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性格は自分で変えられる

「こうしたら性格は変わるのですか」という疑問はつきることはありません。

どうしてそういう疑問を抱くのかというと,多くの人が「自分の性格を変えたい」と考えていることもその背景にはあるようです。皆さんも「自分の欠点を修正して,より良い人間になりたい」と思うことはあるでしょうか。

自分で変える

「性格を変えたい」と思う人は多いのですが,では「何をしたら変わる」と考えるのでしょうか。「変えたい変えたい」とだけ思っているだけで変わるとはあまり思えませんよね。

以前にも書いたことがありますが,「留学をしたら変わるのではないか」と考える学生も多そうです。確かに,大きな環境の変化は人間の何かを変えそうです。とはいえ,「留学をしても何も変わらなかった」と言う学生もいそうです。

確かに,お風呂ではないのでそこに浸かっているだけで何かしら良い効果が生じる,ということは考えにくいように思います。

では,どういうことをすると性格は変わるのでしょうか。

どれくらいの期間で変わる?

もうひとつ考えておくべき問題は,期間についてです。どれくらいの期間があると「性格が変わる」と考えるでしょうか。これは,ダイエットを考えてみるとどうでしょうね。どれくらいの期間があると「体重が減った」ということになるでしょうか。1日?1週間?1ヵ月?どうでしょうね。

毎日,体重は変動しますが,どこから「ダイエットに成功した」と言うことができるかを考えると,期間の問題はなかなか厄介だということに気づきます。

どれくらい変わる?

さらにもうひとつの観点は「どれくらいの変化」が生じたら「変わった」と言えるかです。これもなかなか厄介な問題です。

同じくダイエットで考えてみると,何キロ体重を減らせば「ダイエットに成功」と言えるのでしょうか。1kg?5kg?10kgでしょうか。

「性格が変わる」というときにはもっと厄介です。体重のように単位がありませんので,「パーソナリティ検査の得点が1点変わった」といっても本当に変わったと言えるのか誤差のようなものなのかがわかりません。

ひとつの観点は,標準偏差を基準に考えることです。これは効果量という考え方と同じです。成人の体重の場合には,標準偏差はだいたい10kgくらいですので,10kg変わると「大きく変わった」と言えそうです。性格が変わるというときにも,「標準偏差いくつ分変わった」という話にすれば,それが大きな変化なのか小さな変化なのかを評価することができるというわけです。

性格を変える研究

では,性格を変える試みを行った論文を見てみましょう。この論文(You have to follow through: Attaining behavioral change goals predicts volitional personality change)です。

自分で選ぶ

この論文は,15週間の活動を通じて,パーソナリティ特性が変化していくかどうかを検討しています。研究の最初に,参加者はビッグ・ファイブ・パーソナリティの5つの特性のうちどれを変えたいかを選びます。

次に,参加者は何をしたら自分自身のそのパーソナリティ特性が自分の望むように変化すると思うか,自分自身で新しい方法を考えます。そして,自分自身で考えたチャレンジの内容を実践していくのです。たとえば,よくあった内容は,外向性を高めるために「誰か知らない人に自己紹介をする」というものだったそうです。確かに,外向性は高まりそうな実践ではありますが,思いつきそうですよね。

毎週,そこまでの一週間で自分が決めた実践を何回行ったかを報告します。一週間うまくいった人は,少しだけ難易度を高めるか回数を増やした課題を次の週に出されます。これを15週間(大学の学期中)繰り返すというわけです。そして1週目から15週目まで,パーソナリティ尺度にも回答していきます。

この調査に参加した大学生は337名で,平均して11.25週にわたって実践の報告をしていました。

性格は変わるのか

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