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運営3年目にしてリブランディングを敢行。新生「Human Academy CREST GAMING」が見据えるeスポーツの未来とは?

ヒューマンアカデミーが運営するeスポーツチーム「Crest Gaming」は2022年8月、「Human Academy CREST GAMING」として新たに始動しました。チームのリブランディング・プロジェクトを率いたのは、ゲームをやったこともない、eスポーツは専門外の青木千佳子さん(ヒューマンアカデミー株式会社 経営戦略室室長)。プロジェクトの舞台裏と、新生Human Academy CREST GAMINGが目指すビジョンについて、お話を伺いました。

――まず、今回リブランディングを行った背景について教えてください。

 Crest Gamingは2016年7月に結成されたゲーミングチームで、2018年にプロ化。2020年7月からヒューマンアカデミーがチーム運営を行っています。以来、eスポーツ市場の拡大とともに部門やファンも増え、チームとしてのあり方や見せ方を改めて考え直す必要性が出てきました。なかでも、ヒューマンアカデミーが運営しているのに、同じ運営元の専門校であるe-Sportsカレッジとの結びつきも弱く、まずはチーム名に自社名を入れようというところからスタートしました。
 eスポーツチームの運営形態は様々ですが、教育企業が運営しているチームは他にありません。チーム名に社名を入れることでこの強みを最大に生かせます。また、ヒューマンアカデミーがeスポーツチームの運営を通じて社会に貢献できる価値は、「若者の健全育成」です。プロゲーマーは若者の憧れの職業の1つですが、プロへの道は険しく、また選手寿命が短く引退後のセカンドキャリアが不透明という課題もあります。
 しかし、eスポーツやゲーム、ITなどの専門校を運営する私たちであれば、eスポーツ業界を目指す若者にプロになる機会を提供し、引退後のキャリア形成をサポートすることも可能です。「常に上を目指し、極め続ける」ことをモットーに戦い続けてきたCrest Gamingのこれまでの歩みを大事にしつつ、ヒューマングループのチームであることを明確化し、「プロ人材の健全育成と憧れを叶えるeスポーツチーム」へとアップデートする。これが、今回のリブランディングの目的です。

eスポーツ業界唯一であるヒューマンアカデミーの育成システム

――リブランディングの具体的なプロジェクトは、どのように進められたのですか?

 始動は2021年の秋です。当時の私にとって、eスポーツはまったく未知の世界。高校生の息子はゲームをやっていますが、私自身はプレーしたこともありませんでした。ゼロからeスポーツについてリサーチする中で、この業界が抱える課題が見えてくるとともに、リブランディングのコンセプトも固まってきました。
 そのコンセプトを、チームのロゴマークやユニフォームなどにどう具現化するか。プロデュースをお願いするパートナーは、幸運に恵まれてすんなり決まりました。「リブランディングのクリエイティブディレクションはどこと組もうか」という相談をチーム関係者としていたとき、「そういえばBEAMS(ビームス)にCrest Gamingの熱烈なファンの人がいて、先日も試合会場でお会いしたんですよ」という話が出て、「それだ!!」と。人気ブランドのビームスにはビジネスプロデュース部門があり、すぐさま相談してみることになったのです。

――とんとん拍子に話が決まっていった?

 私たちとしては、単にロゴマークやユニフォームのデザインをお願いするだけではなく、ユニフォームの着こなしや写真撮影の立ち会いなども含め、選手たちの見せ方まで総合的にプロデュースしてほしいと考えていました。「個性的でカッコいい」と、ファンから憧れられるようなチームにしたかったからです。また、私たちのコンセプトを深く理解した上で、WEBサイトやステートメント(ブランドの目指す姿や提供価値を簡潔に表現した文章)の設計もプロデュースしてほしかった。ビームス クリエイティブの皆さんも、そうした私たちの考えに共感してくれて、「ぜひ一緒にやりましょう」ということになりました。
 実は私自身も、今回のビームスとのタッグには不思議なご縁を感じています。というのも、前職でまだ新人だった20代の頃、取引先の担当者で業界についていろいろと教えてくださった方が、今のビームス クリエイティブ代表取締役社長になられていました。打ち合わせを重ね、いよいよ契約書締結、となったときに代表者の名前を見て気づいたんですけどね。先方も私のことを覚えていてくださって、お互い仕事も立場も変わったけれど、また一緒に仕事をすることができ、とても嬉しく思っています。理屈じゃない部分もビジネスでは大事だなということを改めて感じたひとつでした。

――プロジェクト完遂までのプロセスで苦労されたことは?
 
