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PRPを改めて考える⑩ ~基本はハザードを発生させない&ハザード源にしない~

こんにちは! あたたけ です。

PRP集中連載です。今回で最後です。
『JFS-C 規格文書 2.3適正製造規範』を参考に、PRPの(代表的な)各項目について順にまとめています。

※前回のPRP記事はこちらから

今回は、『保管&在庫の管理』『装置・器具』『保守』についてです。

16.保管&17.在庫 ~保管中の管理って忘れがち?~

GMP 16 保管
組織は、食品(原材料、半製品、仕掛品、手直し品及び最終製品)を指定した場所で保持または保管し、食品の安全上のリスクを最小限に抑えるために適切な条件で管理しなければならない。
GMP 17 在庫の管理
組織は、購入した原材料(容器包装資材を含む)、半製品、仕掛品、手直し品及び最終製品を決められた順序かつ保存可能期間内で使用されるための仕組みを確立し、実行し、維持しなければならない。
また、汚染されることなくかつ劣化しない保管条件で保管しなければならない。

ちょっとした愚痴?ですが、あたたけは、なぜこの2つを別項番にしているのかイマイチ理解しきれていません。
ここを分けるなら、15.輸送を工場内と外で分けた方が良いんでないの?と思うんですけどね。。。。。

ということで、2つまとめて『保管時の管理』として考えます。

工場なんかでは大丈夫なことが多いですが、飲食店では『冷蔵庫に入れてさえいれば大丈夫!』くらいの油断を見かけることが、、、、、
わからなくはないですが、いろいろと考えることがあるのですよ!
冷蔵庫に入れて扉をしめたら大丈夫ってことはないです!
冷蔵庫の中でもいろいろと起こるのです!

保管時の管理では、保管中にハザードが発生しないことと、保管しているもの自体が汚染源とならないことが大切です。
『ハザードの発生』としては、保管中の汚染だけでなく、温度や期限管理不良による微生物増殖や品質劣化も入りますね。
『保管しているものからの汚染』については、生鮮原料等からの食中毒の他、食品全般でのアレルゲン、薬剤からの汚染も気になるところです。
ちなみに、アレルゲンは4.汚染リスクと隔離、薬剤の管理は8.整理整頓、清掃、殺菌・消毒に記載がありますので、その辺りとうまく関連付けておくとムダがないかもしれません。。

まぁ、結局は、期限と場所(温度+隔離)の管理になるんですけどね。
工場によっては、期限も場所も全部まとめたルールになっていることもありますが、あたたけ的には、期限は作業の管理、場所は環境の管理と性質が異なるため、分けた方が混乱しないかなぁと思います。

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18.装置・器具 ~その器具、ホントに使って大丈夫?~

GMP 18 装置・器具
装置・器具は、意図した用途に適うように設計及び選定され、食品安全上のリスクを最小化するように使用され、維持・保管されなければならない。

食品に触れる装置・器具は食品用のものを使う』のが大前提ですね。
プラスチック製の器具の場合には、ポジティブリスト化の影響で、『テキトーに選んでしまって違反対象』ということもありえます。

なんにしろ、器具は組織で指定したものを使う、他のものが使われていないか確認することですね。
従業員が便利だからと勝手な判断で(≒ハザードが発生するリスクを考慮せずに)持ち込んだ器具が事故の原因になることもありますので。金タワシとか。。。。。

ちなみに、装置・器具は実際の製造作業に直接かかわるものです。
製造作業の管理はHACCP のハザード分析を踏まえて考えます。
また、設備・施設と比べ、より良いもの(≒より使いやすもの、よりハザードを制御しやすいもの)に交換することも簡単です。
なので、ハザード分析(や生産性)を踏まえ、適切な仕様のものを選択・維持していくことが望ましいと思います。

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19.保守 ~壊れてからでは遅いのです!~


GMP 19 保守
製品の安全上重要な全ての工場施設、設備を計画的に保守する仕組みを確立しなければならない。

あたたけがよく話すのは、『冷蔵庫は魔法の箱じゃない!壊れてしまえば、タダの箱』ということです。
昔、夏の暑い日、6階まで階段であがって冷蔵庫を開けたとき、冷蔵庫が壊れてたことはきっと忘れることができません。。。。

さて『製品の安全上重要な全ての設備』と記載されていますので、製品の安全に影響を与える、施設・装置・器具も対象となります。

JFS規格では、いろんなところで『維持』という言葉が出てきます。
『維持』とは正常な状態を保っていること、適切な性能を発揮し、ハザードとならない衛生的な状態みたいな意味でしょうか。
で、そのための活動が『メンテナンス』で、メンテナンスには、機能を維持する『保守』と、衛生的な状態を維持する『清掃』があるのかなぁと思います。

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ちなみに、『保守』と聞くと、壊れた時の修理が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、『維持』が目的ですので、壊れないような予防(保全)が必須です。
そのためには、保守の対象や頻度等を事前に保守計画をたて、故障が発生した際に単純に修理するだけでなく、保守計画に問題がなかったかを見直すことも、大切ですね。

そうそう、保守(点検・交換・修理)の際には、その作業により施設・設備・装置・器具を汚染してしまうことがあります。
保守後の復帰手順(洗浄・殺菌方法等)も決めておいた方が良いかもです。
理想は、保守の担当者にもHACCP(特にハザード)に関する教育を行い、手順にはなくてもハザードに気づき対応できる力量をつけておくことです。
だって、保守に関わらず、『あらゆる状態を事前に想定し手順を作る』って、ムリな話だと思いませんか?
※この辺りは、『Food Safety-Ⅱ』の話ですね。

ということで、PRP集中連載は今回で、いちおう終了です。
ではでは。
今回はこの辺りで!

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