へご挨拶する形になった。結婚を意識した彼女の親とはいえ、仕事の面では今一つ将来への自信が持てず、プロポーズするのは躊躇している段階だった。だから、数カ月前から香奈子に「母が会わせろってうるさいの」と言われていたのを逃げ回っていたのだが、「私のこと大切じゃないの?」とウルウルされてしまったら、誠意を見せざるを得ない。
香奈子に押し切られて初めてご挨拶をしたのが、10年前