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格闘技の練習と心理特性

海外の知り合いの研究者で,合気道の師範をしている人を知っています。海外でも武道は人気ですが,国内でも習いごととして人気を集めているようです。家の近所の空手教室でも,数多くの子どもたちの姿を目にします。

普段の生活の様子からすると,武道の教室の中はちょっと別世界です。礼儀が重視されますし,相手へ敬意を持つことが求められます。

親も,きっとそういうところを求めて子どもたちを通わせているのかもしれません。

目次

・武道の研究
・知能の測定
・レーヴン漸進的マトリックス
・知能の上昇
・武道をしている若者は
・ちなみに

武道の研究

武道の鍛錬をすることと心理面との関連を検討した研究があります。イタリアの研究者たちによる論文です。

Cognitive and personality factors in the regular practice of martial arts.

海外でも日本やアジアの武道は人気があります。イタリアでもそのようですね。

この論文では,空手・カンフー・柔術を継続的に習っている76名と,そのような武道を習っていない70名(バスケやバレーボールなどクラブ活動はしている人がいたようです)を比較しています。平均年齢は15歳前後ですが,高校生や大学生も調査対象者に入っています。

知能の測定

この論文では,精神運動速度や創造性,自尊感情,攻撃性の検査の他に,知能も測定しています。ひとつは,Raven’s Advanced Progressive Matrices (APM)という検査で,もうひとつはColoured Progressive Matrices (CPM)という検査です。

前者については,レーヴン色彩マトリックス検査という名前で日本語化されています。でも,同じかどうかはちょっとよくわからないのですけれども……。

レーヴン漸進的マトリックス

この論文の知能検査,レーヴン漸進的マトリックスですが,世界的には有名なのに日本ではあまり見かけません。

海外の論文ではとてもよく出てくる知能検査です。

英語のWikipediaに掲載されている例ですが,このような8つの図があるときに,右下にどのような図が入るかを,選択肢から選ぶ形式の検査になっています。

上の図の並びを見て,そこからパターンを見出して,そのパターンに当てはまる図形を選んで答えるわけです。

知能の上昇

このレーヴン・マトリックス検査ですが,フリン効果と呼ばれる現象をよく示すことでも知られています。フリン効果とは,世代が下になるほど,知能課題の平均値が上昇するという現象です。

社会の複雑化や教育の高度化など,この現象の説明が試みられています。興味がある方は,ぜひフリンの書籍をどうぞ。

武道をしている若者は

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