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第13回 夏休みの計画はなぜ実行できないのか


マダムです。
いつもお付き合い頂きありがとうございます。

このnoteは8月31日にプールの誘いを断れず遊び倒した後、残った計算ドリルを必死で埋めてたら人生初の11時まで起きている経験をして半泣きになった小6の私に捧げます。


夏休みの宿題って、やらない後ろめたさを味わうために仕掛けられた背徳の罠とでもいうのでしょうか。
「神様、もうちょっとだけ遊ばせて!」と祈りながら、
期限付きであること、学校の生活が待っていること、そのためには宿題を終わらせなければならないこと、全部わかっているけど忘れたことにしてもうちょっとこのまま引き延ばしたいあの気持ち。

大人になればよき思い出になるはず・・・が、子どもの宿題をせっつく側に自分が立たされるというとんでもないブーメランになって戻ってきました。

夏休みは、子どもの生活リズムを保つだけでも一苦労です。
3食とも家で準備するのも大変です。
そこに加えて宿題・・・
母は生活をみて父が宿題という住み分けの家庭も多いのではないでしょうか。
宿題担当大臣に任命されたお父さんは、夏休み前の仕掛けが結構大事だということを、おそらくなんとなく感じていらっしゃると思います。

そのとおりで、これはまさしく研修で行動変容を強いられたビジネスマンの奮闘と同じ構図なのです。


行動パターンを変えることは本当に難しいことです。
「わかっちゃいるけどやめられないこと」を簡単に変えられるのなら、禁煙もダイエットも浪費グセも節約も貯蓄も、全部簡単にできるでしょう。

行動を変える難しさには実は2つの段階があります。
一つ目のハードルは、はじめの一歩を踏み出す苦しさ。
2つ目のハードルは、継続する苦しさ。

それぞれに必要な対処も違います。
今回はこの2つを乗り越えて、「行動を変えて、しかも継続させるために必要なこと」を考えたいと思います。

1. はじめの一歩を踏み出すために 〜 何のために宿題を頑張るのか

前回、「そもそも」に立ち返る大切さ、みたいなことを書きましたが、最初の一歩を踏み出せるかどうかは、結局のところ「ハラ落ちしているかどうか」によります。
心の底からそうしようと思えれば、行動は起こせます。

夏休みの宿題の場合は、親ではなく「子ども自身が」どれくらい本気でやろうと思っているかが大事なので、話が難しくなるわけです。
これは仕事での部下指導ならどうするかを考えてみて頂ければ、だいたい正解近くに辿り着くはずです。
つまり、

・在りたい自分の姿を振り返ってもらう(これは子どもの場合はないことがほとんど)
・頑張ったら何が起こるかを具体的に列挙する(アメで釣るのもアリ)
 ここで言う「何か」は子どもにとってのメリットでなければなりません。
・精神論を語らず、具体的な最初の小さい行動を提案する

大げさに語るとますます最初の一歩が重いものになってしまいます。
うっかり踏み出してしまうくらい、さりげない小さな行動に分解して、いつの間にか始められた、くらいがいいと思います。


報酬とゴールは最初に決める、決めたら変更しない
 ここの約束がブレると親子の信頼関係に響きます。信じられない人の言葉は励みになりません。

ゴールを明確にする
量だけでなく、質すなわち達成基準を具体的に決めるのが肝心です。
自由研究や工作でありがちですが、子どもが出してきた案に親がダメ出しして高度なものに変更させた時点で、「子ども自身の目標」だったものが「親の立てた目標」に置き換わってしまいます。つまり、やらされ感が出て、やる気がなくなります。

宣言したり紙に書いて貼る
 これはみなさんよくされていると思います。書いて貼ると毎日見えるので、心に刻まれます。
 離れて住む祖父母や遊びに来た友だちに目標を宣言したり目標を見られるのも、頑張る力になります。

毎日の作業目標を決める(スモールステップに分解する)
 実はここに大きな落とし穴があります。
毎日の「量」を決めると、失敗します。目標として決めるのは、作業した量(アウトプット)ではなく、「行動内容」です。
 漢字ドリルなら、「一日に2ページ」ではなく、「8時50分にリビングのテーブルに漢字辞典とドリルと筆箱、下敷きをセットして椅子に座ること、9時まで漢字ドリルをやること」です。
 設定した時間では足りないようだったら、本人が判断できるように見通しを伝えてあげた上で、変更するかどうかを決めさせます。毎週フィードバックしていれば、手遅れになる前に変更する必要があると気づくことができます。その時点で間に合うように計画を立てる手伝いをしてあげればいいのです。

1日の生活に組み込む(考えずとも行動できる仕組みを作る、場の設定、習慣目標を与える)
 上で漢字ドリルの例で書いたように、場を丁寧に設定してあげると同時に、そこに無理なくたどり着けるような生活設計をするのが親の役目です。
例えば、朝にどうしてもゲームがしたいのを認めるなら、それを終わらせてから漢字ドリルの準備をするまでの時間にゆとりを持たせて、確実に8時50分に漢字ドリルが始められるような時間配分を考える。ゲームからすぐ気持ちを切り替えるのが難しいなら、ゲームは朝食前にしてご飯を食べる間に気持ちを切り替える。
大事なことは「習慣目標が無理なく守れる仕組みづくり」です。

2. 継続させるための仕組みと仕掛け

とはいえ、長い夏休みは1日かけてのイベントや旅行など、ルーティンが途切れやすい時期でもあります。
 一旦中断した行動を再び始めたり、辛い時期を乗り越えて行動し続けるためにはさらに工夫が必要です。

計画を修正しよう
・振り返る機会を定期的に設ける
 週に1回くらいはフィードバックの機会があるといいです。ダメ出しの時間にならないよう、リラックスして本音が話せる雰囲気が大事。お風呂で「今週どうだった?」でもいいし、おやつ食べながらでもいい。
 話してみて、必要だとなったら、そこで初めて数字を出してきます。ビジネスライクに会議みたいになったら、子どもは当然逃げますよ。
・行動を選び直す
 量の調整も大切ですが、アプローチを変えてみることも考えてみてください。
何しろ、たかが宿題、命に関わらないのだから、実験してみるのがいいと思います。
その子に合ったやり方を今見つけておくことは、高校受験や大学受験の時に時間のロスを防ぎ、最短距離での受験目標到達に威力を発揮します。

応援しよう
・励ます・期待を伝える
 子どもは褒められて伸びるのです。ただし、数字や量といった結果を褒めるのではなく、毎日行動したことそのものを褒めるようにします。後への影響を考えれば、行動したら結果が出た、ということを強調して印象付けるべきです。
・日々の積み重ねを見える化する
 漢字ドリルの例でいくと、動画を撮るのもいいかもしれません。夏休み最初の週は、セッティングにモタモタして10分くらいかかっていたのが、2分でささっと用意ができて、すっと集中できるようになった、とか、言葉で伝えるより動画で見れば一目瞭然、自分の進歩がわかると励みになりますよね。


ここまでお読みくださった方は、「ここまでやるのか・・・」と暗澹たる気持ちかもしれません。でも、人の行動を変えるというのはそういうことではないでしょうか。生半可な気持ちではとても関われません。
だから、宿題がやっつけ仕事になってもいいじゃないですか。
 こんな難しいことは大人になってからやればいいんです。

夏休みの宿題が修行の場になるくらいなら、時間と手間をお金で買って遊び倒した方がよっぽど人生にはプラスになるのかもしれません、これからの時代。


ここまで読んで下さってありがとう! 働きたい主婦が能力を活かせる仕事に就ける世の中に変わっていくよう、あなたの声を聞かせてください。