雑魚亭幻滅

弱そうな人間の拙い言葉を

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きっと届くはずもないあなたに

昔、一つ学年が上の先輩に恋をしたことがあります。 今思えばほんとただの気の迷いだったかな、と思うけど当時を振り返るとまあそれは好きになってしまうよなというようなもので。 体育祭でたまたま同じ組になり、僕のクラスにあなたはやってきました。 完全に一目惚れでした。 目元がとても魅力的でそこまで底抜け明るいわけではないけどあなたがいると自然に周りが明るくなるような、そんな存在でした。 若さ故の思い切りの良さで僕はあなたに思い切って連絡先を聞きました。 雰囲気も何もないただ

    • 現代に生かされている僕ら

      エモーショナル。 感傷的、言葉では言い表せない感情を指す。 本来であればこのようなことを意味するのだが、言葉を探せばきっとその情景にぴったりなものがあるはずなのに語彙がないため“エモい“で済まされてしまうことが多いような気がする。 私の人生もそのようなものだ。簡単に、そして雑に済まされてしまう。 たった今、私は彼の元恋人になってしまった。 彼との日々はなんと表せば良いだろう。 きっとこの感情もあの時言われた言葉も思い出せなくなってしまうのだろう。 それはそれで良いことなのか

      • 昔最高に好きだったあんたへ

        きっとあなたには届かないでしょうが。 最近こんな体たらくな僕にも変化がありました。 恋人ができました。 僕は完全に今浮かれきっている状態で、客観的に見ても僕はかなり調子に乗っていると思います。 そんな自分が僕は嫌いです。 なぜなら今後何があるか分からないのにこんなに地に足がついていない完全に浮かれきってしまっていることが後々後悔することになるかもしれない、ということを全く考えていないからです。 こんなに調子に乗っていたら後々後悔するということを教えてくれたのはあなたです

        • 君に対してのこの感情はなんて言い表せば良いか。 でも、確実に君だけ他のみんなとは違う感情というか、想いというか。 不完全な言葉を想い浮かんでは下書きのように保存して、いつまで経っても完成することはないこの感情を伝えることはできないのだと思う。

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        きっと届くはずもないあなたに

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        • 昔最高に好きだったあんたへ

        • 君に対してのこの感情はなんて言い表せば良いか。 でも、確実に君だけ他のみんなとは違う感情というか、想いというか。 不完全な言葉を想い浮かんでは下書きのように保存して、いつまで経っても完成することはないこの感情を伝えることはできないのだと思う。

          できれば来ないでほしい瞬間だね。

          ああ、もし付き合ったらきっとお別れしてしまう時がやってきてそれはそれでものすごく嫌な瞬間で。 「付き合ったら必ず別れる時が来るから」と冗談半分で言ってくる友達の言葉もどうしても冗談抜きの純度100%で聴こえてしまうのも嫌な瞬間で。 でも付き合ってないのにこんなことを一瞬でも頭をよぎってしまうのもものすごく嫌で。 こんなことをよぎってしまう自分が本当に嫌で。 あの別れた瞬間から生活が一変してしまうあの瞬間が嫌で。 でも、あなたを惚れさせ続けるほど魅力のない人間ってこと

          できれば来ないでほしい瞬間だね。

          やりたいことは忘れる

          「私ね、やりたいことリスト作ってるよ」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 時の流れはかなり早い。二年前君とテキーラを呑んだ安くて大学生しかいないあの居酒屋はもうなくなっていた。 あんなにうるさくて黄色いネオンが印象的だったあの居酒屋は暗くひっそりと佇んでいた。 もう二度と会わなくなっても、もう二度と君の名前を呼ばなくても、もう二度と触れることも。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ここ一緒に行こうよ、と彼

          やりたいことは忘れる

          恋と呼ぶには

          「あまり期待しない方がいいわよ」 我が家では「期待しない」ということが重要なものだった。 現実主義で幼い頃は全く面白味のない家族だと思っていたけど、私もその家族の一員何だと思った時、私も人間としての面白味のない人間だと痛感した。 ともかく 人間関係、クリスマス、宝くじ、、、、 さまざまなものに期待をしないように教えられてきた。 なのに ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 舞浜からの帰り道。 時刻は21時を過ぎている。 都会はすごいものでこんな時間になっ

          恋と呼ぶには

          僕はコロナをいい経験とは思わない。

          「陽性でしt、、、、、、」 家族というものは厄介なものだ。 大学生活のほとんどをコロナによって奪われた。 旅行、飲み会、ロックフェス、講義後のだべり、花火大会、、、、、、、、 あげたらキリがない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2020年3月、若者のせいで蔓延するウイルスだという我々若者が動くせいでこんなことになってしまった、というレッテルを貼られてやや2年。 僕はドラックストアでバイトをしており影響をもろに食らった。

