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プロeスポーツ選手と講師のダブルキャリアを歩み始める18歳。

 コンピュータゲームをスポーツと捉え、近年ますます高まりを見せるeスポーツ。そのプレーヤーは、若い世代を中心に新たな職業としても認知されています。中学2年生でeスポーツの魅力にハマり、高校卒業と同時にプロの世界へ飛び込むことになった藤原 諒選手にお話を伺いました。

藤原諒さん 2004年生まれ。ヒューマンキャンパス高等学校、および総合学園ヒューマンアカデミーe-Sportsカレッジを経て、ヒューマンアカデミーが運営するチームプロeスポーツチーム「Human Academy CREST GAMING」に所属。2023年4月より、ヒューマンアカデミーe-Sportsカレッジの講師に就任

——eスポーツを始めたきっかけを教えてください。

 小学3年生くらいから家庭用のゲーム機でさまざまなジャンルのゲームに触れていました。中でも対戦ゲームがいちばん好きでした。中学2年生のとき、腕試しのつもりで「フォートナイト」(※)の大会に参加したら1位になったんです。そのとき初めてeスポーツという世界があることを知りました。

※「フォートナイト」……Epic Gamesが販売・配信する、2017年に公開されたオンラインゲーム。高校生eスポーツ大会「STAGE:0」(ステージゼロ)をはじめ、世界中の大会で採用されている。

——いつ頃から、プロを目指そうと思いましたか?

 その大会がきっかけとなり、自分もプロ選手になりたいと思い始めました。いろいろな大会に出場して稼いだ賞金でゲーム用のPCも新調し、「もう、これしかない」とヒューマンキャンパス高等学校のe-Sportsコースへ進学を決めました。

——当時、eスポーツの認知度はいまほど高まっていなかったと思うのですが、ご家族はどのように仰っていましたか?

 親は「がんばりなさい」くらいの感じでしたね。進路を決める頃には大会での実績もかなり積んでいたので、挑戦してみればいいと背中を押してくれました。ただし通信コースではなく、校舎に通う通学コースを選ぶように言われていました。

——高校生活はいかがでしたか?

 在学中に「フォートナイト」の大会でアジア2位、高校年代の全国大会で準優勝などの成績を残すことができました。2年目からは総合学園ヒューマンアカデミーe-Sportsカレッジから声をかけていただき、特待生としてプロを目指す仲間たちと腕を磨いてきました。

——e-Sportsカレッジでは、どのような授業を受けていたのですか?

 まずはいろいろな人とペアを組んで対戦する実践の授業です。実力の近い人と組むことが多いのでそれだけでも腕を磨けます。
 実践の他には、業界研究やイベント企画の授業もあります。学生たちはプロ選手に限らず、大会運営に携わりたいとか、ゲームの実況や解説動画を配信するストリーマーになりたいとか、さまざまな進路を考えています。また、たとえプロ選手になれたとしても、多くの選手は20代のうちに引退します。選手寿命の短い世界だからこそ、セカンドキャリアの準備としてノウハウを学んでおくことも必要なのです。その意味では、社会人としてのマナーを身に付けられる授業もとても役立ちました。

——とくに印象深い授業はありますか?

 コンディショニングの授業ですね。eスポーツは、長時間座りっぱなしで体を酷使します。多い日は15時間くらいゲームに集中していることもあるので、きちんと体をケアしないとボロボロになってしまうんです。トレーニングやストレッチなど、自分で自分の体をケアする方法を身に付けることができました。
 フィジカルだけではなく、メンタルのコンディショニングも重要です。自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるかどうかは、メンタルに左右されるからです。平常心と適度な緊張感を保つために、イメージトレーニングや脳の切り替えの方法を教わりました。

——選手として心がけていることを教えてください。

 試合後はかならず、録画した画像のリプレイを見るようにしています。ここがよかった、ここが悪かったとメモをして、次の試合に活かすためです。

——嫌になったり、つらくなったりすることはありますか?

 結構あります。大会でよい結果を残せなかったときとか……。まあ、そこでへこんでいてもしょうがないので、敗因を研究するなどして、気持ちを切り替えてやっていくしかない。これまでゲームをやめようと思ったことはありません。一度だけちょっと距離を置いたこともありましたが、結局戻ってきました。「フォートナイト」をプレーしているときが、やっぱりいちばん楽しいんです。

——高校卒業後はプロ選手として活躍が期待されています。

 在学中に参加した高校生大会では、ミスも多く後悔が残っています。プロのレベルは、たった一度の細かいミスで負けてしまう非常に厳しい世界です。試合でミスしないよう、これまで基礎練習をルーティン化して重点的に励んできました。今後も練習を怠らず、さらに多くの実績を作っていきたいと考えています。

——その一方で、e-Sportsカレッジの講師に就任されるそうですね。指導者として心がけていることはありますか?

 在学中から社会人チームや学生への指導をサポートしていましたが、そのときからティーチングではなくコーチングすることを意識していました。何から何まですべてを教えるのではなく、できるだけ自分で考えてもらうように仕向ける、というのは心がけています。

——どんな人が選手に向いていると思われますか?

 ちゃんと負けを認められる人ですね。そのほうが確実に伸びていくと思います。強くなるには、いろいろな人と対戦することが大切です。自分が勝てそうな相手よりも、自分より強い人にどんどんチャレンジしてたくさん負けてほしい。負けから学べることがたくさんありますよ。ちなみに、選手に向いていない人は飽き性な人です(笑)。

——あらためて、eスポーツの魅力とは何でしょう?

 外に出なくても、世界中の人たちと一緒に楽しめることです。素性を明かさない人も多いですが、僕は顔も名前もオープンにしています。顔や名前のわかる選手の方が親近感もわき、応援してもらいやすくなると思うからです。TwitterやYouTubeでフォロワーが増えたり応援してもらえたりするのは、僕が素性を明かしているからだと思っています。ネットの世界ですから、ネガティブな反応もたまにはありますが、そんなことをいちいち気にしていてもしょうがない。応援してくれる人たちを大事にして、自分のプレーに集中するだけです。

——eスポーツ選手を目指し、ヒューマンキャンパス高等学校ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校総合学園ヒューマンアカデミーe-Sportsカレッジで学ぼうと考えている皆さんにメッセージをお願いします。

 実践的なテクニックだけでなく、eスポーツ業界のことを幅広く学べる授業もたくさんあります。選手、コーチ、大会運営スタッフ、ストリーマーなど、どの道を専門にするのか迷っている人にもおすすめできるので、ぜひ挑戦してみてください。


<Human Academy CREST GAMING 概要> 
 
Human Academy CREST GAMINGは、「CREST=極致・頂点」という言葉通り、常に上を目指し、あらゆるゲームにおいて世界で戦える、個性豊かなプレイヤーが揃ったプロeスポーツチームです。
  運営するのは、教育事業を展開するヒューマンアカデミー株式会社で、年齢、フィジカル、ジェンダーにとらわれることなく個性を尊重し、社会人かつプロアスリートとして世界で活躍する人を発掘し育成することで、eスポーツを知らない人たちにもその魅力を知ってもらえるよう、業界全体を盛り上げていくことをミッションとしております。
 Human Academy CREST GAMINGは教育機関をもつ会社が運営するプロチームとしてピラミッド型の育成組織を形成しており、トップチームの選手が当校のe-Sportsカレッジの学生に直接指導を行う育成システムを持っております。


※2023年2月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
名称等は取材時のものとなります。