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形容詞からビッグ・ファイブ・パーソナリティ in アルゼンチン

ビッグ・ファイブ・パーソナリティを測定する尺度の中には,項目が形容詞でできているものと,文章でできているものがあります。

辞書から性格を表す単語を抜き出して,その単語を整理していくという研究の背景もビッグ・ファイブ・パーソナリティにはありますので,形容詞で測定を行うというのも一理あります。その一方で,形容詞で測定するというのは時に抽象的で,回答しづらい場合もあります。

形容詞と文章

たとえば形容詞の場合には,

◎明るい …… 1  2  3  4  5
(1=まったく当てはまらない〜5=とてもよく当てはまる)

といったように,自分自身が「明るい」というイメージにどれくらい当てはまるかを尋ねます。

その一方で文章であれば,

◎初対面の人と会話をするのが平気だ … 1 2 3 4 5
(1=まったく当てはまらない〜5=とてもよく当てはまる)

といったように,より具体的な行動や態度,考え方などを尋ねることができるというわけです。

どちらの尋ね方にも一長一短があります。形容詞で尋ねる方法はシンプルで回答欄のスペースも少なくてよく,的確な言葉を選べば有効な尺度ができそうです。その一方で文章で尋ねる方法は具体的なイメージに基づいて測定することができますので目的の内容をうまく測定できそうな反面,測定される内容が具体的すぎてひとつひとつの質問の範囲が狭くなってしまう危険性もあります。

いろいろな言語の形容詞

今回は,アルゼンチンで検討された,ビッグ・ファイブ・パーソナリティを測定する形容詞の尺度を作る論文を見てみたいと思います。日本語とも英語とも全く違う言語で,ビッグ・ファイブ・パーソナリティをうまく測定することができるでしょうか。この論文を見てみましょう(Adjective checklist to assess the big five personality factors in the Argentine population)。

調査の対象者はアルゼンチンのブエノスアイレス州にある都市マル・デル・プラタ(Mar del Plata)に住んでいる人々372名です。年齢範囲は18歳から80歳,平均年齢は30.65歳,58%が女性でした。加えて,別の309名にも追加で調査を行っています。

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