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流しそうめんで食中毒!? ~検査すれば良かったの?~

こんにちは! あたたけ です。

先日、流しそうめんでの食中毒がありました。
現時点で93名の患者数ということで、結構な規模になっていますね。
運営会社も損害賠償後に廃業されるとか。。。。

当事者の方々のご対応は外部からは何も言えません。
が、報道されている『原因』については違和感があります。

ということで、ネット上の記事でも。

他にも各報道機関から記事が出ていますが、どこも同じような感じで『湧き水を今年は営業前に検査していなかったこと』が大きな原因としています。

それって、『検査がOKならOK』『検査がゼッタイ』と考えている人が多いってコト!?

検査と言っても色々とありますが、今回話題の水質検査って、あくまでも『検査対象を採取した時点での状態』しかわからないんですよね。
ぶっちゃけ、採取直後に汚染されても検査では大丈夫になってしまいます。

同じような性質の検査でより身近なものが『コロナPCR検査』でしょうか。
PCRで陰性でも検査後(厳密には採取後)に感染した可能性が否定できないって話ですね。
うーん、コロナ禍でけっこうな話題になってた気がするのに、『検査が絶対ではない』ことの理解が広まっていないのか。。。。

なので、(食品の)安全性を確保するには検査ではなく『普段の管理をどうするのか』が大事ってコトなんですよね。
で、それを精度高く進めるための手順として示したのがHACCPなわけです。
HACCP制度化で食の安全に関わる方々には『最終製品の検査ではなく工程を連続的に管理して安全性を確保する』『製品検査は工程管理の検証として活用する』って考え方が浸透したはずなのに、それっぽい話がイマイチ出てこないのは、ちょっとどうかと思います。
(なのであたたけが記事にしてみたんですけどね)

さて、先ほどのネット記事に運営会社のコメントとして『塩素投入装置が被災』と『営業再開前に水質検査をしなかった』が出ています。

どう考えても大事なのは『水質検査』よりも『塩素投入装置』なんですが、メインの話題は水質検査に偏っているような、、、、残念ながら『HACCPが全く普及していない』あるいは『HACCP制度化の形骸化』を感じますねぇ。

水を食材として捉えていれば、『塩素投入』はCCP(重要管理点、ここを外すと事故になるポイント)だと考えるでしょうから、CCPを管理する機械が故障したまま営業ってあり得ないのです。

原因が『手引書(≒業種ごとの参考文書)』にあるのか『行政の指導・普及方法』にあるのかはビミョーなところですが、運営会社がHACCPを表面上でしか理解してなかったんだろうなぁと思います。
(報道内容が正確ではないという可能性もありますけどね)

まぁ、こんな話をしてみたら、『水の管理はHACCPじゃなくて、PRP(一般衛生管理、作業環境の管理)』とツッコミが入るかもしれませんね。
が、HACCPだろうがPRPだろうが『ハザード分析+管理方法決定(P)⇒普段の管理(D)⇒管理された結果の確認(C)』という流れは同じ、普段の管理がなくて検査(≒結果の確認)だけしても意味がありませんので。

使用水の管理と言われれば、『水質検査』や『始業時の残留塩素確認』を思い浮かべる人もいるかもしれません。
が、それらに取り組んだところで、原水が飲用に適したものになるわけではありません。
『ろ過や殺菌(塩素投入)』という管理をして初めて、始業時の残留塩素確認(モニタリング)や年1回の水質検査(検証)に意味が出てくるのです。

そもそも湧き水ですから、原水時点での食中毒菌汚染なんてしょっちゅう起こるわけで、それを塩素投入で飲める状態にしていたってことですから。
保健所から『湧き水に混入した食中毒菌が原因』みたいなコメントが出ているようですが、原因は『混入』ではなく『殺菌不良』ですからね。
間違った認識が広がらないよう、表現には注意して欲しいものです。

※HACCPとPRPの関係性はこちらの記事でも。

※水の管理はこちらの記事でも。

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ではでは。今回はこの辺りで!

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