不妊さまと妊婦さまと教祖さま 2

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今回の赴任は5年間を予定した長期のものである。

ここで子供を生んで海外で子育てできたらいいな!と、私の脳内はお花畑状態だった。

しかし、待てども待てどもお空から子供はやってこず、、

毎月生理が来ると、人間失格の烙印を押されたような気持ちになった。病院に行こうにも、病気ではないわけだし、さらに英語環境ということも躊躇われた。その時の私の語学力でその時の状況を細かく説明する自信がなかった。

同い年の友達は皆、子育て真っ最中である。容赦無く私の心を抉って来る。もちろん彼女らが何か攻撃して来るわけではない。単なる妊娠報告や子育ての愚痴、ただ楽しそうに家族が遊んでいる姿を見るだけで勝手にダメージを受けていただけである。

しかも私自身も飛んで火にいる夏の虫とはこのことである。自らのコンプレックスに真っ向から挑むため、双子の育児の手伝いに行ったりベビーシッターを引き受けたりしていた。私は人間失格ではないと、産めなくても子育てに少しでも参加していると思いたかったのである。

そこで私は子育ての現実を目の当たりにすることになる。今までのふんわりとした、子供って可愛い❤️というお花畑的発想を捨てざるを得なかった。

子供は風呂で大便もするし、振り回した棒が当たっても謝らないものである。食事の後は到底理解できない場所にまで残飯が飛び散っているし、ダメだということほど積極的にするものである。

すっかり忘れてしまっているけど、私もかつてはこんな壊滅的な状況だったのだろう。そこから真っ当な人間として社会生活を営めるように育ててくれた母親、幼稚園や小学校の先生には感謝しかない。

また、24時間365日このような状況、、いやもっとひどい状況に向き合っている母親の皆さんは本当に素晴らしいと思う。

しかし、自分がそれをしたいのか、できるのか、ふと私は考えてしまった。おそらく何とかなるのだろうとは思う。私も夫も心身共に健康だし、勉強も仕事もそれなりに真面目にしてきたし、自分でいうのも何だが、どちらかというと人柄が良いと言われるタイプだ。冷静に客観的に考えても、人間失格ではないのである。

ただ、自分がそれをしたいと、心から思えないことに気がついてしまったのだ。

夫は非常に冷静な性格なので、昔から常々そういう話をしていた。子供ができたらできたで可愛いと思うし何とかなると思う。だけど積極的に欲しいかと言われたらそうでもないと。

それよりも、まずは夫婦仲良く生活することが第一なのではないかと。その延長で子供が出来て育てるのが健全なのではないかと。また子供が出来たことで夫婦の仲が悪くなるもの嫌だと。

普段はボーとしている夫であるが、たまにハッとさせられることを言うのである。

3へ続く




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