支援員、話を聞けているのか

私の仕事は就労支援というもので、働きたい、という方の、働くことのある暮らしを応援することです。具体的には、とにかくご本人のお話を聞く。それは面談という形で、時に面談室だったり、どこかカフェだったり、仕事場に伺ったり、ご自宅に行くこともあります。

お話を聞く、というのは
お気持ちを聞く、ということ。

これが果たしてできているのか。

今日は、思い詰めてしまった人のお話を聞いていました。退路を断って面談にいらした。どうしても辛い、とのことでした。

就労支援員は、「働くことのあるいい感じの暮らし」を応援する人です。もちろん、退職も転職も、そういう意味で全くネガティブなことではありません。だから仮に辞めてきました、と言われても、おう、じゃあこっからまた話そう、とするだけでいい。

じゃあ、いい感じの暮らしとは何か。

今日お会いしたある方は、「今の」が辛い。ご自身の暮らしに、人生に絶望している訳です。それに対して私はお話を聴きながら、「働きながら暮らしていくうちに変容していこうよ」と話してきてしまった。

仕事を続けることで、なんとかいい感じの暮らしを作っていってもらえたら、という思いからこれまで就労の継続を促してきました。そのことが、ご本人をここまで追い詰めたのではないでしょうか。

就労支援員の皆がそうではきっとないけれど、私はどこか、働くことのある暮らしにファンタジーを描いてしまいがちなのかもしれません。いい感じの暮らしがその人にとってどんなものかは一人一人違い、自分で変えていっていいものです。それには、働かないほうが幸せだという考えに変わることも含まれます。

己のファンタジーを支えることに躍起になっていないか?
本当に、その人の話を聞いてきたのか?
その人の気持ちを、聞いてきたのか?

今日、それでもここに来て、伝えたい気持ちを冷静に整理してお話ししてくださいました。今日ここに来てくれてくれてありがとう。たった一人で思い詰めさせてしまったことが、悔やまれてならない。私にできることは、これから、あなたが気持ちを伝えられるよう時間を確保することくらいだけど。それだけは全力を尽くそう。

では、また来週に。

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