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きっと届くはずもないあなたに

昔、一つ学年が上の先輩に恋をしたことがあります。

今思えばほんとただの気の迷いだったかな、と思うけど当時を振り返るとまあそれは好きになってしまうよなというようなもので。

体育祭でたまたま同じ組になり、僕のクラスにあなたはやってきました。

完全に一目惚れでした。

目元がとても魅力的でそこまで底抜け明るいわけではないけどあなたがいると自然に周りが明るくなるような、そんな存在でした。

若さ故の思い切りの良さで僕はあなたに思い切って連絡先を聞きました。
雰囲気も何もないただ、思い立って聞いてしまった僕をどうか許してください。

反応は意外にもよく快く連絡先を教えてくれました。
そういう優しいところもあなたのずるいところでした。

トーク画面にあなたの名前があるだけで舞い上がってしまった僕は今思えばとてもかわいいものです。

本当にあなたから返信があるのか半信半疑でしたが、本当にあなたから返信がくると顧問に対しての苛立ちなんてすぐに消えてしまったことを覚えています。
それくらいあなたは僕にとって大きい存在だったのです。

学校で会っても挨拶をする程度でした。

ある日、違う部活ではあったもののたまたま同じ時間に部活が終わることをすれ違った時にあなたは教えてくれました。ここでも思い切って一緒に帰りたいです、と言いました。
あの時の少し照れた顔は今でも忘れられません。

少し間をおいたあとあなたは笑顔でOKを出してくれました。

部活がこんなにも長いものだと教えてくれたのはあなたでした。


その帰りに僕は思い切ってあなたをデートに誘いました。
少しでもセンスのいい人、と思われたくてインスタで当時有名だったカフェに誘いました。

「予定とかわかってから返事するね」

返信を待つ時間がこんなにも永遠に感じるのかと教えてくれたのもあなたでした。

結局、あなたからの返事はもらえませんでした。

僕は大人ぶってわざとあなたに連絡をしませんでした。
きっと返信に困らせてしまう自信があったから。

そこから約3週間後くらいだったでしょうか。

文化祭の後夜祭を友人と体育館のランニングコースで観ていたときそのランニングコースの一番端にあなたと隣には男がいるのを見ました。

周りがステージに見入っているなかであなたたちはキスをしていました。

終わったんです。

僕の恋が。

約30メートル離れた距離でまじまじとこの恋は実らないものだと痛感したんです。


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「社会人」という夢も希望もない肩書きが目の前に迫ってきた8月上旬。

僕はなんとか都会の人間に染まるべくYouTubeでファッションインフルエンサーとかいう横文字だらけの自己紹介の動画を見て購入した服を身に纏い蔵前をフラついてました。

基本公式LINEアカウントからしか通知が来ないはずなのにその日だけはイレギュラーでした。

あなたから連絡が来ていました。

「久しぶり。覚えてるかな。急でごめんね。実は今度、、、、、、、、、」

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あなたはいつになっても僕に新しいことを教えてくれますね。

どうぞお幸せに。


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