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知能と学業成績との関連はどれくらいなのか

教育分野において,何が学業成績を高める(低める)要因なのか,という問題は,長年にわたって興味の的になってきた研究テーマです。そして,知能は学業成績を説明する要因として大きな位置を占めてきました。

知能検査が開発されたのは,20世紀初頭です。そもそも知能検査は,小学校に進学する前の子どもたちを対象に,学校に着いていくことが困難な子どもたちを見つけ出すためのスクリーニング検査として開発された歴史を持ちます。ですので,学業成績と関連するのが当然だとも言えるのです(関連しなければ予測的妥当性に欠けてしまいます)。


多様な要因

とはいえ,学業成績は知能だけで説明できるような単純なものではありません。授業に欠席することや動機づけの問題,仲間関係や友人関係,親子関係といった人間関係,自己効力感や自尊感情などの心理的な側面,教師・生徒関係など,多種多様な要因が学業成績に関連します。

そんな中で,知能はどの程度,学業成績に関連すると言えるのでしょうか。これまでにもこのような試みは数多く行われてきていることでしょう。比較的最近の研究を集めてメタ分析で統合すると,どれくらいの関連が見られるのか,知識として知っておきたいところです。

というわけで,このような試みを行った研究結果を見ていきたいと思います。こちらの論文です(Types of Intelligence and Academic Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis)。

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