プライド・パレードに見る「理想を体験してもらう」社会運動のデザイン

参議院選挙終わりましたね。公職選挙法があるので、どうしても決まったことしかできないのはわかるのですが、本来自分たちの主張を伝えて共感してもらうための工夫やデザインをしないとマズイのでは?という問題意識が生まれました。

一方で、プライド・パレードに遭遇すると自分たちの理想を体験してもらい、参加者だけでなく遭遇した人も共感してもらえるデザインが良くできていると、感心します。これからの時代は、デモなどでも、自分たちのメッセージを伝えるのにちゃんと体験的なデザインを取り入れていくのがスタンダードになっていくのかもしれません。

さて、プライド・パレードのすごいなぁと思うフォーマットについて列挙していきます。主張する参加者、賛同する企業、街で遭遇した人、街の商業施設という関係者にポジティブな感情をいただかせる仕組みがよくできているのがポイントです。(写真はミュンヘンで遭遇したときのものです)

1.レインボーデザインという主張を表すアイコン

プライド・パレードといえば、LGBTQのアイコンといえばレインボー・フラッグですよね。ここまで浸透しているのもすごいですが、なぜレインボー・フラッグなのか?にも、ちゃんと背景に物語があるのがすごい。※以下は東京レインボープライドのページからの引用です

その背景には、ゲイ・アイコンとして同性愛者に絶大なる人気を誇っていた女優、ジュディ・ガーランドの存在があったと言われています。ジュディ・ガーランド(Judy Garland/1922~69):『オズの魔法使』(1939年)のドロシー役で大ブレイク。彼女が歌った劇中歌「Over the Rainbow(虹の彼方に)」は、今ではプライドパレードやLGBTイベントでは欠かせないシンボルソングとなっている。自身バイセクシュアルでもあ り、ゲイ・アイコンの代表的存在として現在もリスペクトされている。娘もゲイ・アイコンとして名高い、女優のライザ・ミネリ(『キャバレー』でアカデミー 賞主演女優賞受賞)。
事件直前の6月22日に彼女が急逝し、27日にはストーンウォール・イン近くの教会で葬儀が行われました。その夜、店内は彼女を悼む感傷的な空気に包まれ、そんな中での、日付が変わって28日深夜に行われた警 察の強引な手入れ。そのあまりに無神経な仕打ちに、居合わせた人たちの怒りは沸点に達し、逮捕者も出るほどの暴動に発展していったのでした。翌年、1970年6月の最終日曜日、「ストーンウォール事件」の1周年を記念するデモ行進が、ニューヨークをはじめアメリカ各地で行われ、それがその後、毎年恒例となり、さらに世界中に広がって、現在まで続く「プライドパレード」につながっていきました。6月にプライドパレードの開催が集中し、6月を「プライド・マンス(プライド月間)」と称するのも、こういう歴史があるからなのです。

2.選曲がメッセージになっている

自分たちの主張をシュプレヒコールで画一的に主張するわけではなく、音楽で踊りながら伝えるというフォーマットです。Queenやビヨンセなどのマイノリティへのアンセムソングは、眉間にシワをつくって拳を付き上がれるよりも、自然に共感を生んでいきます。純粋に、楽しそうに誰でも参加して踊れるのもいいですよね。

3.個人が楽しそうに過ごす未来を垣間見ることができる

他のデモになくて、一番象徴的なのがこれだと思います。LGBTQにとって過ごしやすい偏見のない社会になったときにどうなるかが、プライド・パレードの日には目の当たりにすることができ、優しい気持ちになります。人が開放されて、仲良くする姿が見られる社会は悪いもんじゃないですよね。理想が実現した社会をプレゼンテーションできているのがいいです。

4.企業が参加し、グミなどのサンプリングが行われる

企業参加のフォーマットが準備してあるのも大事なポイントです。企業にとっては優秀な人材をリクルーティングするためにも大事なことですし、現社員にとっても参加することがお祭りになります。また、グミやステッカーなどを配布しているので、もらった沿道の人にとってもポジティブな気持ちになりますよね。返報性の法則?そこまで計算高くないか。

5.お祭りとして開催場所周辺の商業施設にもメリットを与えられる

当然ながら、集客という意味でも街に大きなメリットをもたらします。共感する人々が体験するために街にやってきます。交通規制を行ってストリートを開放するイベントなので、移動などでデメリットを受ける人も存在しますが、最初から告知されていることなので回避はできることが多いのではないでしょうか?それよりも、街に多くの人が来て飲食店やお店などにお金を落としていってくれます。飲食店などは、参加者特典としての割引などを行っています。

まとめ

プライド・パレードのフォーマットの素晴らしいところは上記のとおりですが、最大の強みは、誰でも参加でき優しい気持ちになれるという体験を与えていることだと思います。理想だけ語っていてもしょうがなく、体現できる場を準備して、理解者を増やしていくという社会運動デザインのお手本だと思いました。

ということで、社会運動もデザインが必要だと思ったので今週はこんなエントリーでした。

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ありがとうございます^_^
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跡部徹(株式会社空気読み コンセプター)

株式会社空気読み代表。コンセプト設計・企画・実践をやっています。興味:依存しない生き方/その他の選択肢/クリエイティブ都市/メディア/コミュニティ 自由大学脱藩学教授 著書:「空気読み」企画術/前に進む力/顧客に愛される会社のソーシャル戦略 手書き地図推進員会

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