          僕はコロナをいい経験とは思わない。

          わりとね

          実家は駅から離れた場所に家がある。タクシーに乗った。 随分と変わってしまった故郷に少し寂しさを感じる。 「あの公園なくなっちゃうんですね」 「ええ。マンションが建つとか聞きましたよ。今やベッドタウンですからね。」 よく遊んだ公園がなくなる。 「そうなんですか」 初めて逆上がりができた場所。サッカーを猛練習した場所。あの子と初めてキスをした場所。 僕の思い出と淡い青春はコンクリートに姿を変えはじめている。 「早いですね。移り変わりが。」 「早いですね。よく遊びまし

          Konica

          「今回も異常なし」 この言葉を聞くたびに安心するがまた4週間この言葉をまた聞けるのか怯えながら生活しなければならない。 この約21年生きてきて幸せや楽しい時間、心地良い時間というのはどうしても短く過ぎ去ってしまうものだと実感している。 実際に、病院を出てすぐ近くにある薬局に行って薬をもらうために待っているとすぐ怯えてしまう。 悪いのは医学的な頭だけではない。 小学生4年か5年のとき。 放課後、母が小学校に通っていたやってきて一緒に市役所に向かっていったことがある。 いく

          僕の人生は間違いじゃない、のか

          アラームが鳴り朝7時30分を知らせる。 いくら大学へ行かなくていいからといって数十年間染み付いてしまった早起きは直らない。 早起きは三文の徳と言うらしいが早起きしても徳は得られていない。 僕の人生は間違っていないのか。 僕は幸せと言えるのか。 僕は楽しさを忘れていないのか。 高校生のとき、周りとは違うと思っていた。 周りの学のない幼稚な同級生とは違うと。 深夜まで電話して授業中に寝てしまう人や話をやめない人、放課後課題なんてせずカラオケや遊んでいる奴らとは違うと。 授業

          僕の人生は間違いじゃない、のか

          アンコールを、いつか

          てかさ、映画好きなんだね、あんた」 自分なりに整頓したテレビ横にある棚を指差す。 「なんか前より増えてるような気がする」 「よく気づいたな」 「定期的に来てるからわかるよ」 そう言って棚を物色する。 その後ろ姿にあの子の影が重なる。 「映画のエンドロールって最後まで観る?」 彼女にそう質問した。 急な質問に驚いたのだろう。 どうしたの? と振り返った彼女は笑っていての姿は、あの子とは違っていた。 「なんとなく聞いてみた」 「ふーん」 再び彼女は棚を漁る

          アンコールを、いつか

          エンドロール

          「エンドロールは最後まで観る?」 「エンドロール?」 そう聞き返した。 「ちゃんとは見ないけど」 正直に答える。 「私、エンドロールがすごく好きなの」 部屋はまだ洗っていない食器に水滴が落ちる音が聞こえるくらい静かだった。 「私はどの映画も絶対エンドロールまで観るの」 「この映画にはとんでもないほどの人が力を出し合って私たちに届けられてる」 「ねぇ」 と彼女は続ける。 「私のことちゃんと理解してる?」 時間が止まっているような気がした。 「どれくらい?」

          エンドロール

          75007

          パリの冬は短い。 一年を通して雨は降るが量は気にするほどでもない。 大西洋から吹く湿った暑い風が身を包む。 こちらにきてもう2年経つがやはり良い街である。 パリは東京よりも小さいことを来て二週間ほどで感じた。 45分もあればパリの反対側までいくことができる。 華やかさが日常にあり、歩くだけで新しい発見がある。 東京のように着飾った人間がぞろぞろいるわけでもない。 12区はとても住みやすい。 自然もあり何より落ち着いている。 間違いなくここでの暮らしの方が良い。 なのに

          75007

          「人生の主役は君たち自身です」

          3月1日 おそらく全国の卒業式で必ず聞くこの言葉は例外などなくしっかりと私の耳元に賛辞として届けられた。 私はこの言葉が本当に苦手だ。 主役の割には必ず誰かに主導権を握られているような気がするし、やたらと私の「人生」に肩を入れて主役になろうとしている人がいるように思う。 ゼミというものは研究室でもっとゆったりとできるものだと思っていた。 ドラマや映画で描かれるようなあの研究室は美化されているものだった。 ただ、ドラマや映画で研究室にいつも寝ているようなだらしない先輩は私

          「人生の主役は君たち自身です」

          Marlboro

          11月上旬。22時を回る。 田舎によくある駐車場だけがやけに広いコンビニ。 あたりは冷たく駐車場にはトラック数台と大学生の頭に響く笑い声。 何もできなかったけど、と彼女は言う。 「たばこだけはせめてやめてね。これだけ約束して。」 大学の喫煙所は幼さと大人の間で揺れ動く感情が入り混ざっている。 大学生がたばこを吸うのは暇だから、もしくはカッコつけたいから。 若さというのは本当に無知であって、勢いがあるなんとも愛おしいものである。 その愛おしさはたまに一生の後悔を生む。