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私たちは食べたもので出来ているvol.14#148

皆様、こんにちは。
佐伯です。

毎週土曜日は食について様々な角度から検証していく連載を始めたいと思います。

私は仕事柄、様々な食品に関わることがあります。
一つの製品に生産者様やメーカー様のこだわりや信念など、様々な思いが込められております。
これが製品の美味しさや健康への配慮、地球への配慮など様々な面でも思いが反映されています。

さて、突然ですが皆様のご家庭の朝食はご飯派ですか?
それともパン派ですか?

私の家庭は共働と言うこともあり、手間の掛からない食パンを焼いて朝食に食べていました。

食パンは塗るジャムやバターによって味の変化が楽しめます。
また、大分下火にはなりましたが高級食パンも流行りましたね。

今回は食パンのお供の代表格「マーガリン」についてご説明したいと思います。
マーガリン」はバターに比べて安価で味もあまり変わらないので日本ではよく家庭にあるかと思います。

実はこの「マーガリン」、近年、WHO(世界保健機構)を中心に諸外国では使用の制限が厳しくなってきました。
その理由についてご説明したいかと思います。


①マーガリンって何から出来てるの?

さて、「マーガリン」と言う名前からは原材料が何かは全く想像できませんよね。
蛇足ですが個人的には商品名から原材料が推測できない食品はあまりお勧めしません。
理由は製造の工程でかなり原材料から変質している可能性が高いからです。
つまり、添加物を大量に使用し形を整えているケースが多いからです。
その為、日常的に摂取するのはあまりお勧めできないと私は考えます。

話はそれましたが「マーガリン」の原材料についてです。
マーガリン」は主にコーン油、大豆油、パーム油、なたね油、綿実油などに、乳や乳製品、食塩、ビタミンA、乳化剤、着色料を加えて作ります。

マイルドにご説明するとこんな感じです。
ですがもっと突っ込んでご説明すると上記の植物油に水素を化学的に結合させるプロセスがあります。
こうすることでバターに似た分子に植物油を作り替えることができます。
これは植物油が固まりにくい性質がある為です。

そして、水素結合で発生するトランス脂肪酸が人体にとってとても有害であり、WHOをはじめとした各国が規制に乗り出しているのです。

それではトランス脂肪酸とは何なのでしょうか?

②トランス脂肪酸とは?

実はトランス脂肪酸には2種類あります。
それは自然界に存在するものと人工的に発生するものです。
自然界に存在するもの(牛肉、羊肉、バターなど)は含有量も微量であり、さほど気にすること物ではありません。

一方、人工的に発生するトランス脂肪酸は実に危険な存在です。

繰り返しになりますが、人工的なトランス脂肪酸は、水素結合を行うことで発生します。
一般に「部分的に水素添加された油」として表記されたりします。
工程は、液体植物油に水素を添加し、その油をより安定させ(酸化しにくくする)、固体または半固体の状態に変えることを目的としています。
この過程で生成されるトランス脂肪酸は、マーガリン、ショートニング、一部の焼き菓子や揚げ物など、多くの加工食品に含まれています。

人工的なトランス脂肪酸は、心血管疾患のリスクを高めることが広く認識されています。主な健康への悪影響には以下のものがあります。

  • コレステロール値の変化:トランス脂肪酸は悪玉(LDL)コレステロールを上げ、善玉(HDL)コレステロールを下げることが示されています。これは、動脈硬化や心臓病のリスクを高める要因となります。

  • 炎症の促進:一部の研究では、トランス脂肪酸が体内での炎症反応を促進する可能性が示されています。炎症は多くの慢性疾患の根底にあるプロセスです。

  • インスリン抵抗性:トランス脂肪酸の消費は、糖尿病のリスク因子であるインスリン抵抗性の発展に関連していることが示されています。

トランス脂肪酸とは健康リスクを明らかに害する存在とわかっているため、WHOをはじめとした諸外国では規制に乗り出しているのです。
つまり、マーガリンが健康に害するものと言うよりはマーガリンに含まれるトランス脂肪酸と言う成分が健康リスクを高めるため、結果としてマーガリンの使用を控える動きがあると言う訳です。

③最後に

これらの健康リスクに鑑み、多くの国々では食品中のトランス脂肪酸の含有量を制限する法律を導入しています。
世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取の1%未満に制限することを推奨しています。

オブラートに包んでいますが、摂取しないで欲しいと言う話ですね。

マーガリンがバターに比べて安価な理由はここにあります。
結論としては「安くて(体に)良い物などない」と言うことですね。

あとは個人の選択です。
安価で美味しいが健康リスクの高い「マーガリン」。
高いが美味しく食べ過ぎなければ安全な「バター」。
日々の食生活の中にこれほどまで健康リスクを取るか否かの選択が潜んでいるなんて驚きですね。

問題なのは選択するための情報をお客様に開示していないことです。
適切な情報があればお客様は妥当な選択をします。
するとリスクの高い商品は市場から自然淘汰されます。
市場原理からするとごく普通なことです。

令和の時代は与えられる情報に価値などありません。
自ら掴み取った情報を自分で解釈することこそ価値が生まれます。
情報化社会の根源とはそう言った能動的で自己判断できる人材が活躍する社会なんでしょう。

マーガリンの話から壮大なマクロ社会の話になり大変恐縮です。
ですが、能動的にこの情報(記事)を選択して下さった皆様のお役に立てるのであれば嬉しい限りです。

それでは皆様、ご機嫌よう。

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