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鷹の目テッサー

2013年2月大須の商店街で。

KYOCERA TD

記事のとおり、フィルムカメラの中古コンパクトが軒並み値上がりした中、今も昔も相変わらず不人気のカメラ。
この写真はこのカメラで撮影している。
京セラがカメラ?と若い方は思うかも知れないが、ヤシカを吸収合併しているのでサムライなどいくつかのカメラを京セラブランドで販売していたのである。
これは合併後、初の新製品であってヤシカブランドでも発売されている。
操作にクセがあり、ちょっと煩わしいのだけど、ピントがちゃんと来ている写真は、さすが鷹の目テッサー(そういう異名のあるレンズがついている)だと感じたものだ。

Ilford XP2

ちょっと珍しいことをやってるので、この写真を発掘してきたのだけど、これを写したフィルムは英イルフォード社のXP2という感度400のカラーネガフィルムだ。
写真はモノクロなので、それじゃ後加工でモノクロにしたのか、といえばそうではない。
ややこしいが、これはカラーネガでありながら仕上がりがモノクロの写真になるフィルムなのだ。
カラー現像とモノクロ現像は使う薬品も工程も違う。
今ではあまり見かけなくなってしまったが、町のDPEなんかにあったスピード現像の機械は大体カラー現像用のもので、カラーネガならものの30分もあればフィルム現像できた。
このフィルムはカラーネガなのでモノクロ写真ながら、そう言ったサービスを享受できるメリットがあったのだ(とはいえ現像の機械との相性もあって断られることもあったが)

ぼくはこの時、小遣いがなかったのかなんだったか忘れたが笑、自分で現像している。
それもモノクロ現像で、だ。
詳細なデータを残してないから分からないが、主薬はR09というRodinalと同等のものを使っている。
R09(Rodinal)は大変歴史のある薬品で、これを使えば大体なモノクロフィルムは現像できるデータも揃っていた。
工程は違えど発色はモノクロでいいわけだから、モノクロの薬品でもやってやれないことはないわけだ。

ただネガの落としきれないベースカラーは残るので上がりはこんな色になる。

ネガのベースカラーのマゼンタが残っている。

これのホワイトバランスを整えたのが上の写真。
まぁなにを思ったのか、しちめんどくさいことをしたもんだ。

大須商店街

これを撮影したのは名古屋の大須商店街である。
当時はよく大須でスナップを撮っていて、馴染みのカメラ店も数軒あった。

やにわに後ろから大声と数人が走る足音が聞こえたと思ったら、次の瞬間には目の前でこの光景が繰り広げられた。
ぼくは片手にカメラを持っていたから、半ば条件反射のように撮った。
本当はもっと寄った写真があるのだけど顔が写ってるからね。

後からこの写真を見て思うのは周囲の人の無関心さだ。
手前のこちらを向いて歩く女性なんかは一瞥もくれることなく歩み去っていった。
結構な人出だと思ったが立ち止まる人などほとんどいなかったのだ。

都会の人の他人への無関心さは今さら取り沙汰されることも少ない。
むしろ関心を寄せるのは煩わしいことには挙げられてしまうほどだ。

ぼくとて人のことはとても言えまい。
いいとか悪いの話ではなく、都会で暮らすとはそういうことなのだ。
と、ため息をつく。

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