バングラ注目スタートアップまとめ

バングラデシュの注目スタートアップまとめ

近年、バングラデシュがアジアの新興国として注目を集めているのをご存じだろうか?

バングラデシュはインドの東に隣接している。北海道の2倍にも満たない小さな国土だが、人口は日本より多い1億6000万人、平均年齢は26歳という非常に若く、ポテンシャルにあふれる国である。

毎年の経済成長率が7%を超え、一時はアジアの最貧国と呼ばれていた状況から、現在最も注目を集めるアジアの新興国として成長を続けている。

そんなバングラデシュの中でも特に伸びている業界がIT業界であり、国内には世界中から資金調達に成功しているスタートアップが数多くある。

どの企業も、この国ならではの課題に目をつけて急成長と遂げた企業ばかりだ。

今回は2018年までに主に海外のVC等から資金調達を達成した、バングラデシュの注目スタートアップをまとめて紹介する。

1.bKash

bKashはバングラデシュでは知らない人はいない、電話番号を使った個人間送金サービス。
どんなに僻地の農村でもつながるバングラデシュの通信ネットワークと、幅広く普及している携帯電話(スマホではなくガラケー)に目をつけて、バングラデシュにおけるモバイルバンキングの代名詞となった。

バングラデシュの地方ではいまだにスマートフォンの普及率、およびITリテラシーが低い。また、都市部にも農村に家族を残して、出稼ぎに来ている労働者が大勢いる。彼らにはスマートフォンを買う余裕はないが、家族と連絡を取るため、必ず携帯電話を持っている。
そのような背景がある中で、銀行口座を持たない人々でも携帯電話ひとつで遠隔地どうしの資金決済を可能にしたサービスがbKashだ。

2011年にBRAC Bank(世界最大のNGO,BRACの運営する銀行)中心に設立されたこのサービスは、2013年にWorld Bank GroupのメンバーであるInternational Finance Corporation(IFC)、2014年にBill&Melinda Gates Foundationから資金調達を完了。
2018年にはアリババグループがbKashの株を20%購入するなど、バングラデシュ国外からも注目を浴びるスタートアップだ。


2.Shohoz

Shohozは2014年に女性起業家Maliha M Quadirによって設立された、オンラインチケット販売やライドシェリングサービス、フードデリバリーサービス等を提供する2014年設立のスタートアップ。

設立当初はバス、イベント、映画等のチケットをオンラインで購入できるプラットフォームとしてスタートした。

設立から3年間はオンラインチケットの販売のみに焦点を当てていたが、2018年からすでにUber,Pathaoが市場を席巻していたライドシェリング業界に参入。

その数か月後にシンガポールに拠点を置く東南アジア有数のベンチャーキャピタル、Golden Gate Venturesを中心に1500万ドルの資金調達を受け、フードデリバリーサービス等市場におけるシェアを順調に伸ばしている。

3.Pathao

3人の若手起業家によって設立されたバングラデシュ版UberともいえるCtoCのライドシェアリング、配送サービス。

Pathaoは2015年に3人の若手起業家によってCtoCの配送サービスとして設立され、2016年にはPathao Ridesとしてライドシェアリング事業に進出。

Pathaoは登録している運転手に、オフィスアワー等、人の移動のピーク時にはライドシェアリングを、それ以外の時間はEコマース商品の配送を依頼することで、空いた時間によりお金を稼げるサービスを提供。

現在までに合計で1280万ドルの資金調達に成功しており、ライドシェアリング以外にもフードデリバリーや、ティッシュなどちょっとした買い物でも請け負い、玄関まで配送してくれるサービスを展開している。


4.Chaldal

食料雑貨のオンライン宅配サービス。
渋滞がひどく、物流に課題があるダッカ市内で、注文後自社倉庫から1時間以内の配送を徹底する画期的なサービスを展開する。
注文後、目的地から一番近い配送トラックや、バイク部隊がすぐに配送に取り掛かれるような配送システムを自社で構築し、効率化を徹底している。
自社倉庫では、季節ごとの商品の売れ行き等をビックデータとして解析し、物流業者へと提供。
そのような物流データがまとまっていないバングラデシュにおいて、最適化を図る先駆者として成長を続けている。


シリコンバレーに拠点を置くY Combinaterから等から550万ドルの資金調達を受けている。

5.Zero Gravity

バングラデシュ国内初となるB2BのEコマースサイト、shindabad.comを運営するスタートアップ。
物流に課題があり、注文した商品がいつまでたっても来ないことが多いバングラデシュで、Shindabad.comは配送状況の透明性を高め、オフィスや工場に指定された日時に配送することを徹底した。

2018年2月にZero Gravityは500万ドルを超える資金調達を完了。

6.Shopup

ShopupはFacebookページで商品を販売する企業や個人向けに、マーケティングや、注文管理、商品の配送までを一貫して行うスタートアップとして設立。
現在はFacebook上で13,000の個人、企業がこのサービスを利用しており、彼らに向けたマイクロファイナンスも実施している。

2018年に170万ドルを調達、さらにeBayの創設者によって設立されたVCから162万ドルを調達。

7.SOLshare

SOLshareは若きドイツ人起業家、セバスチャン・グルー氏によって2015年に設立された、再生エネルギー関連のスタートアップ。
バングラデシュの農村地帯に設置された小型の自家用発電システムによって発電された電気をシェアするシステムを提供している。

バングラデシュには、電気の届かない農村地帯も数多く残っており、そこに住む人々は、ソーラーパネルを使った自家発電を購入する必要がある。
自家発電で作られた電気が使いきれず無駄になるという一方で、自家発電を買う余裕のない世帯も多いという課題があった。
そこでつくられた電気を、自家発電を持っていない人へと売買する仕組みを作り上げたのがSOLshareだ。

これにより、コミュニティ間で作られた電気を無駄なく活用し、相互に利益の生まれるモデルを作り上げている。

2018年の10月にシンガポールに拠点を置くIIX Growth Fundから166万ドルの調達を受けている。


8.Deligram

Deligramは地域の小売店とオンラインショップをつなげるオムニチャネルEコマースサイトのスタートアップ。

他のECサイトと同様、Webサイト、アプリという二つのチャネルとは別に、Eコマースにおいて、バングラデシュで最も課題とされているインフラの欠如に目をつけ、街中に無数にある地域の小売店と提携。これらの店にタブレットと製品のカタログを提供し、セールスポイントとしての機能を持たせた。
配送も家まで届けてもらう方法と、小売店で保管してもらう方法を選ぶことができる。

このやり方により、地域のつながりが強いバングラデシュにおいて、顔見知りの小売店の店主に頼むことができるという信頼を高めると同時に、Eコマースに慣れていない客層も取り込むことに成功。

2017年にアメリカ、SkycatcherおよびEverblue Management等から250万ドルの調達を受けている。

まとめ

今回は数あるバングラデシュのスタートアップの中でも、国内外から特に注目を集める8社を紹介した。

他にもバングラデシュには数多くのサービス、注目スタートアップが存在し、FutureStartup(英語)という現地メディアが、その動向をまとめている。

今回はFutureStartupからこちらの記事を参考にしている。

他にも注目スタートアップや、バングラデシュのビジネス最新情報が掲載されているので、よろしければぜひ!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?