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自己効力感と性格

自己効力感ということばを聞いたことはあるでしょうか。

自己効力感というのは,自分自身がある場面でそこに必要な行動をうまくすることができると,自分自身で認識する傾向のことです。言い換えると「自分はここでうまくやれるはず」と思う傾向のことです。よく聞く言葉で言えば「やればできる」でしょうか。

自己効力感が高いと

「高いと色色といいことがあるよ」という心理特性はさまざまあるのですが,自己効力感もそのひとつです。

◎精神的健康の良好さ
◎身体的健康の良好さ
◎幸福感の高さ
◎学業成績の良好さ
◎バーンアウト(燃え尽き症候群)の少なさ
◎ソーシャルサポートの多さ

などなど,自己効力感の高さは,私たちにとってさまざまなよいことをもたらしてくれそうに思えてきます。

(実はこの本には自己効力感を含めなかったのですが,第2版を出す機会があれば絶対に入れようと思っています……)

領域固有と一般的

これまでの研究を見ると,もともと自己効力感というのは課題固有・領域固有のもので,「この場面で上手くいくだろう」と自分が認識する傾向のことを指します。ある場面で上手く行くと思っても,別の場面では上手くいかないかもしれない……自己効力感というのはもともとそのような考え方だったと,私自身も思っていました。

ところが,場面を超えた全般的な自己効力感の研究もこれまでには行われてきています。特性的自己効力感や一般的自己効力感と呼ばれたりします。英語だと「Generalized Self-Efficacy」ですね。

場面を超えて一般的にさまざまな課題に対して「できるだろう」と感じることがあれば,それは一般的なパーソナリティと関連してもおかしくありません。

関連は?

メタ分析によって,自己効力感とビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性との関連を検討した研究があります。この論文を見てみましょう(The Five-Factor Model of Personality and Generalized Self Efficacy)。

2019年4月に,キーワードを用いて複数の論文データベースを検索しています。まず全体で1万3千件異常が見つかっています。そこから文献が選択され,351件がメタ分析の対象となりました。

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