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測定するときは読みやすい質問項目を使うのがよいのか

割引あり

黙従傾向(acquiescence tendency)は,どのような質問をしても「はい」と答えてしまう傾向を意味します。「イエス・テンデンシー(yea-saying tendency)」と呼ばれレることもある,回答バイアスの一種です。


節約

アンケートでたくさんの質問項目に答えるのは,骨が折れる行為です。一つ一つの質問項目に回答するのはそれほど労力がかかるわけではありませんが,何度も答えると,できるだけ負荷を少なくしようとします。すると,さっと質問を読んで,とりあえず「はい」「どちらかというとはい」とか「あてはまる」という方向に回答しやすくなる人が出てきます。

他にも,「いいえ」と「はい」を極端につけがちな人や,「どちらともいえない」という真ん中あたりにつけがちな人もいるのですけどね。前者を極端反応傾向,後者を中間反応傾向と呼んだりします。

工夫で改善できるのか

こういったバイアスを回避することはできるのでしょうか。質問項目を読みやすくうまく改善したり,回答の選択肢を減らしたりすると,回答バイアスに対処することができたりするのでしょうか。

最近開発されたビッグ・ファイブ・パーソナリティを測定する心理尺度である,BFI-2という尺度を使って,バイアスを少なくする検討を行った研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Do simpler item wording and response scales reduce acquiescence in personality inventories? A survey experiment)。

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