 時間が一番かかったのはロゴデザインですね。チーム名に社名を入れると「ヒューマンアカデミー クレストゲーミング」と、とても長くなります。長いチーム名をいかにスッキリと見せるか、どんなシンボルマークがいいか、かなり悩みました。デザイン案を6~7種類いただいて、その中から方向性を決めてバリエーションを出してもらい、最終的に決まったのが2022年の4月。シンボルマークのベースになっている三角形には、「頂点を目指す」というCrest Gaming発足当初からの想いが込められており、青色は「若さ」「青春」「教育」を、オレンジ色は「希望や未来」を象徴しています。
こういうデザインはつい個人的な主観、好きや嫌いに左右されがちですが、常にビームス クリエイティブの方々が、「リブランディングで何を伝えたかったんでしたっけ?」「どこを目指してましたっけ?」ということを、私たちに寄り添いながら引き出してくれて、それを形にしてくれました。結果、シンプルで存在感があり、スタイリッシュで視認性もよく、とてもいいロゴになったと思います。

新ロゴマーク

――新しいユニフォームもカッコいいですね。

 フットボールTシャツをベースにした、全体的にゆったりめで袖丈がやや長めのデザインを提案していただきました。厚手ですが通気性がよく、ゲームプレーの邪魔にならないギリギリの袖丈にするなど、動きやすさも考慮されています。プロ選手のユニフォームはネイビー、白色はe-Sportsカレッジ生用ですが、選手の間では「黒色がいい」という意見が多かったり、実は最終決定する直前までプロ選手用とカレッジ生用の色は逆だったんです。他のチームのユニフォームは黒色が多い傾向や、あまりない、ネイビーという色で、自分たちだけ目立ちたくないという思いがあったのでしょう。ところが、実際に撮影のとき選手たちに新ユニフォームを見せると、「すごいカッコいい!!」と大喜び。ポートレート写真の撮影も、生き生きした表情とポーズで、とてもいい仕上がりになりました。この新ユニフォームで選手たちがチームに誇りを持ち、おしゃれにも目覚めてくれたら嬉しいですね。

新ユニフォーム(モデルは、CREST GAMING LST “Wh1skey選手”)白色がe-Sportsカレッジ生のユニフォームとなる。

――リブランディングを経て、今後Human Academy CREST GAMINGが目指す方向性について教えてください。

 まずはプロチームとして、もっと強くなること。今保有しているタイトルを守ることはもちろん、世界に出ていけるチームになって欲しい。実力・ブランド力・知名度を兼ね備えた強くてカッコいいチームになれば、自然とファンや応援してくれる企業も増えていくでしょう。3年後には、e-Sportsカレッジで学んだ学生からプロとして活躍する人が続々と現れ、ヒューマンアカデミーが主催する大会の視聴者数が100万人規模になることを目指しています。
 そして、Human Academy CREST GAMING の運営を通じて、ヒューマングループ全体に様々なシナジー効果を生み出していきたいと考えています。新規成長産業であるeスポーツ業界で活躍する人材教育はもとより、介護分野へのeスポーツの導入など、グループの既存事業に新たな展開の可能性を開く存在になってほしい。ヒューマングループで働く人たちが「うちのeスポーツチームはこんなにすごい」と誇りに思えるようなチームに育っていってほしいと願っています。

<プロフィール>

青木千佳子(あおきちかこ)
ヒューマンアカデミー株式会社
経営戦略室 室長

2017年、中途入社。前職も教育業界で、子ども向けの大手通信教育会社にて長らくマーケティングや新規事業開発に携わる。入社後は、新規事業開発部門での新規事業立ち上げからスタートし、全日制教育事業部の戦略室を経て、2021年夏よりヒューマンアカデミー全体の戦略担当。専門スクール、児童教育、海外留学、MBA、eスポーツなど広範囲の事業改善、新規立ち上げに携わる。
モットーは、「はい、喜んで!」とスピード感。

<ヒューマンアカデミー株式会社・会社概要>
1985年の創設以来、159万人以上※の修了生・卒業生を輩出するヒューマンアカデミーは、「学びは、面白い。」を創造する Edutainment Companyとして、未就学児童から中高生・大学生・社会人・シニア層とあらゆるライフステージにあわせて、学びと成長を支援する「リカレント教育」、「STEAM教育」を推進しています。
IT分野、語学・留学、保育、資格・就転職、趣味・教養、ココロとカラダコンディショニング、なりたい人を応援する専門教育など大きく8つのカテゴリで、時代や社会の変化にあわせながら800以上の講座を編成し、多様なニーズに対する学びの提供を行っています。 
※延べ人数1997年10月~2021年3月時点

<Human Academy CREST GAMING 概要>
 
Human Academy CREST GAMINGは2016年7月に結成され、2020年7月から当社が運営を行っているマルチプロゲーミングチーム。結成から間もないチームながら急速に成長し、League of Legendsは日本リーグでトップを争う強豪チーム入りを果たしています。その他、Rainbow Six Siege、VALORANT、Identity V 第五人格など、さまざまなゲームでも世界を目指し活動しています。またストリーマー部門設立により、eスポーツを知らない方々にもその魅力を知って頂けるように日々尽力しています。「CREST=極致・頂点」という言葉通り、常に上を目指し邁進を続け、年齢、フィジカル、ジェンダーにとらわれることなく個性を尊重し、社会人かつプロアスリートとして世界で活躍する人を発掘し育成することで、eスポーツ業界の発展に貢献します。 



※2022年8月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
肩書き・役職等は取材時のものとなります。

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