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ダークな性格の人々は知能が高い?

映画やドラマに出てくるシリアルキラーは,たいてい頭がよくてルールの裏をかき,捜査官たちの予想を外すような行動をするように描かれます。

そういう映像を見ていると,「こういう連続殺人者たちって,きっと賢いんだろうな」と思えてきます。

シリアルキラー

意外と,「シリアルキラー」の意味を間違って覚えている人がいたりしないかな?と想像することがあります。「シリアル(serial)」は「シリーズ(series)」からきている形容詞で「シリーズの」ということですので,「連続した」という意味です。「キラー」は殺人者ですので,「連続殺人者」ということですよね。

連続して3回の殺人を犯したときに,「シリアルキラー」の定義を満たすと書かれています。

ただ,連続殺人者が必ずしも冷静かつ冷酷な人物ばかりというわけでもないようです。中には激情的に次々と殺人を犯し,たまたま証拠が明確ではないことからなかなか逮捕に至らない,というケースもありそうです。

ダークな性格

いちばん,映画やドラマに出てくるシリアルキラー的なイメージに近い性格は,マキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズムの3つの特性であるダーク・トライアドです。マキャベリアニズムは自分の利益のために他の人を利用すること,サイコパシーは冷酷で痛みを感じにくく,ナルシシズムは自分のことが好きで自分の素晴らしさを他の人にもわかってもらいたいと思う傾向があります。

映像の中のシリアルキラーは,このように描かれているでしょうか。もしかしたら,そのイメージが先行することや,ダーク・トライアドの研究結果に基づいて,そこから作品が作られていく,という循環があるかもしれません。

ダークな性格と知能

実際に,シリアルキラー的なイメージのダーク・トライアドは,知能指数に関連するのでしょうか。この関連をメタ分析で検討した研究がありますので,見てみましょう。この論文です(A meta-analytic review of the Dark Triad–intelligence connection)。

ここには二つの考え方があるのですよね。

ひとつは,「悪の天才」仮説です。ダーク・トライアドが高い人は賢いだろうという,シリアルキラー的な想像にマッチするイメージです。

もうひとつは,「代償」仮説ともいうものです。これは,知的に劣った人はそのハンディを補うように,利己的で他の人を搾取するような行動をとるだろうという考え方です。この考え方に従えば,ダーク・トライアドと知能との関連はマイナスになります。

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