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じいさんとの秘め事②

じいさんとの秘め事に、②があった(笑)

それは、この間の他に、彼と禁じられた遊びをしてわけではない。



そのじいさんの入所日が決まったのだ。



入所というのは、この業界でいえば、老健とか特養といった、老人施設のことなんだけれども、彼の入所が決まったのは、特養の方だ。

老健、すなわち、介護老人保健施設とは、在宅への復帰を目指し、入院やその後のリハビリを含めた体の機能回復を向上させるための施設で、体の調子がよくなれば再びを出れる施設なのだが、特養、すなわち、特別養護老人ホームとは自宅での生活が困難な方が入られるもので、一旦、入れば、基本、出てくることができないとされる施設なのだ。

出てこれないとはどういうこか・・・?

特養は老健とは違い、リハビリをし身体の機能回復をし、普段の自宅での生活に戻るための施設ではなく、自宅での生活が困難になった方が入られるところなので、とりあえず、そこで基本生活をするのみなので、そこに入れば寝たきりなどの状態となり、体の機能が急速に衰え、故にそこから復活することができないとされている、ある意味、恐ろしいところなのだ。

こんなことを書けば、特養がひどいところのように思われるかも知れないが、それは特養が悪いのではなく、特養というのは、先程も書いたように、自宅での生活が困難な方が入られるところで、もちろん、身体的機能だけでなく、認知がひどくなって、普通の生活ができなくなるような人などが入られるところなので、特養がなにかをしていないからそうなるのではなく、食事や入浴、排泄の介助のなどの他に、軽いリハビリ的なものやイベントなどリクリエーションなどもあったりするのだけれど、人数が多いということもあったり、そもそもが自宅での生活ができないような方が多いことからこそ、身体的な機能を維持することがあまりできず、故にご利用者様の身体的機能が落ちやすくなってしまうという傾向にあるからだ。

その、ぼくとの秘め事を楽しんだじいさんは、認知はほんの少しあるだけなんだけれども、足が悪い。

この足の悪さも、ある病気で入院し、それがきっかけで足の機能が急速に衰え、結果として自力で歩けなくなったという背景があるのだが、元々、足が悪くてそうなったのではなく、入院で足が衰えてしまったケースだったりする。

故に、リハビリすればもう少し歩けるようになるのかも知れないが、ご家族様的にも、ご本人様的にもその意志がなく、結果、現在も車椅子なしで、杖だけではお1人では歩けないという状況だったりする。

あと、お耳。

耳元で大声で話さなければ通じないので、さらには最近はそれも通じなくなってきているので、普通に人とコミュニケーションをとることができない。

これは補聴器でもなにか対策はあるのかも知れないが、これもご家族様やご本人様の意向もあり、使用しないという現実がある。

さらには、うちもそうだが、基本、親子での介護というものは、実際はなかなか難しいもので、どうしてもお互いに感情的なものとなり、お互いが疲弊してしまうことが多いことから、ここもお互いが離れたがってしまう要因となっているのだ。

故に、その願望に対する実現度は高くなる。

両方の希望が合っているのだから、その実現化はより早くなってしまうのだ。


ということで、彼の入所が完全に決まってしまった。


恐らくではあるが、ご本人様の、身体的機能維持に対する前向きな意志などがないため、特養に入られれば、すぐ寝たきりの状態になってしまうだろう・・・


だから、悔しいのだ


もっと、少し無理をしてでも、ご本人様の意志が微妙だったとしても、リハビリならぬ、散歩をご一緒すべきではなかったかと・・・


でも、ご本人様の意欲がなかった・・・


だから、こういう結果となってしまったのだ。



彼との生活は、残りわずかだ。

早速、今日から彼の小さな願望を叶えさせて頂いてはいるが、もっと、なにか彼にできることを考える。


そして、可能な限り、実行する。


彼は、ぼくに、


「最期には悪い事をして、◯んでやる」


と、密かに語ってくれたのだから・・・




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