見出し画像

HSP(感受性の高さ)とSSS(刺激希求性)の関連

感覚処理感受性(SPS)は環境感受性とも呼ばれ,この特徴を持つ人のことをHighly Sensitive Person(HSP)といいます。ネットの中では「繊細さん」なんて呼ばれることもあるのですが,心理学では個人差特性として多くの研究が行われています。世の中に出回っている話のうちどれくらいが,ちゃんと研究に基づいているのかについては,ちょっと疑問に思うことも多いのですが……。

感覚処理感受性は,環境から耐えられる刺激に対する処理の深さ,繊細さの認識,刺激への反応性の高さに関連する特性です。生物学的なもので,気質と考えられることもあります。確かに,赤ちゃんの気質の研究でも,これと似たような気質次元が取り上げられています。ただし,赤ちゃんの頃の感受性をもったまま,そのまま大きくなるというわけでもないのですけどね。


感覚処理感受性と刺激希求性

感覚処理感受性が高い人は,行動が慎重で,行動する前にいったん立ち止まって観察する傾向があるそうです。否定的な結果が生じそうに思うと行動を抑制して,脅威を与えそうで報酬がなさそうな刺激を避けようとします。また,より慎重で深い情報をよりを行うことで,先に起きそうなことをじっくりと考える傾向があります。

しかし,感覚処理感受性が高い人は,外界に興味を抱かないわけでもありません。日常的にありふれた経験よりも,変化に富み,複雑で強い経験を求める傾向をもつ場合もあります。このような傾向のことを,刺激希求性と呼ぶこともあります。

刺激希求性はときにリスクをとる行動につながることがあります。一方で,感覚処理感受性はリスクを避ける傾向があります。この点で両者は矛盾するように思えますが,これは場面によると考えられます。

感覚処理感受性の高さも刺激希求性の高さも,芸術や音楽,各種のメディア,心身の交流によって引き起こされる感情的な興奮や体験を楽しむことに関連します。このように,感覚処理感受性と刺激希求性との間には,共通点があるのです。

関連は?

では,感覚処理感受性と刺激希求性,また衝動性やリスクテイキング行動(危険性の高い行動をとる傾向)との間の関連は,どのようになるのでしょうか。

Sensory processing sensitivity and its relation to sensation seeking

ここから先は

1,352字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?