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【実質0円大学生活のすすめ】第46回:大学図書館を使いこなす(7)公共図書館と大学図書館の違いは?01

前回まで、書店と図書館の違いについて「良質さ」と「深さ」の観点から考えてきました。今回から、公共図書館と大学図書館の違いについて見ていきましょう。キーワードは「さらなる深さ」と「静寂さ」です。

公共図書館と大学図書館の違い:さらなる深さ

書店と図書館では「時間的深度」が異なる、という話をしてきました。書店ではどうしても売れ筋の新規性に注目した品揃えになる一方、図書館の蔵書は時間的な深みが感じられる網羅的な選書が特徴です。

そして、その同じ図書館であっても、公共図書館と大学図書館では深さに劇的な差があるのです。

多くの大学図書館は「稀覯書(きこうしょ)」とよばれる蔵書群をもっています。稀覯とは、めったにみられないという意味です。書籍でいえば、非常に珍しい本のことで、古い写本など美術品的価値を持つようなものを指します。

たとえば、よく知られたものとして、15世紀のドイツのグーテンベルクが1455年に出版した『グーテンベルク聖書』が挙げられます。それ以前にあった手で書き写していた本(写本)とは異なり、活版印刷技術を使って作られた書籍で、現在世界に48セットの存在が確認されています。そして、このうちの1セットは慶應義塾大学図書館にあるのです。

他の大学図書館でも、グーテンベルク聖書まではいかなくても、さまざまな稀覯書を所蔵するところは珍しくありません。また、海外の大学図書館となると、米国イエール大学のように稀覯書専用の図書館をもっているところもあります。ちなみにイエールも『グーテンベルク聖書』をもっています(笑)。

実際のところ、稀覯書コレクションによって、所蔵する大学と大学図書館の格付けが決まりそうなところもあります。一般学生が手にとって見るには、さまざまな手続きが必要そうなので、科目等履修生には残念ながら高嶺の花といえるかもしれませんね。

今日のまとめ

- 公共図書館と大学図書館では、時間的深度に劇的な差があり、それは稀覯書コレクションという形で表現される
-「実質0円大学生活」の科目等履修生にとっては、大学図書館の稀覯書コレクションは、実際にはほとんど関係がない可能性はありえる

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