開放性は知的な環境を作る
仕事や勉強をするときに,しっかりと環境を整える人と,あまりそういうことをしない人っていますよね。私自身は,なかなかきっちりと整理整頓できない方で,ちょっと気を抜くといろいろな物が乱雑に積み重なっていってしまいます。気をつけていないと,本当に危ないな……と自分でも思っています。
整理整頓だけではなく,仕事や勉強に関連する「もの」って,ありますよね。どんなノートや筆記用具を使うか,どんな種類のパソコンを用意するか,どんなソフトウェアで仕事をするか,どんな本を部屋の中に並べるか,どれだけの量のものを部屋の中に置くのか,などなど。考えていくと,それぞれの人の特徴がはっきりと現れてくるように思います。
知的環境
知的環境にもいろいろなものがありますが,どれだけ本に接するかということもひとつの大きな要素です。特に,欧米の人々にとって,本を揃えたり並べたり,手に取ったりすることは大きな意味を持つらしいということを,書いたことがあります。
こういった,読書に関連するパーソナリティってあるのでしょうか。
開放性と読書
パーソナリティは読書をする行動に関連するのでしょうか。2〜3年間同じ個々人に調査をしていく縦断的なデータから,両者の関連を検討した研究があります。この論文(How Openness Enriches the Environment: Read More)です。
パーソナリティとして注目されているのは,開放性です。開放性は知能や創造性にも関連することが示されています。そしてこの論文の著者たちは,開放性が知的環境を整えることに関連するのではないかと考えているのです。そのひとつが「読書」というわけです。
この論文では,2つの仮説が検討されています。
◎開放性と読書量は互いにポジティブに関連する
◎開放性は,将来の読書量にポジティブな関連をする
開放性が高い人は低い人に比べて,より読書をするという環境を整えていくだろうという予測が立てられているということです。
置かれた状況
さらにこの研究ではもうひとつ,人々が置かれた状況にも着目しています。具体的には,働いている人々と,職を失った状態にある人々です。もしも開放性が知的な環境を整えようとする志向性に影響するのであれば,職を失って一日のうちにやることが少なくなってきたときに,開放性の高さが楽しみのために読書をする活動へとつながっていくだろうというわけです。
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