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PRPを改めて考える④ ~『人』は大きな汚染源!~

こんにちは! あたたけ です。

PRP集中連載の続きです。『JFS-C 規格文書 2.3適正製造規範』を参考に、PRPの(代表的な)各項目について順にまとめています。

※前回記事はこちらから

今回は、『人(の管理)』についてです。

5.従業員用の施設 ~衛生のための施設+リフレッシュのための施設~

GMP 5 従業員用の施設
手洗い場とトイレを含む従業員用の施設、及び該当する共有施設は、食品安全上のリスクを最小限に抑えるように提供され、設計され、利用されなければならない。

そもそも『人』というのは、製造(だけでなくほとんどの業務)に必須な資源であり、かつ、食品への汚染源として非常に大きなものということを理解する必要がありますね、改めて。

人を『汚染源』と考えた場合は、『キレイな状態にするために必要な施設』を考えることになります。更衣室とか手洗い設備ですね。
ただし、前回・前々回でも『ハードでの管理⇔ソフトでの管理』に触れましたが、設備があれば良いというわけではなく、その運用方法(GMP6 従業員等の個人衛生基準)とセットで考えることが大切です。

一方、人を『資源』と考えた場合は、『能力を遺憾なく発揮してもらうための施設』を考えることになります。
人は機械ではないから疲れるのが当たり前です。体力的にも精神的にも疲れやすく、その疲れが作業のミスに繋がるので、リフレッシュしてもらおうというわけですね。具体的な施設としては食堂や休憩室、トイレなどがあります。
で、このリフレッシュのための施設を『食の安全性』という面で考えると、なかなかの汚染源となるんですよね。。。。。

さてさて、これらの施設でまず考えるのは、『製造エリアにハザードを持ち込まない』ことなので、『製造エリアとの隔離』と『清潔な状態の維持』を考えます。
別区画にするのがベストですが、既に『手洗い設備が製造エリア内に設置されている』ことも。。。。。。
こういう時の対応は、『ハザード分析』ですね!
手洗い設備からは『手洗い時の水ハネ』が原因での汚染が考えられます。であれば、水ハネが製造設備・装置・器具にかからないように距離をおく、仕切り板をつけるということも、充分な隔離ですね。

さらにもう1つ考えて欲しいのは、『数・能力』です。
『従業員が100人いるけど手洗い設備が一つしかない』だと、まぁ、手洗いをサボる人が出てくるでしょう。
『更衣室のロッカーが足りない』だと、作業服の置場が確保されない従業員は作業服のまま出勤してくる(≒外からハザードを直接持ち込む)ことに繋がります。
これも、ハードに問題があるのであれば、発生するハザードを想定し、次項の『GMP6 従業員等の個人衛生基準』で対策(≒ソフトで管理)を考えることになります(ハードに問題があっても、どうにかする方法を考えるのです)。

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6.従業員等の個人衛生基準 ~どうやって、人をキレイにする?~

GMP 6.1 従業員等の個人衛生基準
組織は、食品安全上のリスクを最小限に抑えるために、製品固有のリスクを評価して文書化した衛生基準を、策定し、実行し、維持しなければならない。
その中には、手洗い場及びトイレの用意、手洗い方法と頻度、食品安全に影響する健康状態の確認手順、適切な作業服の提供、作業服や履物のルール、製造所への入出方法、食品の取扱方法及び異物混入対策を含めなければならない。
またこの衛生基準は、言語の異なる従業員にも理解させなければならない。
GMP6.2 従業員等の作業服
組織は、食品安全上のリスクを最小限に抑えるために、製品固有のリスクを評価して適切な作業服を提供しなければならない。
GMP6.3 従業員等の健康管理
組織は、食品安全上のリスクを最小限に抑えるために、製品固有のリスクを評価して文書化した健康管理手順を、策定し、実行し、維持しなければならない。
その中には、病気の疑いのある従業員が当該国の法令・規制要求事項に従い、病気や症状を速やかに上職者に報告する手順を含まなければならない。
GMP6.4 事業場外従業員・訪問者への適用
GMP6.1、6.2、及び6.3 を食品安全に影響する従業員に周知徹底し、委託事業者及び訪問者にも例外なく適用すること。

人を『汚染源』と考え、ソフトでの管理方法を考えます。

『汚染源』としてもう少し細かく考えると、そもそも人には、腸内はもちろん、体表にも多数の微生物が生息しています。さらに、人は外を通ってくるため、作業場外から汚れ等を持ち込む原因にもなります。ついでに、食の安全性には影響があまりないですが、毛髪はクレーム原因としてメジャーなものです。

ということから、人を汚染源としないためのポイントを簡単にまとめると、①手洗い、②身だしなみ、③健康管理の3 つとなります(規格にはなんかいっぱい書いてありますが。。。)。
『健康管理』で食中毒に関わる微生物の持ち込みを抑制し、『身だしなみ』で人に由来する微生物や作業場外からの汚れ等の持ち込み(や毛髪等の落下)を押さえ、『手洗い』で食品に直接触れる機会が多い(≒汚染の直接の原因となる)手指を衛生的に保つことで、人が汚染源となならいようにします。

ただし、『健康管理』は、出勤の可否(≒従業員の給料)にも関係することがあります。ついでに言えば、セルフチェックは甘くなりやすいです。
ですので、教育によるルール順守の意欲向上や相互チェックなど、『ルールが確実に守られるような取り組み』も併せないと、なかなか徹底できないんですよね。。。。。

そうそう、『人』に関する管理ですので、当然、対象は従業員だけでなく訪問者も含まれます
あたたけは工場確認時、あえて個人衛生の話は聞かずに『現場見させてもらって良いですか?』とだけ聞き、なんて言ってくるかを試すという感じ悪いこともします。遠慮したらダメなんですよ!

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ではでは。
今回はこの辺りで!


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