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PRPを改めて考える③ ~汚染リスクを隔離する! 場所で?時間で?~

こんにちは! あたたけ です。

PRP集中連載の続きです。『JFS-C 規格文書 2.3適正製造規範』を参考に、PRPの(代表的な)各項目について順にまとめています。

※前回記事はこちらから

今回は、隔離のお話からです。

4.物理的、化学的、生物的製品汚染リスクと隔離 ~ハードの問題をソフトでカバー!~

GMP 4 物理的、化学的、生物的製品汚染リスクと隔離
組織は、HACCP チームで作成された工程フローと現場との整合確認に基づき、工程を含む全て(物理的、化学的(アレルゲン含む)、生物的)の危害要因が抽出されていることを明らかにしなければならず、抽出された危害要因は、発生頻度と結果の大きさを評価し、それぞれに適切な管理手段を設定しなければならない。
特定された危害要因で、重要管理点(CCP)以外で、かつ一般衛生管理プログラムでは有効に管理することが困難な危害要因を制御し、原材料(容器包装資材を含む)、半製品、仕掛品、手直し品及び最終製品の汚染、及び交差汚染を防止する手順を定め、文書化しなければならない。
組織は、これらの手順を定期的に見直し、有効に維持しなければならない。


規格の前半はハザード分析の流れですね。

※ハザード分析については、だいぶ記事があります。こちらにHACCPの記事をまとめていますので、ご参考に!

で、規格の後半では、『ハザード分析の結果、CCPとならなかったハザード』について何らかの管理する手段を決めようという話です。

スライド1

※こちらの記事も参考に

うーん、項目名からして『汚染リスク』と限定されているのが、あたたけ的に引っ掛かりますね。。。。
微生物に関するハザードだけでも、汚染の他、増殖、生残、持ち込みなんかがあるような。。。。。
まぁ、増殖は『保管』『在庫の管理』+工程での時間管理で、持ち込みは『購入品の受け入れ』で対応することになるんですけどね。
この辺りを『一般衛生管理プログラムでは有効に管理することが困難な危害要因』という表現で対象から外しているんでしょうか。GMPと一般衛生管理を別ものとするなら、用語の定義にでも書いておいて欲しいんですけどね。
あたたけ的には、そこまで細かい定義?使い分け?は気にせず、『環境の管理=PRP、一般衛生管理、GMP』『工程の管理=HACCP』というシンプルな認識で充分だと思います。

余談になりますが、ハザードの例として『持ち込み』を挙げました。
持ち込みと聞くと、従業員からの持ち込み(特にノロウイルス)を考えるかもしれません。
が、ハザードは『最終製品への影響』ですので、従業員による持ち込みは『従業員からの汚染』が適切な認識だと思います(これは『従業員等の個人衛生基準』で考えることになります。
ここでの『持ち込み』は、『原材料に付着して持ち込まれる(≒原材料に由来する)ハザード』のことです。

さてさて本題に戻りましょう。
隔離、つまり交差汚染防止を考える際には以下の流れで取り組みます。
※あたたけは①②を併せた図面を危害地図と呼んでいます。

①施設内の図面に動線(人、モノ、廃棄物等)および清潔度のゾーニングを記入する
②清潔品が汚染品と接触する、汚染区を通る等、交差汚染が起こりうる場所を明確にする
③ 交差汚染が起こらないように隔離する

実際に進めるには、以下を注意すると良いのかなぁと思います。

◇隔離は物理的な隔離(仕切り、覆い、場所を離す等)だけでなく、時間的な隔離(製造時間を分ける、汚染が起こりにくい製造順とする等)もある!
◇清潔品と汚染品の区分であれば、包装も隔離手段の一つ!
◇包装後の製品については、正常品と不適合品の隔離が大事!けっこうこれが原因で事故が起こる!
◇隔離だけでなく、誤使用や接触防止のための『識別』も有効!

特に、時間的な隔離は、コンタミ防止が難しいアレルゲンの管理や、作業場所が狭く物理的な隔離が難しい場合に大事ですね。

スライド2

ちなみに、動線が複雑すぎる場合は、危害地図を活用しての環境での管理はあきらめ、工程での管理に振り切ってしまうのもアリです。例えば、切り替え時には器具・手指を洗浄する、識別を確実に行い汚染度が違うことを明確にすることで接触を防ぐなどですね。
そんなの、作業する人が大変!って思うかもしれませんが、『動線をキレイに組み替える』よりは、まだ実践しやすいですから。
『ハードの問題はソフトで解決する』『なるべく大元の原因を抑えたいけど、それがムリならモグラたたきでも仕方ない』というところでしょうか。

スライド3


さてさて、この項目の最後に一言。
『危害要因分析に基づき、全ての危害要因に対して予防措置を決める』と
いう考え方にHARPC というものがあります(最近聞かなくなった気もしますが)。
あたたけ的に、一時期、HARPCがもてはやされていたのにはとても違和感がありました。だって、ここの項目に書いてあるような、当たり前に考えるべきことなんですもの!
HARPCについて、あたたけの思うところは以前もまとめていますので、よろしければ見てください!

ではでは。
今回はこの辺りで!

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