ブランドにとって「リアルな体験な場」が今まで以上に価値を持つ(NIKE,ポルシェ,スノーピーク,Appleの事例から)

ネットで販売するチャネルが定着し当たり前になってきている中で、リアル店舗が再度評価されている。さらに進んで、ブランドの世界観の入り口としてまるで「アミューズメント施設」のようなエンタテイメントの場が注目されている。ブランド価値を体験してもらう場として、リアルな体験ができる場ほど強いメディアはないからだろう。

いくつかの事例をピックアップしよう。

■自社アプリを使ってみんなで運動することをイベント化するNIKE

NIKEは、日常的に運動してもらうために自社アプリを提供している。それだけではなく、ランイベント(音楽フェスを合わせたイベント的なものと、毎週日曜に開催される5kmのイベント)やワークアウト体験を定期的に開催している。

自社製品を身に着けて、他のユーザーたちと一緒に運動するという場(機会)を提供し、日常的に運動するきっかけや、エクササイズする楽しさをユーザーに体験してもらっている。

運転体験を価値として21年に木更津でサーキット体験施設を始めるポルシェ・ジャパン

独ポルシェの日本法人、ポルシェジャパン(東京・港)は19日、千葉県木更津市に運転体験施設を建設すると発表した。2021年に開業する予定。米国やドイツには同様の施設が7カ所あるが、日本では初めてとなる。車の「所有」から「利用」へと需要がシフトするなか、ポルシェに乗れる施設でブランド価値をアピールする。
同日都内で開いた新車発表会で、運転体験施設「ポルシェ エクスペリエンスセンター ジャパン」を建設すると発表した。投資額は数十億円規模になるとみられる。ポルシェの全モデルに試乗することができる。20年に日本導入予定の電気自動車(EV)「タイカン」にも乗れるようにする予定。ブランドショップやレストランなども併設し幅広い顧客をターゲットにする。サーキットやオフロードコースなど複数のコースを設置し、同乗するインストラクターに指導を受けながら運転スキルを磨くことができる。体験する車や時間、コースによって料金が設定され、海外では最短の90分コースで約4万円からとなっており同程度の価格設定となる見込み。(日本経済新聞2018/12/19


■自社製品をレンタルできるキャンプ場運営を拡大するスノーピーク

テント用品をはじめアウトドアアパレルなども扱っているスノーピーク。もともとキャンプ好きをロイヤル顧客に持つ定評のあるブランドだ。自社サイトの紹介にも以下のように自社を定義している。

スノーピークは厳しい自然での検証に裏打ちされたハイスペックな製品群を提供するキャンプ・アパレルを中心としたアウトドアブランドです。

自社で定義しているように「厳しい自然での検証に裏打ちされたハイスペックな製品群」を体験してもらうには、フィールドで体験してもらったほうが理解してもらいやすい。そのために、本社のある新潟県三条市、大阪府箕面市、 大分県日田市、北海道帯広市、高知県高岡郡の5ヶ所キャンプ場を運営している。

■製品ではなく、使い方、クリエイティビティの発揮方法を体験してもらう「Today at Apple

最後に、アップルストアで行っているToday at Appleについて。2017年5月よりアップルストアで新しく始まったリアル店舗での目玉コンテンツがこの「Today at Apple」だ。

Apple®は本日、来月より直営のApple Store全495店において、写真、ビデオ、音楽、プログラミング、アート&デザインなど幅広い分野で、数十種類の新しい講座を開始することを発表しました。この実践的な講座を総称して「Today at Apple」とし、経験豊富で、トレーニングされたチームメンバーによる指導のほか、一部の都市では世界トップクラスのアーティスト、フォトグラファー、ミュージシャンたちを講師に迎え、ベーシックやHow to、プロレベルの講座まで学ぶことができます。

製品自体は、自社以外の売り場(量販店や携帯電話ショップ)でもネットでも購入できる。一方で、製品を使って何ができるのか? クリエイティブなアウトプットを出している人はどうやって使っているのか? といったユーザーの教育を行ったり、刺激したりする役割を店舗に担わせている。iPhoneやiPad、Macを購入することでできることを体験してもらう、購入した後でより使いこなしてもらうための場を提供している。

■まとめ

今回、ブランドの価値を増す「リアルな体験の場」の事例を思いつくままに4つ紹介した。どのブランドも、自社のブランドを体験してもらうきっかけとしてリアルな場を活用している、また「ユーザーを教育するため」にリアルな場を活用している。このユーザーを教育するということが、ブランドにとってますます非常に重要になってくる。もはやユーザーがほしいものを超えたものをブランド側は提供している(していかなくてはならない)。そのためにも、「そうそう、こんなことがやりたかった!」という潜在的な欲求を体験してもらうためには、「欲望のエデュケーション」が必須となってくる。これを行う場としてリアルな体験の場の価値はますます高まってくることだろう。

この後も、この目線でいろいろなブランドの動きを観察していきたい。

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