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PRPを改めて考える② ~動線変更ってすぐにできない!~

こんにちは! あたたけ です。

前回から『JFS-C 規格文書 2.3適正製造規範』を参考に、PRPの(代表的な)各項目についてまとめています。

※前回記事はこちらから

今回はその続き、事業所(工場等)の設計のお話からです。

3.事業場の設計、施工、配置及び作業・製品の動線 ~設計時点でリスクを抑えたい!~

GMP 3 事業場の設計、施工、配置及び作業・製品の動線
組織は、事業場の工場建屋・施設(入庫区域、原材料資材・製品取扱区域、準備区域、包装及び保管区域など)を場外・場内にわたって食品安全リスクを最小限に抑えるように設計・施工・維持しなければならない。
また、設備レイアウトとヒト・モノ・作業の動線について意図した目的にそっており食品安全リスクを最小限に抑えるようデザインしなければならない。

 ようやく製造する施設の中に入ってきました。
一言でまとめれば、『建物自体の設計や配置(≒動線)を考える段階で、出来る限り食品安全リスクを抑える』ですね。

具体的には、次のような流れでしょうか。
①動線から逆算する形で、施設・設備自体が危害要因を発生させない設計・施工・配置を行う(材質の選定も含む)
②目的とする機能を明確にする
③その機能を維持する(清掃や保守)

規格の記載では①および③のみですが、③維持を適切に行うためには『目的(≒あるべき姿)』がわからないとできませんので。
例えば、『壁』の機能には、当たり前すぎて忘れているかもしれませんが、『外部から製造エリアへの虫やゴミ等の侵入を防ぐ』というものがあります。それが出来ないような状態(≒破損)が放置されていたら、壁の意味がありませんよね。

ついでに言えば、①設計の段階で『維持しやすい設計、材質』も考慮しておくと楽ですね。③は人件費含めランニングコストなので、①のイニシャルコストが少々高くても良いんじゃないかなぁと思います。

ちなみに、『維持』については、別項目(整理整頓、清掃、殺菌・消毒 / 保守)で考えます。

スライド1


さてさて、ここまでは理想論ですね。
そんなのわかってる!という方もいるでしょう。
増築続きで動線がキビシイというのは、食品工場でよくある悩みですので。

既に建てられている工場では、①の設計・施工・配置はどうしようもないことが多いです。
そういう時にどうするのか?

単純な話で、
まず、『現状の施設・設備でどんなハザードがあるか』を考える
次に、そのハザードの防止方法を考えて取り組む
というものです。
つまり、ハザード分析しろって話ですね。

ちなみに、規格には『食品安全リスク』とありますが、施設や設備から発生するものは主に『汚染』です。
で、汚染防止については、次の項目『物理的、化学的、生物的製品汚染リスクと隔離』で考えますので、ここでは『危害地図、動線図等で汚染が起こりそうな箇所を明確にする』に取り組めば良いのかなぁと思います。

設計段階で交差汚染が起こらないようにする(≒ハード面で管理、GMP3)のか、設備上のリスクを踏まえた上で交差汚染対策をとる(≒ソフト面で管理、GMP4)のか、という話ですので『動線が複雑だからHACCP はムリ』ということはないです(ハード面が整っていれば発生する危害要因の評価が低くなりますので、楽にはなります)。

余談ですが、『HACCP 対応の工場・機械ってなんやねん!』って思いませんか?
展示会でそのような売り文句を見た時は『HACCP を理解してないなぁ』としか思えないです!

スライド2

さて、この流れだと『GMP4物理的、化学的、生物的製品汚染リスクと隔離』までまとめるべきですが、ちょっと長くなったので次回に。。。。

ではでは。
今回はこの辺りで!

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