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Food Safety Culture(食品安全文化) / Food Safety-Ⅱ を考える ①はじめに

こんにちは! あたたけ です。

ご縁をいただきまして、『食品と科学』2021年11月号(および12月号)に寄稿しました。

月刊 食品と科学様に許可をいただきましたので、何回かに分けてnoteに投稿させていただきます。
過去にも食品安全文化やFood Safety-Ⅱの記事はあげていますが、その辺りのあたたけの考え方が整理されたものになっているかなぁと思います。

ということで、はじまりはじまり~
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1)はじめに
最近、食品安全に関わる人たちの間で「Food Safety Culture」あるいは「食品安全文化」が話題になることが増えてきました。このような流れのきっかけとして、コーデックス 食品衛生の一般原則 の2020年改訂版への記載、あるいは、GFSIによる方針説明書の発行があります。
コーデックス 食品衛生の一般原則には、「Management Commitment to Food Safety」の項に、以下のように記載されています。

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※原文はこちらです。

以下、筆者訳
◆食品安全へのマネジメントコミットメント
食品衛生システムが有効に機能するための要は、安全で適切な食品を提供するための「人の行動」の重要性の理解に基づいた、積極的な食品安全文化の確立と維持です。積極的な食品安全文化を育むには、以下の要素が重要です。
・安全な食品の生産と取扱いへの、経営層およびすべての従業員によるコミットメント(決意)
・正しい方向性を設定し、すべての従業員を食品安全の実現に向かわせるリーダーシップ
・食品事業に関わるすべての従業員による食品衛生の重要性の認識
・食品事業に関わるすべての従業員間での、逸脱(≒望ましくないこと)や期待(≒望ましいこと)事項を含む、オープンで明朗なコミュニケーション
・食品衛生システムの効果的な機能を確保するための充分で利用可能な資源
経営層は、次の方法で、運用中の食品衛生システムの有効性を確実にする必要があります。
・食品事業に関わる役割、責任、権限が明確に共有されることを確実にする
・食品衛生システムの変更が計画、実行された際に整合性を維持する
・管理が実行され機能していること、文書が最新であることを検証する
・従業員に対し、適切なトレーニングと指導が実施されていることを確実にする
・関連する規制要件の順守を確実にする
・科学、技術、ベストプラクティスの進展を踏まえ、必要に応じ継続的改善を促す

また、GFSIによる方針説明書には以下の記載があります。

“GFSIのテクニカル・ワーキング・グループ(TWG)は食品安全文化を、「組織全体にわたって食品安全に対する考え方と行動に影響を与える価値観、信念、規範を共有すること」と定義しています。”

※原文はこちらです。

なお、GFSIによる食品安全文化の定義は、一般財団法人 食品安全マネジメント協会(JFSM)が公表している「JFS-C 規格文書(セクター:CI,CII,CIII,CIV/K)〔組織に対する要求事項〕」にも引用されており、関連する要求事項がFSM 2に示されています。

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※原文はこちらです。

GFSIの方針説明書では、人というより「組織」に焦点が当たっている印象ですが、結局のところ「食品の安全性確保には人が重要、人を動かすには組織(会社)の文化が重要」という考えに基づくものでしょう。

さて、日本では食品安全の実現に対し、長きにわたり「衛生的な環境管理」が重視されていましたが、HACCP制度化への対応を機に「工程管理(プロセスマネジメント)」の重要性への理解が(少しずつではありますが)確実に広がっています。しかし、いくら有効なHACCPプランを構築しても、その実行には「人」の影響が大きいことを食品安全に関わる一人として筆者も日々感じています。
そのような中、人に焦点が当たる「食品安全文化」というものは歓迎すべきことなのですが、その実現にあたっては不安感(あるいは違和感)があります。本稿では筆者が考える「食品安全文化」の目指すべき姿をまとめてみたいと思います。

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ではでは。
今回はこの辺りで!

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